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4.神無異がクトゥルフ神話舞台に行くよ!

作者:クシャル
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最終回

 
前書き
ー闇に沈んだ彼女は、光を極度に恐れた 

 
ー恐山 中腹部にて

「ひいいいいいいい助けてくれええええええ‼︎」

「静まりくだされ••••‼︎」

「どうか私の命だけは••••••!ーギャアアアアアアッッッ‼︎」

あぁ邪魔だ、さっきっからずっと『あの時』の景色がチラチラと脳裏に浮かんで邪魔をしてくる

そのせいで怪我をした

本当に煩くてかなわない

「あ••••あぁ••••••!」

「嫌だ死にたくない助けてくれあぁ」

白夜は自分の障害になる邪魔な『物』を切り捨てていく、ただただ無心に。

邪魔だから殺す、ただそれだけの理由で切り捨てる。

白夜の眼は、恐ろしく冷たい色をしていた。

切って切って、紅色に染まった地面、先ほどまで人間だった死体(もの)に冷めた眼差しを向ける。

白夜は静かにため息を吐き、行方を眩まそうとした、しかしー

?「待ってください!」

白夜は振り返り、ニヒルに笑い問いかけた。

白「••••銃刀法違反って知ってるか?」

K「あなたこそ、そんな物騒なものを持ってどうしてここにいるんですか?」

そこにいたのは、ケイトたちだった。

白「見ればわかるだろう?掃除だよ、邪魔な障害物の。」

K「••••••あなたは本当に禍 白夜ですか?」

ケイトだけでなく、疎いエレン、前原までもが白夜がいつもと違うと感じていた。

白「そうだよ、何、白さんのこと分かんなくなった?頭でも打ったの?」

K「いえ、ただ••••••白夜さんはそんな笑みは浮かべませんよ、私の知っている白夜さんはもっと演技が上手です。」

白「酷いなぁ、演技だと思われてるなんて。」

K「違うんですか?どうでもいいですけど、白夜さんを返してもらえませんか?」

白「だから俺は禍 白夜だって、これが本性なの。

この惨状は俺が生んだ、これで分かったでしょ?さっさと帰れよ。」

白夜は刀に着いた血を払うと、鞘に刀を収める。

K「嫌です、今のあなたには偽りが見える。」

白「人間のガキが俺に近づこうなんざできっこないっての。」

白夜はハエを払うように手を振る。

K「なら聞きますけど、どうしてそんな辛そうな顔してるんですか?」

白「くだらない質問するね、お前も。別に俺がどんな表情しようが、俺の勝手だろ?」

K「えぇ、あなたの自由です。」

白「ならほっといてくれ。」

紅「あんたはそうやって、またいなくなるのか?」

白「••••••紅か、何百年ぶりだ?」

紅「かれこれ千年は会ってねぇよ。」

白夜は少し眼を見開いて驚くだけだった。

白「ガキのお前がでかくなったな、千年も会ってなければよく分かる。」

紅「そういうあんたは全く変わらないな、性格も何も。」

白「あっそ、俺には関係ないね。」

紅「はぁ••••強がるのも諦めろよ、いくらあんたでも隠せねぇよ。手、震えてるからな。」

