戦国異伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百二十話 戸次川の戦いその六
「天下のことをさらに定める時にな、とはいっても」
「奇妙様とですな」
「その他にも」
「茶筅達もおるからな」
だからだというのだ。
「あ奴等のことも定めておくわ」
「ですか」
「そうしたことも」
石田も大谷も言うのだった。
「定めておくとしよう、しかしやはり奇妙じゃ」
「上様の跡継ぎは」
「あの方ですな」
「これでおおよそわかった、あ奴なら出来る」
こう言ってだ、信長は笑うのだった。その集まった兵糧はかなりだった。
それに対して島津はだ、兵が食えるだけの兵糧はあるが。
買おうとした兵糧が買い占められていることを見てだ、義久は弟達に苦い顔で言った。
「まさかな」
「はい、兵糧を買い占められるとは」
「我等の分までの米まで」
「それまで買い占められるとは」
弟達、義弘と歳久、家久も言うのだった。
「思いませんでした」
「流石にそこまでは」
「それがしも」
「わしもじゃ」
義久も苦い顔のまま言った。
「戦の分の兵糧はあるが」
「それでもですな」
「ここまで買われるとは」
「想像もしていませんでした」
「信忠殿がそうさせたというが」
義久はこのことは聞いていた、それでここで言うのだ。
「織田家は跡継ぎにも恵まれておるな」
「ですな」
家久が強い声で長兄に応えた。
「あの御仁も」
「うむ、信長公の跡継ぎとして相応しいのう」
「その信忠殿ですが」
今度は歳久が義久に言った。
「戸次川に向かっておられます」
「こちらの読み通りじゃな」
「その数はおよそ二十万」
それだけの数の兵達をというのだ。
「進ませております」
「信長公は後詰じゃな」
「はい」
歳久はこうも答えた。
「あの方は今は」
「そうか」
「ではじゃ」
「はい、それでは」
「我等も戸次川に向かいじゃ」
「戦われますな」
「島津家の戦を見せてじゃ」
そしてというのだ。
「引き分けに何として持ち込んでな」
「そのうえで」
「九州を認めてもらう」
この地の全てをというのだ。
「そうさせてもらう」
「では」
「我等四人で向かうとしよう」
その戸次川にというのだ。
「よいな」
「わかり申した」
弟達も応える、そして。
ここでだ、ふとだった。
喜久は義弘にだ、こう問うた。
「それで肥後の方じゃが」
「はい、あの国のことですか」
「徳川殿が主力となり向かっておられるな」
「左様です」
「あちらには一万の兵を置いていますが」
「徳川殿は島原等には兵を向けられず」
義弘は兄にそちらの状況を話した。
ページ上へ戻る