鎮守府にガンダム(擬き)が配備されました。
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第2部
第6話 居酒屋鳳翔へようこそ
前書き
更新遅れてすまんぬ(>人<;)
スマホ止まって絶賛フラストレーション貯蓄中。
俺にはもうWi-Fiしかないんだッ‼︎
いよいよ新しい人達が出始めます。
ってか内容がグダグダで……必ず書き直そう(迫真)
感想まってます。
ではどうぞ
9月29日
鹿島鎮守府 酒保区間
居酒屋鳳翔
宵闇が辺りを包み込む時間。
鎮守府中に灯りが灯り、夜間警備の鑑娘が出航準備に追われる。
その夜の闇の中、酒保区間の一角にポツリと建つ小さな小屋から、暖かい光が漏れ出していた。
「ちわ〜〜っす」
「あー、腹減った」
「あら、いらっしゃい皆さん。
今日もお疲れ様でした、さぁどうぞ」
数人の兵士…エインヘリアル艦隊の隊員が引戸を開けて中へ入ると、おでんや焼き鳥の香ばしい香りが鼻孔をくすぐった。
「お邪魔しま〜す。
鳳翔さん、生ビール大ジョッキで。
あと鶏皮と…おでんの大根と昆布、白滝で」
「あ、俺も同じ奴ください」
「俺も同じで、あと砂肝お願いします」
「はい、ありがとうございます」
此処は居酒屋鳳翔。
軽空母鳳翔が夜間のみ開店する特別な酒保だ。
半年前から空母娘や戦艦娘、重巡娘などを中心に慰安目的で設立された。
今では半舷上陸しているエインヘリアル艦隊の隊員も連日やってきて、古き良き居酒屋というシステムを堪能している。
「生ビール大ジョッキ3つ、お待たせしました」
「あざ〜っす」
「んじゃま、今日もお疲れッ‼︎」
「「「かんぱ〜いッ‼︎」」」
ガチャガチャとジョッキがぶつかり合い、3人揃ってビールを仰ぐ。
程よい苦味と酸味が舌と喉を刺激し、胃の中にアルコールが充満する。
「ッカ〜〜ッ‼︎ 美味ェ〜〜ッ‼︎」
「やっぱビールはうまいな」
「此処で飲むビールは、だろ‼︎」
「あったりめぇだバ〜ロ〜ッ‼︎」
「うふふ、お粗末様です」
御通しのほうれん草のお浸しを摘みながらビールを口に流し込む隊員を見ながら、鳳翔は笑った。
以前は好評を博して長蛇の列を作っていた隊員達だが、それではゆっくりできないという鳳翔の提案で今は1日1部隊ごとに区切って来店している。
以外にもこの制度はエインヘリアル艦隊内でも人気を博していた。
何故なら……。
「戦艦長門、突撃するッ‼︎」
「あらあら、先客が居たみたいね」
「ウヒョ〜〜ッ‼︎ 長門ちゃんだ〜〜ッ‼︎」
「陸奥ちゃ〜〜ん、待ってたぜ〜〜ッ‼︎」
「あ、どうぞ此方へ」
日毎に来店する艦娘も区切られており、御目当ての艦娘と一緒に酒が飲めるとあって、特に男性隊員に好評なのだった。
「ビールを頼む、大ジョッキでだ」
「私はコップで」
「はい、喜んで。
今日の御通しはほうれん草のお浸しですよ」
「うむ、素晴らしい」
「美味しそうね、頂きます」
艤装を外した長門と陸奥が隊員達の隣に腰を下ろす。
程よく酔いの回った隊員達は御目当ての艦娘の登場に有頂天になっている。
「今日も出撃、お疲れっしたッ‼︎」
「長門ちゃん今日もカッコよかったぜ〜ッ‼︎」
「ふふ、当たり前だ、第1艦隊旗艦の名は伊達ではないぞ?」
「陸奥さん、砂肝どうぞ」
「あらあら、ありがとう」
出されたビールを一気に煽りながら、長門は誇らしげに胸を張った。
「ちぃ〜〜っす、鳳翔さん」
「ちわっす、遅れました」
「中隊長遅いっすよ〜」
「うるせぇやい、お前ぇらの書類に目ぇ通してたんだからしゃ〜ね〜だろぅが」
「「「あざ〜っすww」」」
「ったく、この愚連隊共。
あ、鳳翔さん、熱燗とねぎま、頼んますわ」