白「武者震いだ。」

紅は白夜を背後から抱きしめる、ビクリと震えたものの、白夜は拒もうとはしない。

しかし、小さく縮こまって顔を青くしている。

白「••••何でそうやって俺に近くに来るんだよ、あっち行けよ。」

紅「なんつーかな、あんたには人も妖怪も、惹きつける魅力がある、俺もそれに魅せられた一人さ。

あんたが気がついてないだけだ。」

白「いらねぇよ、温もりとか、愛情とか、消えちまうもんはいらねぇよ。そんなのなくたって俺は存在できる。」

紅「でもさ、寂しいだろ。」

白「っあぁ寂しいさ、でもお前らに何ができるんだよ!弱いくせに••••一丁前に••••。」

紅「確かに俺は••••俺らはあんたと比べると天と地以上の差がある。

でも、孤独の痛さや辛さは、俺もよく分かる。」

白「だから何だよ、お前に俺が救えるか⁉︎災禍(わざわい)しか呼び込まないこの俺を、化物と呼ばれるこの俺を、お前は救えるのか⁉︎」

初めて聞く、白夜の泣きそうな声。紅は驚きながらも、優しく白夜に笑いかける。

紅「救えるわけないだろコノヤロー、俺にどうしろって言うんだよ。

俺の悲劇なんてあんたに比べればまだまだ序の口だ、あんたは誰もが同情するような扱いを受けてきた。

どうでもいいって一蹴りすんのはあんただけだ、昔も、これから先もな。」

かと思いきや思いっきり馬鹿にしたように笑う。

紅「俺はあんたに憧れてた、絶望してもなお、光を放ち続けるその存在に。

あんたに魅せられた時から、俺はあんたに着いて行くって決めたんだ。

どれだけ困難な道になろうとも、どれだけの孤独が待っていようとも、俺はあんたを絶対に裏切らないって決めたんだ。」

白「ッ••••酷なこと言うんだな、お前は。」

紅「俺だけじゃないさ、あんたに魅せられたやつはたくさんいる。

だからこうして集まったんだろ?約束もしてないのに。」

顔は隠れて紅からは見えないが、きっと慣れなくて顔が真っ赤だろう。

白「でも、俺のせいで壊れちゃうじゃん••••、みんな、みんな俺の前から、後ろから、横から••••消えていっちゃうじゃん。

だから憎悪を向けるんだろ?全部、俺がいなかったらそんなことにはならなかったんだろ••••?」

紅「ああそうだな、でも、あんたがいなきゃ、俺も、白楼も、エレンもケイトもみんないなかったんだ。

もちろんあんたの父親も母親も姉も妹も、友人もな。

酷なことを言うと、あんたがいなきゃみんな消える、存在できなくなる。

あんたは、あんたが思っている以上に必要とされている存在なんだ。

あんたを必要ないっていうやつらはただの馬鹿。」

白「••••知ってる。」

白夜は一息置いてからまた話し始めた。

白「どうして『それ』が俺の存在価値なのか、どうして『それ』が俺の使命なのかは分からん。

だから昔はよく自分から消えようとした。

でも、幾らやっても消えやしない、ただみんなの中から俺が消えていくだけ、それで時間が経ったら思い出すんだ。

それで、どうしてそんなことしたんだって叱られる。

俺の存在は俺だけのものじゃないのか?俺がどうとでもしていいものじゃないのか?

