| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

西の丘の吊り橋

「なんということだ・・・」
「大事な修行期間が・・・」

俺たちは今、アカネビーチの砂浜の大きな岩にガッカリと寄りかかっている。

「星霊界でたった1日過ごしただけで・・・」
「3ヶ月があっという間に過ぎちまった」

ハッピーとグレイさんがそう言う。ここにいるのは、星霊界での楽しい宴会で3ヶ月をたったの1日で消化してしまった天狼組の皆さん。

「どうしよう・・・」
「なんでこんなことに・・・」

ルーシィさんと俺がそう言う。7年の凍結封印の次は知らぬ間に3ヶ月が1日で経過、あまりの仕打ちに全員放心状態だ。

「姫、提案があります」

そう言ったのは今回のことの発端を作ったバルゴさん。

「私にもっときつめのお仕置きを」
「帰れば?」

バルゴさんは1人で勝手に大昔の拷問を受けていた。でもバルゴさんは嬉しそうな顔をしているからはっきりいってお仕置きになっていない。
そんなバルゴさんにルーシィさんはそう返すのが精一杯であった。






















蛇姫の鱗(ラミアスケイル)にて・・・第三者side

「大魔闘演舞!?ウチらは毎年二位!!けしからんねぇ!!冗談じゃないよ!!」

手をぐるぐると回しながらそう言っているのは魔導士ギルド蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のマスター、オーバ・ババサーマ。

「今まではただの祭りだと思っていたけどね!!今年はそうはいかないよ!!」

オーバはその場で回転しながらそう言う。

「おおーん、うるさいな」
「オババの一人言がまた始まったな」

そんなオーバを見てトビーは頭を抱え、ユウカは呆れていた。

「リオン!!ジュラ!!今回はあんたらも参加しな!!」

オーバはそう言って蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の実力者であるグレイの兄弟子リオンと聖十のジュラを指さす。

「参ったな、オババに言われちゃ断れん」
「たまには祭りというのもよいものだな」

リオンとジュラはオーバに言われたため、今回の大魔闘演舞に参加することが決まる。

「今年はリオンとジュラさんが出るのか!!」
「こりゃあ優勝間違いねぇぜ!!」
「ラミアがフィオーレNo.1だ!!」

それを聞いた蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔導士たちは大騒ぎする。

「今年はリオンもジュラさんも出るんだ!!すごいね!!レオン、ラウル」

大騒ぎするギルドのメンバーたちを見て赤紫色の髪をビックテールにした少女がそう言う。少女はまだ子供というほどではないが、周りのギルドの女性陣と比べると少しあどけなさが残っていた。

「いいね、今年はシェリアも出るんでしょ?羨ましいなぁ(棒読み)」

そう言ったのはテーブルいっぱいに乗っている料理を次から次へと平らげていく金髪をボサボサに伸ばしたリオンに似た少年だった。しかし、リオンとその少年の大きな違いは目がつり目かタレ目かというとこだった。
そのタレ目が少年とリオンの印象を大きく分けていた。

「ラウもシェリアとリオンさんが活躍してるの楽しみだなぁ」

自らをラウと称するオレンジ髪の少年はそう言って微笑む。その少年は他の2人よりも少しだけ背が低かった。しかし、なぜかその頭には猫耳とお尻には長い尻尾がついている。

「何言ってんだい、レオン」
「?」

大魔闘演舞の出場者について話をしている3人の元にオーバがクルクルとやってくる。

「今年は本気で勝ちにいくんだよ!!当然、あんたにも出てもらうからね!!」
「・・・マジで?」

オーバに言われてレオンは固まってしまう。実は参加するシェリアが羨ましいと言ったのは建前でしかなく、本当はあまり面倒くさいことには関わり合いたくないと思っている。

「いや・・・俺は―――」

レオンは遠慮しますというとしたが・・・

「優勝したら大魔闘演舞名物のチョコバナナ好きなだけ食べさせてあげるよ」
「ぜひ参加させて頂きます!!」
「「「「「「「「「「「食べ物に釣られた!!」」」」」」」」」」」

