FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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海合宿!!
ギルドにて・・・
「みんな!!準備はいいか!!」
「「「「「「「「「「オオッ!!」」」」」」」」」」」
エルザさんの掛け声に返事をする俺たち、
「では、出発だぁ!!」
「「「「「「「「「「イヤッホー!!」」」」」」」」」」
ギルドの扉を勢いよく開けて飛び出す。
「まず何する?」
「そりゃあ当然泳ぐ!!」
「あいさー!!」
ルーシィさん、ナツさん、ハッピーがワクワクしながら目的地についてからの予定を話している。
「私温泉入りたいなぁ」
「悪くないな」
「温泉!!」
レビィさん、エルザさん、ジュビアさんも今日から泊まる宿のことで頭がいっぱいみたい。
「うまいものは」
「俺らがチェック済みだ」
「お!用意いいな」
ドロイさん、ジェットさん、グレイさんがそう言う。
「皆さん楽しそうだね、シリル」
「俺もすげぇ楽しみだよ!!ウェンディ」
俺とウェンディもこれからのことを考えると楽しみでしょうがない。
「みんな、ちゃんと目的わかってるのかしら?」
「まぁ少しくらいならいいんじゃない~?」
シャルルも口ではそう言うが、内心は楽しみでたまらないのだと手に持っている荷物を見て俺は思う。
「?」
俺たちがワイワイガヤガヤ歩いていると、ウェンディが立ち止まって振り返る。
「ウェンディ?」
「何?」
「どうしたの~?」
俺たちはウェンディが忘れ物でもしたのかと思い声をかける。
「ねぇ、何か感じなかった?」
「いや?」
「私は何にも」
「感じなかったよ~?」
「気のせいかな?」
ウェンディは後ろから何かを感じたらしいけど、俺たちはそんなことには全く気づかなかった。気のせいだと思うけどなぁ。
「どうしたの!?」
「あ!!すみません!!」
「今行きます!!」
ルーシィさんたちが立ち止まっていた俺たちに気づいて待ってくれていたようだ。ウェンディが何に気づいたかはさておき、俺たちは皆さんの元に駆けていき、目的の場所へと向かった。
今から3ヶ月後に開催されるフィオーレーの魔導士ギルドを決める一大イベント、『大魔闘演舞』!!。
それは魔法を使った様々な競技で『魔』競い合う祭り。俺たちがいない7年間でフィオーレ最弱のギルドになってしまった我らが妖精の尻尾を再びフィオーレ最強のギルドにするために俺たちは大魔闘演舞へと参加することになった。
だけど、7年間のブランクがある俺たち天狼組はこの時代での戦いについていけない可能性を突きつけられた。なので、その7年の差を埋めるために俺たちは、
海合宿をすることにしました!!
「すご~い!!」
「綺麗な海!!」
ウェンディと俺は眼前に広がる青い海、白い砂浜を見て感嘆の声を漏らす。ここはアカネビーチ、なんでも有名な観光地らしい。俺たちは水着に着替えて遊ぶ準備万端だ!!
「あんたたち!!遊びに来たんじゃないのよ!!」
「そうだぞ!!」
「うんうん!!」
おおはしゃぎの俺たちにシャルルたちが注意する。
「そんな格好の奴に言われてもなぁ」
「フッ」
ドロイさんとジェットさんが3人の格好を見てそう言う。シャルルたちも水着に着替えて遊ぶ準備が出来上がっているのだ。まぁ、こんないいところに来たらそうなるよね。
「わかっている。いいか!!この合宿の目的は7年間の凍結封印のブランクを克服し、3ヶ月後に控えた大魔闘演舞を勝ち抜き優勝するための力をつけることだ!!妖精の尻尾こそ最強のギルドとなるべく、各自、この合宿によって魔力の向上に努めてほしい」
「おー!!」
エルザさんは黒いビキニを身に付けて俺たちの前に立ちそう言い、海合宿に参加したメンバーは返事をする。
「ただし、今日1日はフリータイムだ。こういうときはメリハリが大切だからな」
「「「「「しゃああ!!」」」」」
「「「「わーい!!」」」」
エルザさんの粋な計らいに俺たちは大喜び。
