ガンダムビルドファイターズ ~try hope~
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一時の休息
「祭りだーーー!! 」
「うるさい」
「いやいやいやいやヒロヤ君よ。だって祭りだよ? 」
「祭りなら前に行ったばっかだろ」
「相変わらずノリが悪いな~。ねえシノさん? 」
「まあそうね。ヒロヤも楽しみましょ? 」
「と言ってもなぁ……」
なぜ唐突に馬鹿が祭りだとか叫んだ理由を、簡単に説明しよう。これは遡ること前日だ。
ーーー--
「えーでは本日の試合は終了させていただきます。なお、決勝戦は明後日に行わさせていただきます」
ユウ達のバトルが終了した後アナウンスが鳴り、決勝戦は明後日やるという事を伝えられた。
「明後日?じゃあ明日はガンプラでも直す期間なのか? 」
「さあ?私にも分からないわ」
「ムウさんは何か知らないんですか? 」
「いや。俺も何も伝えられておらん」
「じゃあ何で明後日なんだ? 」
すると、アナウンスがその答えを述べてきた。
「なお主催者の急遽の案により、今年から一日だけお祭りを開催させていただきます。その一日というのは、つまり明日です!皆さん!存分に楽しんでくださいね! 」
ーーー--
………と言うわけだ。そして今に至るわけだ。
「クレープ食べに行きましょヒロヤ」
「あーはいはい…俺が払うのね……」
「うっわ。僕空気になってるよ。そんな黒〇みたいに影薄くないはずなんだけどな~」
とまあシノさんにクレープを奢らされ、トウイに八つ当たりして過ごしている。
「やあサオトメ君」
「ヨシナか。それにコムカイとアマミヤと……どちら様? 」
ヨシナ達の後ろには、ヨシナと同じく白髪の男と、丸メガネの男、小学生ぐらいの女がいた。
「そういえば初対面だったな。俺はサカキ ケイタだ!よろしくな! 」
「一応予選二回戦の相手だったんですけどね……キハラと言います」
「ミサカだ。ちなみにお前よりも年上だからな」
「あー…すまん」
心を読まれてたのか、それとも自覚があるのかそんなことを言われてしまった。まあ合ってるけどさ…。
「よっ。ついに決勝戦だな」
「頑張ってくださいね皆さん」
「ありがとうアマミヤさん。頑張るわ」
「にっしても、素人がいるってのによく勝ち進めたな」
「あ?ケンカ売ってんのかお前? 」
「違ぇって。褒めてるんだよ」
「どうだか」
「まあともかく、明日は頑張りたまえ。相手はガンプラ学園をも打ち破った聖鳳学園だ。必ず勝ちたまえよ」
「言われるまでもねえよ」
皆からエール(?)を受け取り、とりあえず一緒に行動して祭りを楽しんでいると、聖鳳学園のメンバーに出会した。
「あれ?あっ!ヒロヤ達だ! 」
「本当だ……」
「なんだお前達か」
ヒナタが呆れ顔でこちらを見てきたが、すぐに視線を自分の財布の中へと移した。ああ…アイツも俺と同じ目にあってんのか。
「ちゃんとヒロヤ達も祭りを楽しんでいるのかな? 」
「「「主に女(性)達が(です)な」」」
俺、コムカイ、キハラが声を揃えて言い、シノ、アマミヤ、ミサカを後ろ目で見る。
「ふーんそうなんだ。あっ、じゃあさ!僕達も一緒に行動しよっか! 」
「なんでそうな……いや、そうだな。では俺達もお前達と行動させてもらおう」
ヒナタが潔くユウの提案に賛同してきたが、恐らく金銭的問題を解決するためだろうな…。
「だけどなぁ。こんな大人数が一緒に行動して迷惑じゃねぇのか?なあリンドウ」
「ふむ…。サカキの言うことも一理あるな」
「じゃあ、いくつかグループを分けて行動するってのはどうですか?それだと回りにも迷惑はかかりませんし、一緒にいたい人とも行動出来ますし」
サカキとヨシナが悩んでいると、トウイがすかさず案を提案してきた。………何故だろう。こいつが言うと何かを企んでいるとしか思えないのは気のせいだろうか?