レオンは食べ物に釣られて大魔闘演舞への参加を決意することになった。

「わぁ!!レオンも出るなんてラウ応援頑張るよー!!」

そう言ってラウルがレオンに抱きつこうとしたが、レオンはそのラウルの尻尾を掴むと、

「ひゃっ!!」

ポフッ

尻尾を捕まれたラウルは煙に包まれ、ハッピーたちと同じ大きさのオレンジ色の猫になってしまう。

「俺に飛び付く時は猫に戻ってからにしてよ。ラウル俺と体格変わんないから重いんだよ」
「は~い!!」

レオンにそう言われ、ラウルは猫の姿で左肩に乗っかる。レオンはそれにお構いなしに食事を続ける。

「ついにレオンも出るのかよ!!」
「この3人にシェリアとトビーとユウカだろ!?」
「やっぱ俺たちがフィオーレ最強間違いなしだ!!」

レオンの参加を聞いた蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔導士たちはさらなる盛り上がりを見せ、間近に迫った大魔闘演舞の優勝を確信していた。

























一方、青い天馬(ブルーペガサス)にて・・・

「ねぇ聞いた?蛇姫の鱗(ラミアスケイル)から聖十のジュラちゃんが大魔闘演舞に出場するそうよん?」

ギルドのカウンターいるマスターボブが目の前に座っている一夜にそう言う。

「メェン。それはまずい香り(パルファム)になりましたな」

一夜はカクテルの入ったグラスを手に取る。

「今回はうちも優勝狙ってたのにねぇ」
「では、こちらも奴等を解放しましょう」
「えぇ!?まさかあの子たちを!?」

一夜の提案にボブは驚く。

「メェン、もちろんですよ。おーい!!タクト!!」

一夜がギルドの中である男の名前を呼ぶ。その男はそれに気づき、一夜の元へとゆっくり近づいてくる。

「どうしました?一夜さん」

その茶髪の青年はとにかく大きかった。決して筋肉隆々のゴツい体というわけではない。ただ、“縦”が、身長が異様に大きかったのだった。

「メェーン、タクト。今年の大魔闘演舞、お前も参加してみないか?」
「え?」

一夜にそう言われると、タクトの顔が笑顔になる。

「俺が・・・俺が天馬の看板背負って戦っていいってことですか!?」
「もちろんだ」

それを聞いたタクトは一夜の手を強く握りしめる。

「ありがとうございます!!俺、必ず期待に答えてみせますから!!」
「タクト!!指名入ったぞ!!」
「あ、はい!!」

タクトは一夜に一礼し、依頼人の元へと向かう。その足取りはまるでおもちゃを買ってもらった子供のように軽やかだった。

「フフ、タクトちゃんは本当可愛いわね」
「メェン。あとで奴にもこのことを伝えねば。今回の大魔闘演舞には、危険な香り(パルファム)が吹き荒れますぞ」

一夜はそう言い、フフフッと笑いながらカクテルを口に含んだ。






















人魚の踵(マーメイドヒール)にて・・・

「リズリー!!」

黒髪のお姫様カットの女性がギルドのカウンターで料理を作っているポッチャリとした黒髪の女性に声をかける。

「どうしたんだい?カグラ」
「ソフィアを見なかったか?」

リズリーは何のようなのか聞くと、カグラは自分の探している人物がどこにいるのか聞く。

「いや・・・今日はまだ見てないねぇ」
「そうか」

リズリーとカグラがそんな話をしていると、カグラの後ろで一瞬誰かの目が光り・・・

ムギュッ

その目を光らせた少女が突然カグラの胸を後ろから掴む。

「ソフィア、そこにいたのか」
「おはようございます、カグラさん、リズリーさん」

カグラはいつものことなのか、自分の胸がソフィアという少女に触られていることに動じることなく話をしている。
ソフィアはカグラよりも頭1つ分ほど小さく、銀色の膝元まで伸びた髪の毛は癖ッ毛1つなく見た目はまるで人形のような可愛らしい少女だった。
だが・・・

