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オズのカエルマン

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第八幕その十

「ケーキさんのクッキーをね」
「ここで会ったのも何かの縁だし」
「今あればだけれど」
「よかったらね」
「僕達にね」
「ご馳走してくれるかな」
「クッキーならね」
 そえならとです、ケーキははっとしたお顔になってでした。
 左手に持っているバスケットから黄色い袋に入っているものを取り出しました、ですがここでナターシャが言いました。
「あの、眠り薬をかけた」
「あのクッキーのことね」
「それではないですよね」
「あのクッキーは紫の袋よ」
「それに入れたんですね」
「そう、だからね」
「そのクッキーは大丈夫ですね」
 そうだというのです。
「食べても」
「そう、食べても寝たりしないわ」
「だからそのクッキーをですね」
「狼さん達にプレゼントするわ」
「わかりました」
 ナターシャもここまで聞いて頷きました、そしてです。
 狼達はそのクッキーを食べてです、とても嬉しそうに言いました。
「いや、噂以上」
「そうだよね」
「ケーキさんのクッキーの味はね」
「凄いよ」
「凄く美味しいよ」
 こう言うのでした。
「こんな美味しいお菓子があるなんてね」
「そしてそのお菓子を食べられるって」
「魔法使いさん達も幸せだよ」
「本当にね」
「少しいいかな」
 カエルマンはそのとても嬉しそうな狼達に尋ねました。
「君達に聞きたいことがあるけれど」
「うん、何かな」
「僕達に何か聞きたいことがあるっていうと」
「一体何かな」
「この森に人を襲う様な獣はいるかな」
 尋ねたのはこのことでした。
「カリダみたいなのは」
「ううん、カリダはいないけれど」
「熊がいるよ」
「普段は大人しいけれどね」
「最近ね」
「妙に機嫌が悪いんだ」
 狼達はこうカエルマンに答えました。
「それで僕達もね」
「あまりね」
「その熊には近寄っていないんだ」
「不機嫌なのがわかるから」
「だからその熊にはね」
「注意してね」
「そうなんだ、わかったよ」
 カエルマンは頷きました、それで。
 皆にです、こう言いました。
「じゃあ熊に会ったら」
「そうですね」
 恵梨香がカエルマンに深刻な感じのお顔で答えました。
「気をつけないと」
「熊はね」 
 オズの国の熊はといいますと。
「大抵は大人しいけれど」
「そうでない熊もいますよね」
「うん、僕も襲われたことがあるしね」
 魔法使いはかつてドロシー達と一緒にした冒険のことからお話しました。またこの国に戻って来た時のことです。
「姿が見えない熊にね」
「そうでしたね」
「そう、だからね」
 それでとです、魔法使いは恵梨香にもお話するのでした。
「熊には気をつけないと」
「いけないですね」
「うん、だからね」
 それでというのです。 
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