「大丈夫だって。今回は変なことは考えてないよ」
久しぶりに読まれたな~おい。なんか懐かしいな。てかそれだと前までは変なことを考えていたのかよ。
「ふむ…。確かにそれもそうだな。皆もそれで構わないだろうか? 」
「「「「異議なーし!! 」」」」
皆も賛成のようで、それぞれグループを分けたのだが…。
「なんでこうなった? 」
左のグループから言っていくと、キハラとミサカ、コムカイとサカキとヒナタとヨシナ、トウイとモチヅキ。………そして俺、シノ、アマミヤ、ユウだ…。
「てかおいヨシナのグループ!なぜそこは男で固まってんだ!? 」
「俺はサカキさんとヨシナさんの話を聞くためだ」
「俺は安全地帯に移動するためだなぁ」
「私はサカキを誘っていたのでな」
「というわけだ。よかったじゃねーかハーレムでよ~」
「何もよくないわ!!」
そこから数分間ぐらい話し合い、結果アマミヤとコムカイペアが出来た。ちなみにユウもヒナタと組ませようとしたが、双方から断固拒否されてしまった。………チームメイトなんだから仲良くしろよ…。
「ぶー。サオトメ君と一緒にいたかったです」
「あの野郎ぉ。後で覚えてろよ…」
「あーあー聞こえないな。そんじゃ、とりあえずいつ集まるんだ? 」
「そうですね。確か四時に花火が上がるそうなので、四時前にここで集合でいいですか? 」
キハラの言われた通り四時前にここで集合で決まると、皆はすぐにどっかに行ってしまった。
「……さて、じゃあ俺達も行くか」
「ええ」
「はーい! 」
ーーー--
「ミサカさん。次どこ回ろっか」
「あんパン」
「ははっ……それはあった時に食べよっか…ってあれ?ミサカさん。あれってオノじゃない? 」
遠くのベンチの方を見ると、近くに大量の食べ物を置いて食べている大男を見かけた。
「ふむ。確かにオノだな」
「祭りって単語に引き寄せられてきたのかな?なんか本当にそれっぽいけど…」
とりあえずオノの所に向かうと、気づいたのか食べている手を止めて、もう片方の手を上げてきた。
「よっ!お前ら!奇遇だな」
「はぁ~。オノ。何で今さらここにいるのさ? 」
「いやな。なんとなーくだがこう、なんと言うかこういう大会の決勝戦前日には祭りがありそうな気がしたんだよ」
「本当に祭り目的で来たのかお前は」
「まあそれは偶然だっつの。そんなことよりも、ここで会ったのも何かの縁。ついさっきあんパンが売っている屋台見かけたから一緒に行こうぜ」
「なんだと!?それはどこでだ!? 」
「そう急かすなよチミッコ。今案内してやるか…ゴホッ! 」
「チミッコ言うな! 」
ミサカさんから盛大な膝蹴りを顔面にもらいオノは倒れてしまった。
「ははっ…。まあいつもの事で、いつものメンバーだね」
ーーー--
「やはり去年戦ったデスティニー使いはサカキさんだったのか」
「そういうお前も、バトルを見てて思い出したぜ!え~と次元覇王流…だっけか?その使い手と対戦したなぁそういえば! 」
「あの時はあなた一人で結構苦しまれたな」
「まあ、あの時は粒子残量は無くなるわ時間切れとかもあって負けちまったけどな」
「ほう…。だがやはりサカキ。お前はいつも詰めが甘い」
「るっせー!バトルは楽しんでやったほうが勝ちなんだよ! 」
ーーー--
「コムカイ君。次はあれをお願いします」
「くっそ!少しは自分で払え! 」
「でもさっき、金払ってやるから機嫌直せって言ったのはコムカイ君ですよ?男に二言はないですよね? 」
「ちっ! 」
次々と屋台を回り、その全額を俺が負担している。これもあの素人のせいだ…。
「にしても決勝まで来るとはな…驚きだな」