「う~ん・・・今日もいい体してますね、カグラさん」

ソフィアはカグラの体をまさぐりながらそう言う。

「一度その手を離せ」
「いやですぅ」
「やられたいのか?」

カグラはそういうと自らの腰に下げられた刀に手を伸ばす。

「失礼しました!!」

ソフィアはカグラの冗談だとは知りながら、万が一に備えて素早く手を後ろに引っ込める。それを見てからカグラは本題へと入る。

「ソフィア、お前は大魔闘演舞に興味あるか?」
「大魔闘演舞?」

ソフィアは一瞬その名前がなんだったのか分からなかったが、後ろから「祭り!!」という依頼人たちの声が聞こえてポンッと手を叩く。

「大魔闘演舞ですね!!もちろん興味ありますよ?」
「それならいい。今年の大会、お前も出てみないか?」
「え?」

ソフィアは一瞬迷うが、昨年までのこの大会を思い出しあることに考えが至る。

「大会中の接触は不可抗力ですよね?」
「・・・はぁ~」

ソフィアの質問に思わず額を押さえため息を漏らすカグラ。

「まぁ・・・あまり思いっきり接触しない分にはいいと思うぞ」
「やったぁー!!」

ソフィアはカグラに少しだけだが許可を得ることに成功したため、大喜びしてその場から立ち去ってしまう。

「いいのかい?あの子出したら他のギルドに悪いんじゃ・・・」
「あまり行動が行き過ぎるようなら止めるから大丈夫だ」
「そうじゃなくて・・・」

リズリーはカグラとは何か違う心配をしているようだが、カグラは何も気にしている様子はないようだ。

「大丈夫だ。あいつは自分の魔法の危険度はよく知っている。ゆえに扱いには長けているからな。心配することはない」
「それもそうだね」

カグラはリズリーに説明し、リズリーもそれに納得した。そして選ばれたソフィアはというと・・・

「キャッチ!!」
「ミャーー!!!」

違うところでギルドの新入りの女性に思いっきり抱きついて他のギルドメンバーからお仕置きをされていた。

























剣咬の虎(セイバートゥース)では・・・

「マジで!?」

スティングがある情報を持ってきたレクター、フロッシュ、キセキの方を振り返る。その情報とは・・・

「大魔闘演舞にナツさんたちが出るの!?」

ナツたち帰還した天狼組が大魔闘演舞へと参加するという情報だった。

「ええ、マグノリアではそんな噂がたってますよ」
「フローも聞いた」
「あまり期待はされてないみたいだけどね」

レクター、フロッシュ、キセキがそう言う。

「へぇ。それはよかったな、スティング」
「ああ!!こいつは楽しみになってきたぜ。なぁローグ」
「興味ないな」

楽しみで仕方ないスティングとそのスティングを見て笑っているグラシアン。ローグだけはあくまで無関心を貫き通していたが、実際のところはどうなのか。その本心はローグだけが知っている。





























さらに、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)では・・・

「7年も待たせおって、マカロフめ」

そう言ったのは大鴉の尻尾(レイヴンテイル)のマスターにして妖精の尻尾(フェアリーテイル)マスターマカロフの息子にしてラクサスの父、イワン・ドレアーだった。

「妖精を黒く塗り潰す、裁きの時が来た」

イワンの周りには赤髪の女、金髪の肌が紫色の男、黒髪の特に特徴のない男、そして黒い謎の生物を連れた青髪の鼻が高い男が立っていた。

「大魔闘演舞が楽しみだね。お前も楽しみだろ?」

イワンは自分の後ろにゆっくりと現れた緑色の髪をした男にそう言う。

「なんたってお前と同じ三人衆の一人、カミューニをねじ伏せた奴がいるんだからな」
「それとありますけど、俺はあなたのやり方に興味を持っているんですよ。マスターイワン」

男はそう言うとイワンは嬉しそうに大笑いする。

(ま、こんな雑魚はちょっと持ち上げておけば勝手に勘違いしてくれるからありがたいな)

ご機嫌のイワンを見て男はそう思っている。その男には、イワンに対する忠誠心といったものは何一切感じられることはなく、まるで自らの道具を見るように男はイワンとその周りのメンバーを見ていた。



























そして、シリルたちはというと・・・シリルside

「大魔闘演舞まであと5日しかねぇのに」
「全然魔力が上がってねぇじゃねぇか!!」

スイカを食べているドロイさんと俺たちを見て腕を組みながらそう言うジェットさん。
俺たちはそれに対して何も言い返すことができない。

「今回は他のみんなに期待するしかなさそうだね」
「はぁ・・・」

落ち込みながらそう言うレビィさんとため息を漏らすジュビアさん。

「またリリーとの力の差が開いちゃうよ・・・」
「「「え!?」」」

ハッピーが目に涙を浮かべながらこの3ヶ月で修行を積んだであろうリリーとの差に涙していた。

「あんた気にしてたの!?」
「ずいぶん今更な気もするけど~?」

シャルルとセシリーはハッピーにそう言う。だけど・・・

「分かる。分かるよハッピー!!」

俺は涙目のハッピーの手をそっと握る。

「分かってくれるの?」
「うん!!お姫様を守る王子様はいつだって強くありたいもんね!!」

俺はウェンディを、ハッピーはシャルルを守るために力が欲しいんだ。だから俺には今のハッピーの気持ちがよく分かる!!

