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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
  1070話

 恭順派の本拠地。通信機の向こうで発されたエザリアの声は、間違いなくそう言っていた。

「本当か?」
『ええ。詳しい話はオーストラリア基地の第1ブリーフィングルームで話すわ。丁度今ここにいるんでしょう?』
「ああ、よく分かったな」

 まるで図ったかのようなタイミングだっただけに、どうしても疑問は生じる。
 だが、エザリアは小さく笑みすら浮かべて口を開く。

『元々の予定通りならそろそろ戻ってくる筈だったでしょう? まぁ、それはともかくとして……丁度アクセルが帰ってきたタイミングでこの報告が入って来たのは、運が良かったのか、悪かったのか』
「良かったに決まってるだろ。とにかく、すぐにブリーフィングルームに向かう」

 それだけを告げ、量産型Wに生け捕りにしたBETAの処理を命令すると影のゲートを展開してそこへと沈んでいく。
 文字通りの意味ですぐに目的の場所へと到着すると、そこにはすでにエザリアの姿があった。
 他にも一緒に報告を受けたのだろう。レオンの姿もある。
 あやかと千鶴の姿がないのは……ああ、そう言えばマクロス世界とギアス世界の方で何かの交渉があるって昨日夕食の時に言ってたな。恐らくそっちにいるんだろう。

「それで、恭順派のアジトを見つけたって?」
「本拠地よ」
「奴等には本拠地という言葉すら勿体ない。アジトで十分だよ」

 俺の言葉を聞き、呆れた表情を浮かべるエザリアに短く返す。
 エザリアにしても俺の言葉に異論はなかったのか、小さく肩を竦めただけでそれ以上は反論してこない。

「ま、そのアジトが見つかったわ。今シャドウミラーの幹部にも連絡を取っているけど、通信なり直接ここに来るなりするにしても、もう少し時間が掛かるわね。なら、その間に簡単に説明をしておきましょうか。レオン」
「はい」

 エザリアの言葉にレオンが小さく頷くと、ブリーフィングルームにある映像モニタにどこかの地図を映し出す。
 どこか見覚えのある、その地形は……脳裏で思い出すまでもなく、すぐに理解する。

「アラスカか!?」

 そう。現在映像モニタに映し出されているのは、間違いなくアラスカの地図だった。
 恐らく宇宙にある衛星か何かから映し出されたのだろう。あるいは、シャドウミラーで打ち上げた衛星か?
 一応国連に了解を取った上で、このマブラヴ世界の宇宙空間にもシャドウミラー製の偵察衛星が打ち上げられていたりする。
 勿論当初それを打診した時には色々と渋られたのだが、シャドウミラーの技術力がこの世界を圧倒的に凌駕しているのも事実であり、BETAがやって来るのも宇宙の彼方……正確には火星方面だ。
 いや、地球に限定すれば月だけど。
 それを考えれば、少しでも性能の高い観測機器を持つ衛星は喉から手が出る程に欲しい訳で……結局はオーストラリア、日本、中東連合、アフリカ連合、イギリスといったシャドウミラーに対して友好的な国々の後押しもあって受け入れられた。
 ソ連は最後まで反対という立場を取っていたが……その辺の事情はまぁ、分からないでもない。
 ただ、シャドウミラーと比較的友好的な態度を取っていたアメリカが消極的な反対だったのは、ちょっと意外だった。
 国としてシャドウミラーと友好的に接したいという思いはあれど、別に従属国って訳じゃないんだから当然なんだろうが。
 とにかく、今の問題はそこではなくアラスカだ。

「……寧ろ、アラスカだったのは当然、とは言い過ぎですが、納得出来るのでは?」

 俺の驚きにレオンが冷静に返す。
 確かに当然とはまではいかないが、納得出来る場所ではあるよな。
 アラスカというのは、ソ連が租借地としてアメリカから借りている場所だ。そしてソ連の租借地とアメリカの間には、緩衝地帯とでも呼ぶべき場所がある。
 これについては、当然と言えるだろう。そもそもソ連とアメリカは東西冷戦の関係もあってお互いを敵国として認識していた。
 BETAの存在もあって冷戦は済し崩し的に終わりを告げたが、それでもソ連とアメリカが最大の敵国同士だったというのは事実。
 そんな状況でアラスカを租借地としたのだから、まさに犬と猿を1つの部屋の中に閉じ込めたのも同然だろう。文字通りの犬猿の仲だ。
 そのままアメリカとソ連を隣接させておけば当然喧嘩に……それこそ戦争になる可能性が高い。だからこそ、緩衝地帯が必要だった訳だ。
 そして、その緩衝地帯こそが恭順派の本拠地。
 確かにここにある以上はそう簡単に見つかる筈もないというのは理解出来る。
 何より、これまで散々怪しげな行動を取ってきたソ連が近くにいるのが怪し過ぎた。