初めて相手をした時はまだ全然ダメな素人だったが、今となっては立派なファイターに成長している。……ビルダーとしてはダメだったがな。ほとんど俺とヨシナさんでサポートしてたし。
「……頑張れよ…」
「コムカイ君。早く来てくださいー」
「あーはいはい」
ーーー--
「次あれ食べたい……」
「あーはいはい。了解です。……お金持つかなこれ? 」
「ん?なんだトウイじゃねえか」
「えっ!?何でユウキ君が屋台やってんの!? 」
綿あめ屋に入ると、捻りハチマキをしてエプロンをつけているユウキ君が綿あめを作っていた。
「叔父の手伝いだよ。バトルで負けちまったから、暇なら手伝えとか言われて無理矢理手伝わされているんだよ。……て言うか、隣にいる奴は誰だ?彼女か? 」
「ちょっと!何そのよくあるネタは?違うからね?彼女じゃないからね?ねっ、ミサキ? 」
「………………」
「何故に無言!?何かしら言ってくださいよ! 」
「じゃあ彼女です……」
「何でそうなるの!? 」
「ハッハッハッ!!良かったじゃねーか!まあダチに彼女が出来た祝いに、特別大きく作ってやるよ」
「いやだから違うからね!? 」
否定はするものをスルーされてしまい、結局綿あめの特別サイズを二つ受け取って代金を払う。(もちろん僕が…)
「不幸だ……。いやこれ不幸なのかな?……まあいいや…」
ーーー--
「はあ………」
「次はあれ食べようよシノ! 」
「ええ」
シノとユウが次の屋台に駆け足で向かっていくなか、俺は一人ため息を吐きながら二人の後ろを歩いている。
「綿あめ三つくださーい! 」
「はいよー!にしてもお嬢ちゃん達可愛いね!よーし!特別大きく作るぞ! 」
「わーい!ありがとうございます! 」
ネタが被ってる?気にすんな。俺もなんのことか分からんがとにかく気にする必要はない。
「はいヒロヤ。綿あめよ」
「いや俺は食わないぞ。お前達で食っていいぞ? 」
「何言ってんのよ。女の子がこんなに食べたら太るでしょ」
じゃあ少しは遠慮してくださいよお二人共。俺の金がハイスピードで無くなっていってるので。
「ほいやーー! 」
「ぐほぉっ!? 」
ため息を吐いた瞬間に、ユウが綿あめを俺の口に突っ込んできた。いきなりのことだったのでむせてしまった。
「おま、俺を殺す気か!? 」
「いいから食べなよヒロヤ!せっかくの綿あめが勿体ないよ!? 」
「この野郎…」
「アハハハ!ってあれ?あそこで何か人混みが出来てるね? 」
「あら、本当ね」
「…行ってみるか」
人混みの方へと向かい、掻き分けて中央に行くとガンプラバトルが行われていた。看板を見ると、『挑戦者求む!ガンプラはケースの中から選択し、10人抜きした者には豪華景品をプレゼント! 』と書かれている。
「んで、今バトルしているのが誰だが知らない奴と……なんでイガラシがバトルしてるんだよ…いややりそうだけどな…」
バトルもちょうど終了し、看板の下にある電子掲示板に七から八へと変化した。
「燃え上がるほどではないか…」
「やべえぞアイツ…。これで八連勝だ…。誰かアイツを倒してくれないかな…」
「だが相手はガンプラ学園だぞ!?いくら貸し出し用のガンプラでも、あそこまで圧倒的に差がついている! 」
どうやら運営の奴等も困っており、十連勝を防いで欲しいらしい。その時、さっきまで隣にいたはずのユウがいなくなっていた。
「はいはーい!次僕がバトルします! 」
「!?その声はミヤモト ユウか!?フフフッ…どうやら俺達は運命の赤い糸で結ばれていたようだ…。今俺は!阿修羅をも凌駕する存在だ! 」
「運営さん!僕はこのガンプラを借りますね!いきますよリュウさん! 」
