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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another42 英気

 
前書き
現実世界に帰る大輔達。 

 
ゲンナイに程よく制裁を下した大輔とアインスはゲンナイに事情を説明した。

ゲンナイ「ふむ。確かにヴァンデモンは現実世界に侵攻しようとしておる。お主達が早く来てくれて幸いじゃった。この機能は、もっと早くお前達に渡すべきだったんじゃがなあ。ようやく完成したんじゃ」

デジモンアナライザー機能を光子郎のパソコンに搭載するゲンナイ。
これによって少しでも戦闘になった時にそれなりに敵に対応した戦いが出来ることになったということになる。

ゲンナイ「大輔と太一とヒカリは向こうにいた時に見たじゃろうが、今、デジタルワールドとお前さんらの世界は非常に境界線が曖昧になっておる。この世界全体が不安定になっておってな、いろんなエリアからデジタルゲートが歪みとして発生してしまっておる。野生のデジモン達が迷いこみそうになってのう、ホメオスタシスを中心にフェイト達が強制送還を繰り返し、対策に追われておるが、もう限界かもしれんのじゃ。デジモンは実体を保つのに電気を消費する生き物なんじゃ。だからどうしても呼吸一つするだけで電波障害が起こってしまう。二次被害も出始めておるようじゃ。お前さんらの世界は、明らかに混乱し始めておる。これ以上の混乱は何としてでも避けねばならん。お前さん達には、そのために、何としてでもやってもらいたいことがあるんじゃ」

アインス「まず、現実世界の被害を食い止めるべく、ヴァンデモンの早急な撃破、それから侵攻したデジモン達をデジタルワールドに強制送還すればよいのだろう?」

被害を最小限に抑えながら、ヴァンデモンを撃破し、デジモン達をデジタルワールドに強制送還しなければならない。

大輔「にしても現実世界からデジタルワールドにどうやって帰せばいい?ゲートポイントを探すにしても、あんまり時間はかけられないしな」

ゲンナイ「それについては問題はない。これから渡すこの装置を渡す。」

大輔「それは何だ?」

まるで今から数年後にお台場にいる子供達に配布されることになりD-ターミナルに酷似していた。

ゲンナイ「現実世界からデジタルワールドにデジモンを送り返す機能を持った装置。名付けてD-コネクション。現実世界とデジタルワールドとのメール等も可能じゃ」

光子郎「凄い、世界の境界線も関係なしにメールまで出来るなんて」

ゲンナイ「D-コネクションさえあればリアルタイムでの通信も可能じゃ。デジモン達も中に入れられるから安全に行動出来るじゃろう」

アインス「確かにな。ゲンナイ。私はあなたを見直したぞ」

大輔「見直した。本当に見直した。」

ゲンナイ「では子供達よ。向こうに賢達が使った簡易ゲートがある。出発は明日にして今日はゆっくり休みなさい」

全員【はい!!】

現実世界に戻るのは明日にして、子供達はゲンナイの家で英気を養うことにしたのだった。































ヒカリ「…………」

大輔「ヒカリちゃん、眠れないのか?」

池の近くに佇んでいたヒカリに歩み寄る大輔。

ヒカリ「大輔君…」

大輔「眠れないなりに身体を休めた方がいいよ。ヒカリちゃん、風邪がしっかり治ったわけじゃないんだし。」

ヒカリ「…うん」

大輔「怖い?」

ヒカリ「え?」

大輔「ヒカリちゃんの気持ち、分かるよ。今まで普通に暮らしていたのにいきなり選ばれし子供だのなんだの言われていきなり異世界に来ちゃったんだもんな。何も思わない方がおかしい」

