大統領の日常
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本編
第三十七話 首都戦5
前書き
またしても遅くなってしまい申し訳ありません・・・
何せ作者はこういうシーンがあまりかけないモノデスカラ・・・
長ったらしく書いたのにあんまり感動的じゃないっていう最悪な状況です(涙
それでも良ければ見てください。
西暦2115年 11月 13日
ペルシャール・ミースト
俺は天龍、龍田と1個中隊を連れて艦娘宿舎の前に来た。
新無宮殿の本殿とは一本の通路でつながれていて、見たところ見た目は普通のガラスと木だが防弾の特殊装甲のようだ。さすがは皇帝と貴族がいる新無宮殿、まさに鉄壁だな。
いざドアを開けたら敵が待ち伏せていた、なんてことがあるかもしれないので、SS隊員達が先に突入した。
「3,2,1、GO!!」
GOの合図でドアをけ破り、宿舎内に突入していく。
俺も宿舎の中に足を踏み入れた。すると10メートルほど先に5人ほどの男が、3人の少女を連れて行こうとしていた。
「!?なっなんだ貴様らは!」
男の一人がそう怒鳴ったが、俺は返答せず、無言でデザートイーグルを2丁持つと適当に肩や足を打ち抜いてその場に倒れさせた。隊員達が銃を構えて倒れた男たちを囲んだ。
「ねぇ~提督さん~、この人たち私たちに処分させてもらえないかしらぁ~」
龍田がいつもの穏やかな声ではなく背筋が凍るような声で聴いてきた。SS隊員でさえ真っ青な顔をするぐらいといえば大体想像がつくだろう。俺が”かまわんぞ”というと、隊員達に”偶然”持ってきていた大型犬用のかごにぶち込んでおくように伝えた。
続いて連れて行かれそうになった少女たちの方を見た。
俺が目を合わせるとびくっとして俯いてしまった。俺は少女たちに近づくと服装と少し暗くて見えずらくなっている顔を見た。
阿賀野、能代、矢矧、酒匂か・・・
俺は同行させていた女性兵士に連れて行くように伝えると先に進んだ。
「・・・これは・・・」
「ひでぇ・・・くそっ!」
「なんてひどい・・・」
天龍と龍田の声がいつもより遠く聞こえた。
廊下の突き当たりに来て左右を見た俺たちが最初に目に入った光景は悲惨なものだった。
いたるところに包帯を巻かれ、挙句の果てには全身包帯まみれになったまるでミイラのような格好になった艦娘が3~4人廊下に座り込んでいた。服装と体格からして恐らく駆逐艦か軽巡だろう。隊員達に保護するように伝え、天龍と龍田にも手伝うように伝えた。担架を持った隊員が入ってくるのを見ると、他の隊員を連れて奥へと進んでいった。
両側には無数のドアがあって、横には艦娘の名前と思われる札が貼ってあった。
一つ一つ中を確認して進んでいった。そのうちの一つに俺も入った。
「・・・・・」
中に入るとベッドに4人の艦娘が横たわっていた。ところどころには包帯が巻かれている。
一度外に出て札を確認した。
【摩耶】【鳥海】【鈴谷】【熊野】
「・・・くっ・・」
再び部屋に入って傷の具合を見た。どれも深い傷ではないようで、治療すれば問題ないだろう。
担架を持ってきている隊員に運ぶように伝えて、部屋を出て先に進んだ。
半分ほど終わり、次のドアの前まで来た。そして開けようとドアノブに手をかけた瞬間ドアが勢いよく開き、中から飛び出してきた少女が襲いかかってきた。
「由良の仇ぃ!!」
完全に不意打ちを食らった俺はとっさにデザートイーグルを取り出して、突きつけてきたナイフを止めた。ただ突っ込んできただけだったのですぐに横に振ってナイフを彼女の手から振り落とした。するとバランスを崩した彼女は床に座り込んで泣き始めた。隊員達が彼女に銃を突き付けて数人が部屋に入って行った。
俺は脳内にある艦これフォルダを開いて彼女の名前を必死に探した。
そうだ、さっき由良と言っていた。由良は長良型の4番艦だったはず、ということは同型艦だろう。もう一度床に座り込んでいる少女を見た。茶髪でとても凄い形の髪型になっている。恐らく彼女は阿武隈だろう。