「ソ連と繋がっていると思うか?」
「そうですね。前々から恭順派には何らかの背後関係があると考えられていました。あれだけの資金や武器、人材を用意出来ている以上は当然ですが……それがソ連だとすれば、寧ろ納得出来るのでは?」

 レオンも俺と同様の意見なのだろう。だが……

「そうかしら? これ見よがしにこんな位置に本拠地を置くとなると、まるでソ連を疑って欲しいと言っているように思えるのだけど」

 映像モニタに映し出されているアラスカを見ながら呟くエザリア。

「向こうにしても恭順派という危険な存在を手元に置くんだ。きちんと目の届く場所において把握したいと考えるので当然だと思うが?」
「アクセルの言いたい事も分かるけど、この状況で見つかってしまえば言い訳出来ないわよ? 実際、私達が見つけてそういう風に思っている訳だし」
「……なるほど」

 難しい表情を浮かべているエザリアだが、考えすぎ……そう思うのは、俺がお気楽すぎるだけだろうか。

「とにかく、この件を国連……いや、それもまた難しいか」

 国連というのは、国の集合体だ。当然その国の中にはソ連も入っており、更にはかつての超大国という地位や、現状でも高い技術力をもっているだけあって、相応の影響力がある。
 特にソ連は今でも影響力が高い。この件を向こうに知られれば、即座に恭順派の方に情報が流れるだろう。
 国連に情報を流して、俺達が率先して本拠地に攻め込んだときには既に誰もいなくなっていましたなんて事になったら、洒落にもならない。
 面子を思い切り潰され、それこそマブラヴ世界での俺達シャドウミラーの影響力すらも落ちる事になりそうだし。
 やっぱり問題はアラスカの緩衝地帯って事だよな。ソ連から近いから、アナログ的な連絡方法であっても十分連絡が間に合うと思われる。

「となると、こっちで独自に動くしかないか。少なくてもアメリカには連絡を入れる必要はあるだろうが」

 その言葉に、エザリアとレオンの2人共が頷く。
 オーストラリアや日本から急速に国力の差を詰められつつあるアメリカだが、それでもやはり現状でマブラヴ世界で1位の国力を持っているというのは揺るがしようのない事実だ。
 更にアラスカはアメリカがソ連に貸している以上、出来れば前もって根回しをしておいた方がいい。

「エザリア、レオン。早速根回しの方を頼む。それが済んだら、こっちの方で恭順派のトップを一網打尽にする」
「ええ」
「分かりました」

 頷く2人を見て、ふと気になった事を尋ねる。

「それで、結局アラスカの緩衝地帯に恭順派の本拠地があるっていうのは、どうやって発見したんだ? 今まで見つからなかった以上、向こうだって相当に警戒していた筈だろ?」
「ああ、その件ですか。それに関しては日本からのリークです」
「……日本から?」

 レオンの言葉に思わず首を傾げる。
 てっきりアメリカのCIA辺りが動いたのかと思っていたからだ。
 正直、アナログな手法になるとシャドウミラーが弱いというのは実証済みなので、今回はそれを抜きにしている。
 だが……それが日本? 何がどうなって日本からその情報が入ったんだ?
 そもそも、日本はアメリカ側の陣営だ。そこからどうやってソ連の情報を……
 大体、日本に情報があったのなら、先程崇継の通信でその辺を匂わせるなりなんなりしてもいいだろうが、そういうのも一切なかった。
 崇継とところまでまだ情報が届いていなかったのか、それともまだ情報を漏らすのは早いと思ったのか。
 俺の疑問を理解したのだろう。レオンが特に驚いた様子もなく口を開く。

「帝国情報省外務二課という場所からの情報らしいですね」
「情報省?」
「はい。日本の中でも相当に腕利きの者達が揃っているらしく、そこからの情報という時点で間違いはないと思ってもいい、と。こちらに情報を提供した人物は自慢そうに言ってました」

 自慢、ね。そこまで言うのなら、恐らく本当にアラスカの緩衝地帯に恭順派の基地があるのは間違いないのだろう。
 一応、今映し出されている偵察衛星でしっかりと確認は必要だろうが、制圧を前提に考えてもいいか。

