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詩集「棘」

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鬼灯幻想



心はどこへ消えてゆく?
叶わぬ恋慕に悲嘆して
つまらぬ言葉に蹉いた

出会えしことのなかりせば
痛みし胸もあるまいに
いかに今を生き抜けと?

鬼灯一つ灯しては
君を想いて 涙して
朱い黄昏 宵の先
影を纏うは幻か…


想いはどこへ消えてゆく?届かぬ君の手 遠去かり
温もり求む術もない

焦がれる恋はまやかしか?
途惑い歩む人生に
どんな意味があると云う?

鬼灯一つ灯しては
淋しき今を慰むる
君の姿を映しては
いつしか闇へ呑まれゆく…


星影の数の愛しき想い
人によりては儚きて
抱く心の彷徨いし
君なき野山の虚しきや


鬼灯一つ灯しては
ありえぬ未来 夢に見る
願いは枯れて舞い落ちし
君とあらねば価値もなく

鬼灯一つ灯しては
君を想いて溜め息を
洩らして揺れし灯火を
眺むや宵の…鬼灯幻想



 
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