「そうと決まれば!!」
「海が呼んでる!!」
「泳ぎまくるぞ!!」
ナツさんとグレイさんは今すぐにでも海に向かって走り出そうとしていた。しかし、2人よりも早く動き出した男がいた。
「俺が一番だ!!おっ先!!」
「「「「「「「「「「どわぁぁぁ!!」」」」」」」」」」
ジェットさんは砂煙を巻き上げて海に走っていく。俺たちは砂浜の砂を頭から被るはめになってしまった。
「ん・・・おっ!」
そんな中、一人だけ難を逃れた人がいた。その人はグレイさん。逃れた理由はというと・・・
「ジュビア!!ありがとな」
「いえ」
ジュビアさんが咄嗟に水の盾を作ってグレイさんを助けたからだった。俺らも助けてくれてもよかったのに。
「それよりグレイ様?今日のために新しい水着を買ったんです・・・」
ジュビアさんはいつも通りのニット帽に冬のような服装をし、モジモジしながらグレイさんに言う。
「このドレスの下に纏っているんですが、グレイ様に一番初めに見てほしいので、その脱がしてくだ―――」
ジュビアさんが一瞬恥ずかしくて視線を外すと、その隙にグレイさんはナツさんと一緒に走って海へと向かってしまった。
「ああ・・・」
「合宿の目的は男を落とすことじゃないのよ」
「もっと緊張感を持ってよ~」
「そうだぞ!!」
シャルル、セシリー、ハッピーがそう言う。
「その格好で言われても・・・」
ジュビアさんは遊ぶ気満々の3人の格好とグレイさんに水着を見てもらえなかったことにショックを受けて暗くなっていた。
「俺も泳ぎにいくかなぁ!!」
俺が2人のあとを追って上に羽織っているTシャツを脱ごうとしたら、
「待て!!」
エルザさんに止められる。
「ん?何ですか?」
「お前は服を脱ぐな!!」
エルザさんは俺がTシャツを脱ごうとしたのがダメだと思ったらしい。けど・・・
「俺、男だから問題ありませんよ?」
容姿は別にして俺の本来の性別は男だ。上が裸でも全然大丈夫なんだが。
「いや、お前が上半身裸でいては男どもが黙っているわけない。大人しく上を着たままでいろ」
「くっ・・・」
エルザさんがあまりにも堂々と言うから納得しそうになったけど・・・ここで引いてしまってはいけない!!
「Tシャツで海に入るのはまずいと思います!!」
「別にそれに関しては問題はないぞ。ただ、泳ぎにくいと思ったからな」
エルザさんは自分の荷物の中から何かを取り出す。
「ラッシュガードというものを用意した。これなら海でも安全に泳げるぞ!!」
エルザさんの手にあるそれはボーダー色のおしゃれなパーカーのようなもの。てかあれ絶対女物だろ?
「さぁ!!これをやるから大人しく着ていろ!!」
「は・・・はい・・・」
俺は早く海に入りたかったのでそのラッシュガードなるものを受けとる。
「よし、間違って小さいサイズのものを選んでしまったからやり場に困っていたんだ。これで万事解決だな」
ラッシュガードを羽織っているとエルザさんが後ろで満足そうに腕を組んでうなずいていたけど、いいのかそれで。
「シリル~!!こっちでビーチバレーしようー!!」
着替え終わるとウェンディとルーシィさん、レビィさんが俺に向かって手を振っているのに気づく。
「うん!!今いくよー!!」
俺は手を上げてそれに答え、3人の方へと走っていく。
「あ!その服可愛いね!!」
「エルザさんに着せられました・・・」
「いいじゃん!!すごく似合ってるよ!!」
レビィさんとルーシィさんが俺の着ているラッシュガードを褒める。俺は嬉しいような悲しいような複雑な気持ちです。
「皆さん!!さっそくビーチバレーしましょう!!」
「うん!!そうだね!!」
ウェンディがビーチバレーボールを持ってそう言うのでさっそくビーチバレーを始めることにしました。
「行きますよ?えいっ!!」
ウェンディはアンダーハンドから可愛らしくボールを打ち出す。
「ほっ!!」
今度はそれを俺がルーシィさんにパスする。
「それ!!」
「いくよ!!ウェンディ!!」
「あ・・・は・・・はい!!」
しばし続くラリー。なんかこういうのも楽しいな!!