俺は俺を殺しにきたやつを殺して消してきた、人間も神も。

妖怪は一部のやつが、獣はみんな孤独の痛みとかを分かってたから、さほど嫌いじゃない。

でも、人間と神は俺の大切なものどんどん奪っていった。

俺が関わらなければ惨い死に方をすることもなかった。

だから俺は必要以上に生き物に関わるのはやめた、関わっても、すぐ逃げるようにしてた。

人間も神も大嫌いだけど、やっぱり俺をちゃんと見てくれるやつもいるから。

俺は光が怖い、臆病者だから、ずっと光に手を伸ばす勇気もなくて闇の中にいる。」

紅「この世界は••••いや、どの世界でもあんたの意思次第でどうにでもなるんだぜ?」

白「そうだろうな、俺が全て消し去りたいと全力で思えばみんな消える。

でも、俺はもう独りは嫌だ。

遠くでも、誰かがいるっていうことを理解していたい、そうすれば、俺は独りじゃないから。

それが、俺にとっても、生き物にとっても最善の策なんだ。」

エ「嘘、だよ••••なら何でそんなに辛そうな顔をしているのさ!」

白「さあな、俺は自分の感情はよく分からん。

でも、お前らといるときは幸せだっていうことはよく分かる。

ありがとな、最後まで、じゃあな。」

白夜は悲しそうな笑顔でそう言い残し、闇に紛れて消えてしまった。

白夜を止めることもできず、泣き声がただただこだました。






























































































「はいカットー‼︎」

「「「「「お疲れ様でーす!」」」」」

あれから数年後ー

エ「いいね〜、名演技名シーンだよ!」

K「何ぞこれ、私は一体なんのために連れてこられたんですか?」

エ「何ってこれを見せるためだよっ!」

K「そうですか••••。」

ケイトは脱力した。

K「••••••••それにしても懐かしいですね、映画化するんですか?」

エ「うん、なぜか分からないけど採用されてね。」

K「そうですか。」

エ「白夜くん、今頃どこにいるのかな、あれから紅さんとも白楼さんとも会えてないし。」

K「私たちは人外に仲間入りしましたしね。」

エ「うん、私ね、白夜くんを残せるなら何でもよかったんだ。

みんながフィクションだと言っても、私たちは体験したわけだからさ。」

エレンは少し悲しそうに微笑む。

K「何も出来ずじまいでしたけどね。」

エ「痛いとこつくなぁ。」

K「それにしても白夜さんを担当した役者、すごく似ていますね。」

エ「そうでしょ?最初見たときは驚いたよ、同一人物なんじゃないかってさ。」

K「名前はなんて言うんですか?」

エ「火神 白夜(かがみ はくや)くんだってさ、学生の方は火神 黒夜(かがみ くろや)くん、珍しい名前だよね。」

K「そうですね。」

「すいませーん!火神たち見ませんでしたか⁉︎」

エ「見てないけど••••。」

「そ、そうですか••••!すみませんでした!」

忙しそうだなぁ、と視線を送る二人、何気なくスタジオを見ていたエレン。

エ「••••白夜(びゃくや)••••くん?」

K「どうかしましたか?」

エ「あっ、いや、疲れてるのかな、白夜(びゃくや)くんの幻覚が見えてさ。」

K「疲れてますね、今日飲みに行きますか?パーっと、もちろん私が奢りますよ。」

エ「お言葉に甘えて行かせてもらおうかな〜、あっ呼ばれたから行ってくるね。」

エレンはパタパタと走って行ってしまった。

K「••••今頃どうしているんでしょうかね••••••。」

ケイトは遠い目で見渡す、エレンが見たという幻覚を見ようとしていた。

ふとケイトは頭上に気配を感じ上を見た。

K「••••ッ!」

ケイトは目を見開いた。

そこには足に手を乗せて頬をついた白夜(びゃくや)が様子を見ていたからだ。

白夜(びゃくや)はケイトが見ていることに気がつくと、嬉しそうに笑い、黒い霧となって闇に紛れて消えた。

ケイトはしばらくその様子を見ていたが、嬉しそうに笑った。

K「••••••全然、私たちが心配しなくても元気そうですね、本当に儚い人だ。」

ー完ー 
 

 
後書き
神無異がクトゥルフ神話舞台に行くよ!完結です。

例のごとく最後はシリアス(?)。

火神姉妹の正体は白楼と白夜です。

ちゃっかり出演していたんですねこれが!

ちなみにこの話はケイトたちが実際体験したものを、そのままの形で映画化しています(物語内で)。

白夜はイケロリですね、可愛いです。

自分の考えたオリキャラに愛着が持てるって良いですね。

新しく小説書き始めたのと、イラストUPしました。

・吉田 松陽がいる世界

・イラストまとめ!

で興味のある方は検索してください。

ちなみに火神姉妹の文字、実際の元はこうです。

火神→禍神→禍 となります、禍神は禍 白夜のマジギレ状態の人格の名前です、そこからとって文字りました。

次回作は白夜がまたまた異世界へと行きます。

次回作、 神無異の飼い方 をお楽しみに〜。



紹介みたいなのが欲しければ後で追加します、その場合はコメントください。 
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