俺はちょうど宿舎に戻ってきた天龍を呼ぶと、阿武隈について行くように言った。天竜が阿武隈を連れて行く際こちらを睨んできた。俺は”俺が泣かせたんじゃないぞ”目で伝えると、天龍は渋々といった表情で阿武隈を支えながら歩いて行った。
その後も数十人の艦娘を保護して、廊下の突き当たりまで来た。部屋の数は24部屋もあるのに対して艦娘の数が異常に少なかった。恐らくあの海戦で300人近く減ったせいだろう。この建物は4階建てだが、途中の階段で上がって確認したところ、2階から上は はほとんど空き部屋になっているそうだ。つまりこの部屋がラストということになる。今までの部屋にビスマルクの姿はなかった。つまり、この部屋にいることになる。
・・・生きていれば・・だが・・・
あの300隻の中にビスマルクがいなかったという確証はどこにもない。プリンツと一緒に出撃して轟沈した可能性もある。
「・・・・・」
「・・閣下?ここが最後です。中を確認しないのですか?」
ずっと扉を開けないのを不思議に思った隊員の一人が声をかけてきた。
俺は考えるのをやめて、一度深呼吸してから少しずつ扉を開けた。
「・・・暗いな・・・」
暗くてよくわからないが、どうやら今までよりだいぶ大きい部屋のようだ。
「ライトをつけてくれ」
俺が後ろの隊員達の方を向いて指示を出したその瞬間、
BAMM!!
「・・・え・・・・・」
発砲音が聞こえたと思った数秒後に腹部に強烈な痛みが走った。
「っ!・・・」
腹部に手を当てるとその手には血がついていた。
「・・・・」
「なっ!閣下!!閣下が撃たれたぞ!周辺警戒!!」
俺が手についた血を見ると、隊員の一人が驚いた表情をして叫んだ。
撃たれたところを左手で押さえながら部屋を見渡した。すると暗闇の中ではっきりと見えたものがあった。
床に座り込んで俯いたままこちらに銃を向けている彼女の姿が。
彼女を見た瞬間頭にも強烈な痛みが走った。
彼女、そして艦娘たちと凄いたときの記憶。鎮守府での思い出、海に行った時の思い出・・すべて思い出した。
「閣下をさがらせろ!一度入口まで後退!」
あれは・・・彼女だ・・・生きていた・・・
俺は意識がもうろうとしてくる中で下がらせようとする隊員を押しのけて彼女に向かって歩いた。
「・・!?閣下!!何をしている!早く閣下をさがらせろ!」
数人の隊員が両肩を抑えて下がらせようとするが、それを振りほどいて前に進んだ。
「閣下!危険ですから下がって下さい!」
なおも隊員達が下がらせようとするが、そのたびにそれを振りほどいて進んでいった。
そして彼女の前までたどり着いた。
その場に座ると彼女のすすり泣く声が聞こえた。
俺はそっと彼女が持つ銃を取ると、彼女に話しかけた。
「・・ビスマルク・・・俺がわかるか?」
「・・・ぁ・・・アド・・ミ・・・ラル・・?」
俺の声がわかったのかビスマルクは徐々に顔を上げた。
「ビスマルク・・もう大丈夫だ・・だから・な?」
俺はポケットからハンカチを取り出すとビスマルクの涙を拭いた。
「・・アドミラル・・本当に・・アドミラルなの・・?」
「俺を忘れた、っ!・・のか?」
腹部の痛みが増してきた。再び左手を当てるとその手は血で染まっていた。
これは・・結構やばいかな・・
そう思いながらビスマルクを右手だけ抱きしめると、ビスマルクは両手を俺の肩においてよりついてきた。腹部の痛みのせいでうまく力が入らなかったがなんとか持ちこたえると、ビスマルクをやさしく立たせ、俺も立ち上がった。ふと床を見るとそこは血で染まっていた。俺の下半身も血で染まっている。俺はビスマルクを右手で支えながら隊員たちのいる入口に向かった。
ビスマルクは俺のそばで”アドミラル、アドミラル”と泣きながら言っていた。
視界がだんだんぼやけてきて、入り口付近にいる隊員達のすぐ前まで来たところで視界が真っ白になった。
隊員達の叫ぶ声が聞こえる。どうやら俺は倒れたようだ。横ではビスマルクが何か言っているが、よく聞き取れなかった。
そしてとうとう俺は意識を失った。
西暦2115年 11月 13日
ビスマルク