「俺はビールとおでんのつくねを」
「は〜〜い、ありがとうございます」
更に2人追加され、店内が活気付いてきた。
「ちわ〜」
「ただいまー、母さん」
「おかえりなさい、一葉ちゃん。
ラリーさんも、お疲れ様でした」
そして夜は深まる。
また1日、平和な日常を……皆が平穏を願う日々が過ぎていった。
◉◉◉
酔っ払った隊員と艦娘が座敷に転がる中、カウンター席に座って寛ぐ一葉とラリーは、締めに注文した日本酒を傾けながら、静かに余韻に浸っていた。
「ああ、そういえば……」
一葉がグラスをカウンターに置きながら、思い出したように口を開いた。
「〝引越し〟の行き先が決まったよ」
「ん? ああ、移転先のか」
「ああ、確か……〝八丈島〟だったかな。
あれ? 八丈島だっけ?」
「ええ、私はそう聞いてるけど……」
食器を洗いながら鳳翔は頷いた。
大本営の指令書には、確かに〝第1024鎮守府とエインヘリアル艦隊の移転先〟に八丈島と記されていた。
「八丈島か……第1絶対防衛線、それも最前線だな」
「それだけ期待されてるって事さ。
九州の防衛ラインは徐々に勢いを取り戻してるからな。
ここで燻ってるより、オレ達を利用して太平洋側の防備を固めたいんだろ」
半分まで減ったグラスを一気に呷りながら一葉は言った。
ラリーは頷き、天井を仰ぎ見た。
「これから忙しくなるな」
「頼むぜ相棒」
「頼まれた、任せろ」
親友同士の他愛も無いやり取りに、鳳翔は微笑んだ。
◉◉◉
同時刻
伊豆諸島 御蔵島近海
海面下80m
宵闇に包まれた太平洋。
その水面下で、静かに戦いは始まっていた。
「機関出力最大ッ‼︎ トリム15ッ‼︎面舵一杯ッ‼︎」
「アイサーッ‼︎ トリム15ッ‼︎ 面舵一杯ッ‼︎」
「推進音多数ッ‼︎ 敵魚雷群接近ッ‼︎」
「焦るなッ‼︎ 所詮無誘導魚雷だッ‼︎
何としても振り切れッ‼︎」
〝それ〟は迫り来る魚雷を間一髪で振り切り、追跡者から逃れようと海中を突き進んだ。
「敵魚雷群、遠ざかりますッ‼︎」
「よし、メインタンク注水ッ‼︎
機関停止と同時にノイズ魚雷発射ッ‼︎ 無音潜行ッ‼︎ いいか、音を立てるなよッ‼︎」
一本の魚雷が放たれ、機関音が止まる。
〝それ〟は静かに、音も出さずに深海へ沈んでいった。
「……ノイズ魚雷炸裂を確認」
「〝連中〟の動きは?」
「…………徐々に遠ざかります、付近に敵影無し」
周囲に安堵の空気が流れる。
「艦長、如何しますか?
これ以上〝連中〟に時間を割いては、〝グワデン〟に危険が……」
「分かっている副長。
だが事は慎重にならなければならん。
あの日本兵達の話を信ずるなら、日本にいる艦隊は間違いなく〝連邦軍〟の艦隊だ。
最悪、出会った瞬間戦闘になる可能性すらある」
「しかし、これ以上時間を掛けては如何に〝ソロモンの悪夢〟と言えど……」
「だからこそだ、戦闘になれば此方が不利だ。
出来るだけ被害は抑えたい」
艦長と呼ばれた男は、パッシブソナーを睨みながら押し黙った。
「副長、敵が当海域を離脱し次第、メインタンクブロー。
急速浮上だ。
そろそろ艦内の空気を入れ替えなければならん」
「了解しました」
「〝ドライゼ〟艦長、敵が離脱しました。
付近に敵影無し」
「よし、急速浮上。
メインタンクブローだ」
緑色の船体を持つ潜水艦が、海底から浮上を始める。
「〝ガトー少佐〟、〝デラーズ閣下〟……今しばらくお待ちください……必ず、戻ります」
ジオン公国の潜水艦、ユーコン級〝U-801〟は月が見下ろす中、大海原へ姿を現した。
目指すは日本、九州。
新たな胎動者達の戦いは、既に始まっていた。
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