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オズのカエルマン

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第九幕その八

 熊は大喜びで魔法使い達に言いました。
「治ったよ、完全に」
「それは何よりだね」
「これで機嫌よく暮らせるよ」
「もう一度だね」
「本当にね、よかったよ」
「ただ、またね」
「うん、刺が刺さった時は」
 またそうなった時についてです、魔法使いは熊に言いました。
「どうするかだよ」
「やっぱり蜂蜜を塗るのかな」
「それが一番だけれどね」
「けれど蜂蜜を塗るとね」
 本当にどうしてもなのです、熊の場合は。このことはどの熊についても同じことであります。
「舐めずにはいられないから」
「どうすればいいかだけれど」
「それならね」
 ここでカエルマンが熊に言いました。
「蜂蜜みたいなね」
「ああしたねっとりとしたものを」
「そう、塗ればね」
「出るんだね」
「そう、いいから」
 だからだというのです。
「蜂蜜以外のねっとりしたものをね」
「それで置いておけば」
「刺は抜けるよ」
「そうなんだね」
「蜂蜜以外にもそうしたものはあるね」
「うん、この森にもね」
 そうしたものは色々あります、森の中にも。それは植物だったり動物のものだったりと様々なものがありますが。
「あるよ」
「じゃあそういうものを塗るんだ」
「わかったよ、また刺が刺さったらね」
「そうするんだ」
「有り難う、いいことがわかったよ」
 確かなお顔で答えた熊でした。
「これでもう刺は怖くないよ」
「これからも気をつけてね」
「そうするよ」
「けれどね」 
 ここで、でした。恵梨香がです。
 不思議といったお顔になってです、こうしたことを言いました。
「熊さんの手でも」
「そうね、熊さんっていったら」 
 ナターシャも言うのでした。
「厚い毛と皮に覆われていて」
「刺なんかね」
「意味がないと思うけれど」
「掌だって」
 ジョージも首を傾げさせて言いました。
「厚いのに」
「それで刺が刺さるの?」
 カルロスは熊の掌をまじまじと見ています、ブラジルには熊がいないので彼にとってはあまり縁がない生きものということもあって。
「そんな厚い掌に」
「僕達のとは比べものにならないよ」
 ジョージは自分の手も見ています。
「それでもなんだ」
「刺って刺さるのかな」
「多分だけれど」
 神宝が考えつつ言うことはといいますと。
「これはね」
「これは?」
「これはっていうと」
「うん、それだけ酷い刺もあるんだ」 
 これが神宝の考えでした。
「木の刺でもね、それにね」
「それに?」
「それにっていうと」
「その刺の刺さり方が悪かったんだ」
 だからだというのです。
「熊さんの掌にも刺さったんだ」
「そう、こんなことはね」
 熊も言うのでした。
「今までなかったんだよ」
「そうですよね、熊さんにしても」
「僕の掌は強いからね」
 熊自身もよくわかっていることです。 
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