私は暗い部屋の中でうずくまって泣いていた。誰もいなくなった部屋の中で。
先週、出撃した艦隊が帰還した。
結果は大敗北。
出撃した300隻のうち284隻が轟沈し、帰還した者も全員中破または大破していた。
そしてその帰還した者の中にプリンツ、レーベ、マックスの姿はなかった。
それを聞いた私はそれからずっと暗い部屋の中に閉じこもっていた。
度々外から声がして仲間が叫ぶ声が聞こえた。そのたびに私は恐怖で体が震えた。
どうしてこんな事になってるんだろう・・・
2か月前、私とプリンツの二人は海の上にいた。
海の上に浮かんでいるのではなく、艦の艦橋にいた。
艤装と同じように妖精さんもいた。
私はふとここに来たことがある気がした。何もない海のど真ん中なのになぜかそう思えた。
プリンツとともに東に進むとそこはフランスのブレストとほぼ同じ地形があった。
そう、私がいたのは私が艦だった頃に沈没した場所。フランスのブレスト西方650キロメートルだった。
なぜこんなところにいるのかはわからないが、とにかくアドミラルのいる日本に向かうことにした。
でも燃料はあまりなく日本まで行ける分がなかったので、日本の同盟国であるアメリカによって何とかして燃料を補給することにした。
低速で航行したので時間がかかってしまったが、ようやくアメリカ本土の近くまで来た。
「姉さん、前方に感あり。数は3、高速艦艇みたい」
私はたぶんアメリカ軍の警備艦隊だろうと思い、素直に動力を停止した。
10分ほどすると警備艦隊が到着して、接舷許可を求めてきた。
下手に断ると砲撃してくるかもしれなかったので許可した。私は出迎えるために甲板まで出て行った。
甲板で待機していると接舷した船から十人ほどの兵士が乗り込んできた。
私は挨拶をしようと近づいたが、挨拶をしようとした瞬間銃を突き付けられた。
「!?待って!私たちは敵じゃないわ!私はビスマルク、日本横須賀鎮守府所属の艦娘よ!」
私がそう叫ぶように訴えると兵士たちが困惑した表情をした。この世界で艦娘を知らないはずはない、民間にも広く伝わっているはずだった。
相手の指揮官と思われる人が”とにかく事情を聴くから一時的に拘束させていただく”と言ってきたので、仕方なく従った。
私とプリンツは、港に着くと司令部と思われる建物のすぐ近くにある宿舎に軟禁された。そして私たちは驚愕の事実を知った。今は西暦2115年で既にアメリカも日本という国も存在せず、世界は主に今私たちがいるガルメチアス帝国と、民主共和制ロンディバルト帝国の2国に分かれて戦争をしているということだった。つまり私とプリンツは未来に来てしまったのだ。
最初にあった指揮官はエリク・ロウルという人だった。その人は私たちにとてもよくしてくれた。宿舎の部屋を私たちのために用意してくれたり、食事などもしっかりと出すように取り計らってくれた。
そんなことで1週間が過ぎたその日。私とプリンツは部屋でこれからどうするか考えていた。
アドミラルのいる日本はもう存在せず、そもそも100年経った今アドミラル自身が生きているはずもない。このままここでお世話になることも考えたが、私たちは解体され普通の人間にならない限り年をとることはないのでやめた。他に妙案も浮かばないまま2時間が過ぎ、昼ごろになったとき外から声が聞こえた。ロウルさんが来たのだろうと思いドアの方に向かうと外の声が聞こえてきた。
(ヴィーヘル男爵!許可もなしに押しかけられては困ります!)
ロウルさんの声が聞こえた。
(ラーテンダム公からの許可を取ってある。さっさと通せ)
(しかし、司令部の許可なしでは・・)
(黙れ!ラーテンダム公からの許可を取ってあるのだから問題ないであろう!)
(しかし、いかに上級大将の地位にあるラーテンダム公の許可を得たといっても軍の規則は順守していただかなければk・・ぐっ・・・)
ロウルさんが話し終わる前にゴスッっという音が聞こえた。ロウルさんが殴られたのだろうと思った。私とプリンツは怖くなって奥の部屋に閉じこもった。
(平民ごときが門閥貴族たる私に差し出口を叩くな!)
