ドリトル先生と森の狼達
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第七幕その十
「青春なんだよ」
「じゃあ僕の青春時代は何時までかな」
「そうだね、まああれじゃないかな」
狼さんは少し考えてから先生に答えました。
「結婚するまでかな」
「ああ、それまでなんだ」
「先生結婚してないよね」
「よくわかったね、そのことまで」
「だって雰囲気がそうだから」
結婚している人のものではないというのです。
「ここにいる皆と一緒にいることはわかるけれどね」
「結婚している感じはしないんだね」
「全然ね」
「そうなんだね」
「結婚をしたら流石に青春とは言えないからね」
そこから新たな人生がはじまるからです、結婚生活というそれが。
「だから違うと思うけれどね、僕は」
「成程ね」
「とにかく先生お相手はいるかな」
「それがいないんだ」
「あっ、一応ね」
「おられることはおられるのよ」
先生が否定するとすぐにです、狼さんに動物の皆が言葉を入れました。
「先生にはね」
「おられるのよ」
「まあ何ていうかね」
「狼さんもその辺りの事情はわかるわよね」
「先生はちょっとね」
「こうしたこともてんでだから」
スポーツだけではなくて、というのです。
「だからね」
「一応おられることはわかってね」
「先生でもね」
「そうだから」
「うん、わかったよ」
狼さんも動物の皆の説明を受けて頷きました。
「先生はそうした人だね」
「困ったことにね」
「本当にこうしたことには疎い人だから」
「もう全然」
「どうしてそうなのかって思う位に」
動物の皆が周りで必死にフォローしてもそれが追いつかない位なのです、先生はこっちの方にかけては。
「スポーツと家事、それと特にこちらがね」
「先生の苦手分野よ」
「学問は何でもでお人柄も凄くいいけれど」
「その人もそのお人柄に惹かれてなのに」
「全く、こちらのことはね」
「困った人なのよ」
「皆何を言っているのかな」
何も気付いていない顔で、です。先生は紅茶を手にしたまま目を瞬かせています。
「一体」
「ほらね、わかってないでしょ」
「何も気付いてないでしょ」
先生の今のお言葉にです、動物の皆はまた狼さんに言いました。
「何もね」
「こうした人なのよ」
「こんないい人いないのに」
「どうしたものかしらね」
「ううん、これはかなり深刻だね」
狼さんも真剣なお顔で言いました。
「確かにいい人だけれど」
「苦手分野は本当に駄目なのよ」
「先生苦手分野は才能ゼロだから」
「もう素質のその地もないのよ」
「特にこのことは」
「そうだね、けれど先生の周りには君達がいるからね」
まずは動物の皆を見てでした、そのうえで。
王子とトミーも見てです、こう言いました。
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