ヒカリ「大輔君…」

大輔「大丈夫大丈夫。俺も含めてみんな強いから、そんなに心配しなくてもいいよ。太一さんもいるだろ?」

ヒカリ「うん…怖いけどお兄ちゃん達がいるなら怖くない。」

大輔「さあ、ヒカリちゃん。明日は早いぞ。今すぐ部屋に戻って寝た方がいい。お休みな」

ヒカリ「うん…。」

大輔は自分の部屋に戻ろうとした時、ヒカリは少し悩んだ末、打ち明けようと思った。
大輔なら信じて聞いてくれるのではないかと信じて。

ヒカリ「あの…待って…」

大輔「ん?」

ヒカリ「言って…なかったよね…?私がコロモンのことを知ってたこと…」

大輔「ああ」

ヒカリ「……私が光が丘に住んでた頃…コロモンが産まれた卵が…家に現れたの……」

そしてヒカリは、大輔にその事件当時のことを語った。
4年前に太一とヒカリの前にデジタマが出現し、それから産まれたボタモンがコロモンに進化して、太一とヒカリと友情を育んだ。
しかし早過ぎる出会いは長くは続かなかった。
ヒカリのベッドで一緒に床に就いたはずのコロモンが痙攣を始め、それを見た太一達が混乱する中、黄色い体色の恐竜…アグモンへと進化した。
この時、タイミング悪く太一達の父親が帰宅し、泥酔していた彼は妻の制止を無視して兄妹の部屋へと入ろうとし、太一は進化したアグモンを隠したい一心から、ドアに張り付いてそれを阻止した。
だが、この行動が結果的に、アグモンとアグモンの背に乗ったヒカリの次の行動を止められなくしてしまった。
アグモンはヒカリの幼い指示に従って、ヒカリが開けた窓から、外へと飛び出してしまったのだ。
そしてそこから始まったアグモンの暴走。
下手したら人死にを出したかもしれない。
自販機や電話ボックスの破壊、そして恐怖を覚え始めたヒカリに追撃をかけるように現れたオウムのようなデジモン。
ヒカリは知らないがパロットモンと呼ばれるデジモンがアグモンが進化したグレイモンと死闘を繰り広げる。
しかしパロットモンが放った青白い稲光を受けた事で、グレイモンは八神兄妹の近くで倒れ、沈黙した。
ヒカリは首から下げていたホイッスルを吹こうとし、太一が代わってホイッスルを鳴らした。
コロモン時代の記憶が残っていたのか定かではないが、気絶していたグレイモンが復活。
太一の合図と同時に、パロットモンにメガフレイムを放った。
そして、これが戦いの終焉となった。
次にヒカリが目を開けた時には、グレイモンもパロットモンも、影も形も無くなっていたのだ。
この1件が後に爆弾テロ事件として処理されたのである。

大輔「……」

大輔は前世で詳しく知らなかった光が丘テロのことを聞いて、最初に思ったのは後悔である。
あの時は何も知らなかったから、ヒカリに対して酷いことを言ってしまった。

大輔「(酷いことを言っちまったな…ごめんなヒカリちゃん)」

前世のヒカリに謝罪をしながら、大輔はヒカリの方を見遣る。
大輔の言葉を待っているのか、何も言わずにいる。
正確には言えないのかもしれないが。
大輔は口を開いて言葉を紡ぐ。
ヒカリを罪悪感から救うために。

大輔「話してくれてありがとうな。でも…光が丘テロってヒカリちゃんのせいじゃないじゃないか」

ヒカリ「え?」

まさかの言葉にヒカリは目を見開く。

大輔「だってよ、ヒカリちゃんが外に出るように指示しなくても、アグモンは勝手に外に飛び出してただろうし、オウムのデジモンと勝手に戦っただろうしな。ヒカリちゃんは光が丘テロの時、3歳か4歳くらいだろ?幼年期のコロモンならまだしも、アグモンやグレイモン…グレイモンとオウムのデジモンのバトルは絶対に止められねえよ。あれはどう足掻いてもなってたことさ、ヒカリちゃんが気にすることじゃねえよ」

ヒカリ「大輔君…」

大輔「それにヒカリちゃんのおかげでブイモン達に会えたんだ。感謝はしても文句言う理由はない。きっと太一さん達も同じさ…もしこれでヒカリちゃんを悪く言う馬鹿がいるなら俺が喋れないようにそいつの声帯を潰してやる。だからヒカリちゃんは無実の罪に苦しんでいる自分を許してやれよ。」

ヒカリ「大輔君…っ」

罵倒するどころか、自分の罪ではないと論してくれる大輔にヒカリは大粒の涙を流した。

大輔「よしよし、頑張ったなヒカリちゃん」

泣きじゃくるヒカリの頭を撫でてやる大輔。
ヒカリが泣きやむまでずっとそうしてやった。









































翌日の朝、全員が大輔とアインスお手製の朝食を平らげると、賢達が使っていた簡易ゲートのある部屋に向かう。

ゲンナイ「では頼んだぞ子供達よ。」

大輔「ああ、任せとけ。ヒカリちゃんとアインスはヒカリちゃんの自宅の前でいいんだよな?」

ヒカリ「うん」

別の場所に移動するために、ヒカリとアインスは大輔達の後に現実世界に向かう。

大輔「じゃあ帰ろう」

大輔達は先に現実世界に帰るのであった。





























太一「ここは……」

大輔「俺達がいたキャンプ場ですね」

丈「ということは帰ってこられたんだ!!」

ミミ「やった~~~っ!!!!」

ブイモン[やったな]

大輔「ああ、ブイモン。D-コネクションの中に入っとけ」

ブイモン[ほーい。ちぇ、また監禁生活に逆戻りか…]

大輔「人聞きの悪いことを言うな!!」

ブイモンの頭に鉄拳を叩き落とす大輔。
D-コネクションにヒカリとアインスからメールが来た。
どうやら2人も無事に現実世界に戻れたようだ。
太一達もD-コネクションにアグモン達を入れる。
傍目からはゲーム機のように見える。

ヤマト「本当に便利だな。デジモンを入れられるなんて」

光子郎「これなら安全にデジモンを連れていけますね」

空「みんなの所に戻って、バスでこれからのことを考えましょう」

こうして現実世界に戻って来れた子供達。
































そして一足先に現実世界に戻っていた賢達は、光が丘で暴れているデジモン達を強制送還していた。

はやて「これで何体目や!?」

ルカ「愚問ですよはやてさん。12体目です」

スバル「何でこんなにも大量にいるの……」

フェイト「ヴァンデモン達もそれだけ現実世界侵攻に本気だってことだよ」

賢「僕達に出来るのは大輔達が思う存分暴れられるようにサポートするだけさ」

全員【うん】

そして再び轟音と悲鳴が聞こえ、急いでそちらに向かうのであった。 
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