「エザリア、この件は他の面子には?」
「勿論知らせてあるわ。ただ、こっちに来るのは時間が掛かるから、そろそろ……」
『おや、どうやら丁度良かったらしいな』

 まるでタイミングを計ったかのように映像モニタに映し出されたのは、実働班を率いているコーネリアの顔だった。その背後ににはスレイを始めとして他の実働班の面々の姿もある。
 恐らく訓練しているところに連絡が入ったのだろう。

「丁度良かった。コーネリア、恭順派の本拠地を制圧するとしたら準備はどの程度掛かる?」
『ふむ、そうだな。早ければ今日明日、どんなに時間が掛かったとしても明後日には準備出来るな』
「となると……エザリア、アメリカに対してアラスカで部隊を展開するという話をして、その了解を得るにはどのくらい掛かりそうだ?」

 実働班の準備が今日明日にでも出来るのなら、襲撃計画を今日立てて、明日恭順派の本拠地を襲撃するという流れに持って行きたい。
 だが……

「さすがに今日明日というのはちょっと難しいわね。向こうにしてもマブラヴ世界でトップに立つという自負があるでしょうし、自分達の目と鼻の先でシャドウミラーが部隊展開していいとは言えないと思うわ」
「確かにエザリアさんの言う通りでしょうね。それにアメリカにしてみれば、目と鼻の先に恭順派の本拠地があったのに見つける事ができなかった。更にそれを見つけたのが自分達よりも格下と考えている日本となると……面目を保つ為にも、自分達で恭順派の本拠地を制圧しようと考えてもおかしくはありません」
「そうね。しかも、恭順派というのは私達も被害を受けているけど、本質的にはこのマブラヴ世界のテロ組織よ。シャドウミラーとアメリカのどちらが動くのが正しいのかと言われれば……」
「後者、か」

 エザリアとレオンの言葉に、思わず溜息と共に呟く。
 だが、恭順派に狙われているのが俺達である以上はこのまま捨て置く訳にいかないのも事実。となるとしょうがないか。

「分かった。なら向こうの面子も保つように考えて、アメリカとの共同作戦という形で話を持って行ってくれ」
「でしょうね。それがベストの選択だと思うわ。けど……」

 チラリ、と映像モニタに映し出されている画面……より正確にコーネリア以外の数名に視線を向ける。
 スティング、アウル、レイとかの、若い世代の者達だ。
 ……若い世代ってのも俺が言うのはちょっとらしくないか?
 エザリアにしてみれば、自分の養子でもある2人が心配なのだろう。
 レイ辺りはその2人と仲がいいから心配しているとかか?

「とにかく、出来るだけ早くアメリカとの調整を終えてくれ。向こうの面子とかもあるんだろうが、俺達が標的となっている以上は向こうに頼りすぎというのも色々と面白くない。それに、ソ連と繋がっているのなら証拠は是非とも得ておきたい」

 アメリカの力で解決されると、証拠の件がどうなるのか微妙に不安なんだよな。
 自分達に都合のいいように変えられかねない。
 確かに現状を見る限りだと、恭順派の後ろ盾になっているのはソ連で間違いないと思う。今までにも色々と怪しい動きをしてきたのをこの目で見てきたし、その辺は疑っていない。
 だが、だからと言って後ろ盾になっているのがソ連だけとは限らない。
 俺の脳裏を過ぎるのは、恭順派が使っていたF-15Eだ。
 ソ連の後ろ盾があるのなら、当然戦力として使う戦術機にしてもソ連製の物が……MiG系列や、Su系列の戦術機の方が調達しやすい筈。
 勿論、自分達の関与が疑われるのを避ける為にアメリカ製の戦術機を用意したというのは十分に考えられる。
 しかし、アメリカ製で統一する根拠は何だ? それこそ、恭順派の背後にいるのはアメリカであるとこっちに示したかったのか?

「……嫌な予感がするな」
『アクセル? どうかしたのか?』

 思わず呟いた言葉に、コーネリアが聞き返してくる。

「コーネリア、気をつけろ。何か嫌な予感がする。念動力じゃないが、何かを見落としている……あるいは見逃している? そんな感じだ」
『念動力ではないとしても、これまで無数の修羅場を潜り抜けてきたアクセルの勘だ。馬鹿に出来るものではないというのは理解している。マブラヴ世界である以上、戦力的な奥の手が向こうにあるという可能性は少ないだろう。だとすればそれ以外の……さて、何だろうな』

 ニヤリとした笑みを浮かべるコーネリアに頼もしさを覚えつつ、俺もまた笑みを返すのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:355
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1180 
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