「シリル!!」
「ハッピー!!」

俺とハッピーは互いに抱き締め合う。

「えっと・・・」
「何これ?」
「どっちも守るってより誰かに守られてる側の人間のような~・・・」

ウェンディたちが俺たちを見て固まっていた。いいんだよ!!王子様は誰よりも強くありたいの!!

「ぬぅぅぅ!!今からでも遅くない!!5日間で地獄の特訓だ!!お前ら全員覚悟を決めろ、寝る暇はないぞ!!」
「ひぃぃぃ!!」
「エルザの闘志に火がついちまった」

エルザさんは大魔闘演舞までの5日間でこの3ヶ月分の修行をなんとかしようと思ってるみたいだ。燃えているエルザさんを見てルーシィさんとグレイさんは驚いている。

「いいじゃねぇか!!地獄の特訓燃えてきたぁ!!」

ナツさんとエルザさん同様に燃えていた。いや、燃えてるのはいつものことか。

「おし!!私に続け!!まずはランニングだ!!」

走り出そうとしたエルザさん。だけど、肝心なこと忘れてますよね?

「今から5日間みっちり修行してたら大魔闘演舞で疲労溜まって力を発揮できないんじゃないですか?」

俺がもっともな意見を述べると2人は固まってしまう。まさか考えてなかったのか?

「じゃあどうすりゃいいんだよ!!」
「さぁ?」

俺たちが再び頭を悩ませていると、エルザさんの頭に伝書鳩が止まる。

「ハト?」
「足に何かついてるぞ?」
「メモだ」
「手紙じゃないんですか?」

俺たちはエルザさんの頭の上のハトの足についている髪をほどいて開いてみる。

「どらどら?」
「まさか、グレイ様からの恋文!?」
「んなわけねぇだろ!!」

ジュビアさんがありえない期待をするけど、もしそれだったらグレイさん恥ずかしくて隠しますからね?皆さんに手紙の中身を見せたりしませんから。

「何々?【妖精の尻尾(フェアリーテイル)へ、西の丘にある壊れた吊り橋まで来い】」

ハッピーが読んだ手紙は短く、そして簡潔にそう書いてあった。

「なんだよ偉そうに!!」
「ああ、来いって命令口調なところが気に食わねぇ」

ナツさんとグレイさんは手紙の文面に明らかな嫌悪感を抱いていたけど、重要なのは間違いなくそこではないと思う。

「西の丘に来いですって」
「どうしますか?」
「これってどう考えても~」
「なんか怪しいわよ」

俺とウェンディ、セシリーとシャルルは手紙の内容に不信感を抱く。

「いや、行ってみよう」

俺たちがどうしようかと聞くとエルザさんはそう答えた。

「でも罠かも」
「そうよ!!やめといた方がいいって!!」

レビィさんとルーシィさんもこの手紙には何かあると見てエルザさんを止めようとする。

「いけばわかる」
「ああ!!面白くなってきた!!」

2人の意見など関係なくエルザさんとナツさんは行く気満々だ。まぁ、他にもグレイさんや最悪俺もいるし、ヤバイ奴じゃない限りは大丈夫だと思うけど・・・
俺は不安を感じながらも、海合宿メンバー全員で指定された西の丘の壊れた吊り橋へと向かった。























「壊れた吊り橋とはこれのことか」
「そうみたいですね」

俺たちは指定された場所まで来たのだが、そこには誰の人影も見当たらない。

「ちぇ、誰もいねぇじゃねぇか」
「ナツさん、なんでケンカ腰なんですか?」

てっきりバトルでもすると思っていたナツさんは悔しそうにそう言う。7年間の凍結封印で魔力の低い俺たちは戦っても勝てるか分からないってナツさんはわかってないのかな?