背中から怒鳴り声が聞こえる。私は耳をふさいで走った。
(・・・・・)
(この部屋だな?)
(・・・・はい・・)
ドアの開く音がした。私はプリンツを抱きしめながら床にうずくまった。
足音が近づいてくる。少し上を向くと、そこには数人の中世の貴族服を着た男が数人たっていた。
私とプリンツは貴族服を着た男たちに連れて行かれ、そこでいろんな実験させられ、その結果から艦娘の建造などが出来るようになってしまった。
最終的には336隻の艦娘が建造され、その一部は貴族たちの慰み者として度々宿舎から連れて行かれた。
そして10月8日。
艦娘300隻からなる大艦隊が反乱軍(帝国ではロンディバルトの事を反徒と認識しているらしい)のラブレンチヤというところ出撃した。
プリンツ、レーベ、マックスといったドイツ艦。リットリオ、ローマ、ジュゼッペ、ピエモンテといったイタリア艦。そして扶桑型、葛城、そして金剛型4隻といった日本艦の混成艦隊。装備は建造時に持っている装備だけでほとんどの子は訓練も何もしていないレベル1の状態だった。
勝てるはずがなかった。ただ数が多いだけの艦隊で勝てるはずがなかった。私がプリンツと変わっていれば彼女は死なずに済んだ。貴族たちを説得して止めさせることだってできた。なのに私は何もできずただ見送ることしかできなかった。
・・・もう私は生きている自身がない・・・。
でも死ぬ前に、死んでいった仲間の敵を討つ。
私は明石さんにひそかに鋼材と弾薬を渡して武器を作ってもらった。
私たちの艤装は出撃する直前に渡され、他のときは使うことは許されていないのだ。
外から足音が聞こえた。貴族たちがまた来たのだろう。
私は隠してある銃を手に持った。弾は5発。一発は自分が死ぬためにいるから4発。
足音が聞こえなくなった。そしてその数秒後扉が開かれた。
私は銃を構えると、震える手を等にか押さえてトリガーを引いた。
BAMM!!
男の一人に命中した。その周囲にいた男たちが銃を構えて周りを警戒しだした。
やった・・・奴らにも私たちの痛みを思い知らせてやった・・・
私は急に力が抜け、銃を構えることが出来なくなった。
プリンツ・・レーベ・・マックス・・みんな、敵は・・・討ったわよ・・・
そう思って銃に再び力を籠めようとするとさっき撃った男がこちらに向かってくるのが見えた。
まだしんでいなかった!!私はふたたび銃を男の方に向けた。
でも力が入らずいつまでもトリガーを引けなかった。私は必死に涙を止めようとしたが私の目からは雨のように涙が流れた。既に目がよく見えなくなるほどだった。
目の前に黒いものが見えた。よく見るとそれはさっきの男だった。
私は銃のトリガーを引こうと力を込めた、が・・・
その男に銃を取り上げられ、声をかけられた。
「・・ビスマルク・・・俺がわかるか?」
その声は提督の声によく似ていた。私はトリガーを引くのを止め、ゆっくり顔を上げた。
「・・・ぁ・・・アド・・ミ・・・ラル・・?」
かすれた声で私は問いかけた。
「ビスマルク・・もう大丈夫だ・・だから・な?」
やっぱりそれは提督の声だった。
「・・アドミラル・・本当に・・アドミラルなの・・?」
「俺を忘れた、っ!・・のか?」
するとアドミラルは私を右手で抱きしめてきた。私は涙をふくとアドミラルの両肩に手を置いて寄り付いた。私の頭にアドミラルの手が乗った。やさしくなでられた。
やっと・・・やっとアドミラルに会えた・・・
アドミラルにやさしく起こされると、右手で支えられながら歩き始めた。
入口の近くにはさっきの銃を持った男が10人ほどいた。
入り繰りまであと少しというところで横にいたアドミラルが急にその場に倒れた。
その時私はすぐに何が起きたのか気が付いた。
そうだ、私がアドミラルを撃ってしまったんだ、と。
銃を持った男たちが”閣下!!”と言って駆けつけてきた。
私は倒れたアドミラルの隣でただ呼ぶことしかできなかった・・・
後書き
これは酷い・・・
と思った方は感想で”これは酷い”とコメントしてください。作者の心が崩壊します。
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