イガラシのガンダムに対して、ユウはアストレイレッドフレームを選択すると、すぐさまバトルが開始された。
「……どうするシノ? 」
「まあ時間はあるようだし、少し見ていきましょうか…」
「……そうだな…」
このあと三時間ぐらいユウとイガラシは連続でバトルし、あげくのはてには俺までもバトルに参戦することになったのは知るよしもなかった…。
ーーー--
「三時半…少し早かったかな? 」
「まあいいんじゃねえの?四時前としけ言ってなかったんだろ? 」
「そうだな。だがやはり、まだ皆は集まらないな」
一足早く集合場所に来たが誰もいなかった。ちなみにオノも来ている。
「ん?キハラよ。皆が来たぞ」
ミサカさんが指差した方向を見ると、コムカイとアマミヤさん。サカキさんとヨシナさんとヒナタさんが来た。
「おーキハラ!やっぱりお前が一番乗りか! 」
「他の者はまだ来てないようだな…ところでそちらは? 」
「あっ、俺はオノっていうです! 」
「クッソ!アマミヤお前!少しは遠慮しろよな!? 」
「私ちゃんと遠慮しましたよ?少しだけですが」
「あれでかよ!? 」
そんな話をしていると、今度はサオトメ、トオサカさん、ミヤモトさん、ハルカゼ、モチヅキさんが戻ってきたが、サオトメとハルカゼとトオサカさんが少し疲れているように見えた。
「戻ったか。どうだったかね? 」
「凄く楽しかったです!ヒロヤとシノはどうだった? 」
「私も………トウイ君は……? 」
「「「凄く……」」」
「やったね!よかったねミサキちゃん!トウイもだってよ! 」
「うん……」
「それは良かったですね。そろそろ花火が上がる時間でもあるので、場所を移動しましょう」
「「「「はーい! 」」」」
皆で移動していると、最後尾に天之川学園のメンバーがゆっくりとついてきたので、少し気になって耳を傾けている。
「「「凄く……疲れた…」」」
「………気にしないでおこう」
眼鏡のズレを戻し、気にしないように歩を進める。
ーーー--
ドーン! ドーン! トドーン!
「「「「たーまやー! 」」」」
トウイ、ユウ、サカキ、オノが打ち上げられていく花火を見ながら叫んだ。子供かお前ら?
「にしても、こうも連続で見ると飽きるな…」
「あら?綺麗だからいいじゃない 」
「といってもな、俺には分からん」
「本当にノリが悪いのねヒロヤは」
「悪いかよ? 」
「別に。ただ、楽しむ心を忘れてしまってはダメよ? 」
「……分かってる」
ドーン! ドドーン! ドドドーン!
「「「「たーまやー!!! 」」」」
ーーー--
「以上を持ちまして、祭りをお開きにさせていただきます。これでとうとう残るは明日の決勝戦のみ……皆さん!盛り上がっていきましょう! 」
「さーて…そんじゃ帰るか」
「そだね」
「ええ」
お開きのアナウンスと共にすぐに宿舎に向かうと、左腕を誰かに捕まれて動けなかった。
「なんだ?ユウ? 」
「明日はお互い全力で戦おうね!約束だよ!? 」
「……何言ってんだ」
ユウの手を離した後すぐに手を握った。
「俺はいつだって全力だ。約束してやるよ。そして、明日は俺達が勝つ」
「……アハハハハ!そういえば合宿の時もそうだったね!けど、勝つのは僕達だよ! 」
手をお互い離し、宿舎に戻った。これで残るは……あとひとつだけとなった…。
後書き
さて。次はいよいよ決勝戦。ここまで長かったような短かったような…。今となってはあっという間でした。
ここで宣言しときます。決勝戦の更新は29日、30日のどれかにさせていただきます。
では!
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