「ただのイタズラかよ」
「だからやめとこって言ったじゃない」
「でも何事もなくて安心しましたよ」

グレイさん、ルーシィさん、俺がそう言う。ぶっちゃけ俺たちに恨みのある奴が挑戦状的な感じでここに呼び出したのかと思ってたから誰もいなくて内心ホッとした。だけど、

「なんだ?」

俺たちのいる場所が突然揺れ始める。そして、目の前の壊れた吊り橋が元通りに修復される。

「これは・・・」
「橋が」
「直った?」

俺たちは誰もいないのに1人でに直った橋を見て驚いている。誰かの魔法か?

「向こう岸に繋がったぞ」
「渡ってこいということか」

グレイさんとエルザさんが直った橋を見てそう言う。

「やっぱり罠かもしれないよ!!」
「なんか怖いです」

レビィさんとウェンディは不安感に苛まれている。

「誰だか知らねぇが行ってやろうじゃねぇか」

ナツさんは罠かもしれないなどという考えは微塵も持っていないらしい。

「じゃあナツからね」
「ファイトです!!ナツさん」
「よっしゃあ!!行け!!」

グレイさんはそう言ってナツさんの背中を押す。ナツさんは不安定な吊り橋の上をさらに背中を押されて歩き始めたせいで途中でロープに手をかける。

「いきなり押すんじゃねぇ!!びっくりするだろうが!!」

ナツさんはこちらを睨みながらそう言う。すると、ナツさんは揺れている吊り橋の上で顔をうつむかせる。

「あいつ吊り橋でも酔うのか」
「えぇ!?」

ナツさんは揺れている吊り橋のせいで乗り物?酔いを起こしたらしい。つまり俺も酔うってことじゃん!!渡りたくねぇ・・・

「うるせぇ!!吊り橋野郎・・・なめんなよ!!」

ナツさんは走り出して一気に吊り橋を渡り切る作戦に出た。ナツさんは猛ダッシュで吊り橋を渡り切り、こちらにガッツポーズしてみせる。

「この橋、誰かが渡ったら絶対に落ちると思ったけど」
「大丈夫でしたね」
「俺は囮かぁ!!」

ルーシィさんとウェンディはこの橋が落ちる前提でナツさんを最初に行かせたらしい。ルーシィさんだけならともかく、ウェンディまで最近腹黒くなってきたような・・・

「ナツのおかげで安全が確認された。みんな行くぞ!!」

俺たちは一応警戒はしながらと吊り橋を渡ることになった。俺はウェンディにトロイアをかけてもらい、酔わずに吊り橋を渡り切る。さてさて、奥にはどんな奴が待ち構えているのかな?

























俺たちは吊り橋を渡り切った奥にある森の中を全員で纏まって歩いている。

「来るなら来やがれ」
「ああ。強い相手ならいい特訓になる」
「お前特訓のことしか頭にないのか?」
「エルザさんらしいですね」

ナツさんはいつでも相手が現れてもいいように準備をし、エルザさんは5日後の大魔闘演舞に向けての特訓にもなるだろうと強い相手を所望していた。

「!!」

先頭を歩いているエルザさんが立ち止まる。その視線の先には数人の人影があった。

「誰かいる!!」
「皆さん、気を付けて」

俺たちは誰なのかわからないその人物たちに向き合う。
そいつらはフードを顔が隠れるほど目深く被っている4人組だった。
俺たちがやってきたのを確認した4人組はこちらに歩いてくる。

「な・・・あいつら!!」
「!!」
「「「え!?」」」
「「あ・・・」」

歩いてくる4人を見て俺たちの中で何人かはその正体に気づく。彼らは俺たちの目の前までくるとその場に立ち止まる。

「来てくれ・・・ありがとう」

フードを目深く被った彼らはそのフードを外す。

「!!」

エルザさんは4人の先頭に立っている男を見て衝撃を受けていた。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)

先頭に立ち挨拶をしたのは青い髪の短髪の男でその顔にはタトゥーが刻まれている。
その隣にいるのは黒髪に黒いレオタードのような服を着た水晶を抱えた女性。その反対側にいるのは桃色の長い髪をポニーテールにしている赤い服に身を包んだ女性。
そして一番後方に立っているのは赤い髪の俺にとっては4人の中で一番関わりの深い男。

「ジェラール・・・」

一番前に立つ懐かしい男の人を見てエルザさんは驚愕していた。


















 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
各ギルドで参加するオリキャラたちが一通り名前だけは登場しました。
紹介は大魔闘演舞のすべてのチームの入場が終わってから行おうと思っています。
次回もよろしくお願いします。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