「よーし!!もう一丁・・・それ!!」
ルーシィさんが打ったボールは高く上がりレビィさんの元へ。
「オーライオーライ!!きゃっ!!」
バシャッ
レビィさんはそのボールを返そうとしたがバランスを崩して海に倒れてしまう。
「もう・・・」
「レビィさん?」
「大丈夫ですか?」
俺とウェンディが心配してレビィさんにそう言う。ルーシィさんはそれを見てお腹を抱えて笑ってましたけどね。
「そういえば、海で合宿ってあたしたちだけだよね?」
「はい!!ミラさんたちは山で合宿ですし」
「ラクサスさんたちも別のところで修行するらしいですよ」
ルーシィさんの問いにウェンディと俺がそれぞれ答える。
「う~ん・・・誰か忘れてるような・・・」
「ガジルとリリー」
「あ!!」
ルーシィさんが頭を悩ましていたら浮き輪に横になっていたハッピーが教えてくれた。
「秘密の特訓だって。私もついていこうとしたら断られたんだ」
寂しそうに言うレビィさん。だが、
「ガジルさんたちに?」
「ついていこうと?」
「あれ~?レビィちゃん、あれあれ~?」
俺たちはガジルさんについていこうとしたレビィさんに詰め寄る。天狼島の時から思ってたけど、まさかレビィさん・・・
「ち・・・違う!!そういうのじゃないの!!」
「「「あははははははっ!!」」」
「もう!!」
一人慌てるレビィさんを見て思わず笑ってしまう俺たち。頑張ってくださいね!!と心で思ってますので。
「さ・・・さぁ!!続きしよ!!つ・づ・き!!」
無理矢理話を変えようとするレビィさん。あまり追求するとかわいそうなのでこの辺にしておきましょう。
「「「「「「「「「「うわぁぁぁぁ!!」」」」」」」」」」
俺たちがビーチバレーを再開しようとしたら、海で遊んでいる人たちの悲鳴が聞こえてくる。すると、突然俺たちの足元の海が凍ってしまう。
「これってグレイさん!?」
「ちょっと!!何やってんのよ!!」
俺とルーシィさんは海を凍らせた犯人であるグレイさんの方を見ようとしたが足元が凍ってるせいでうまく動けない。
「さ・・・寒い・・・」
「凍えちゃうよ~・・・」
「まったく・・・」
ハッピーとセシリーは逃げ遅れて体の半分ほどが氷に捕まっていた。シャルルはハッピーの頭の上に避難してたけど。
「翼撃!!」
ナツさんの声がどこからか聞こえたかと思うと、氷の海に亀裂が入り始め、凍っていた海が宙に舞った。
「「「「「「「「「「きゃぁぁぁぁ!!」」」」」」」」」」
ナツさんが破壊したであろう氷の海が空からビーチに落ちていく。
「ひぃぃぃ!!」
「潰されちゃう!!」
その氷は当然俺たちの方にも落ちてくるわけで、ウェンディたちは自分たちに迫る巨大な氷に恐怖していた。
「水竜の・・・咆哮!!」
俺たちに向かってきた氷を俺がブレスで払いのける。他の場所では、エルザさんたちも一緒になって氷を破壊していた。
「私も行きます!!天竜の・・・咆哮!!」
ウェンディが皆さんが氷を壊しているのを見て自分の参戦する。ウェンディのブレスで巨大な氷は見事に破壊される。
「やったー!!」
「ナイスウェンディ!!」
ハイタッチする俺とウェンディ。その後も攻撃を続け、最後はナツさんが一番大きな氷を粉々に粉砕して幕を閉じた。粉々になった氷が雨と同じ役割を果たしたのかはわからないが、空には1本の虹がかかっていた。
「いやぁー暴れた暴れた!!」
「いい運動になりました」
「なんだか楽しくなってきちゃいました」
「初日のウォーミングアップとしちゃあこんなもんだろ」
俺たちはビーチに上がってそれぞれ感想を述べる。実はいい修行になったような気もするし、ビーチも守れたし、一石二鳥ですね。
「ていうかグレイまだフルチン!!」
「羞恥心と言うものはないわけ?」
「逆に尊敬しちゃうよ~」
ハッピーとシャルル、セシリーが海パンすら脱ぎ捨ててしまったグレイさんにそう言う。ウェンディはグレイさんの裸体を見て顔を赤らめながら手で顔を覆っていた。エルザさんは何も気にすることなくガン見ですけどね。
「グレイ様ったら男らしい!!」
ジュビアさんは全裸にもかかわらずまったく動じないグレイさんを見てそう言う。てかジュビアさんはまだ服着てたんですね。着替えないのかな?
その日の午後・・・
「えっと・・・」
「う~ん・・・」
「「これ、何て読むんだろ・・・」」
俺とウェンディはポーリュシカさんからもらった魔法書に目を通しているのだが、見たこともない文字もあり苦戦している。
ちなみに、今日は遊ぶ予定だったがナツさんとグレイさんが「他のグループは修行しているに決まってる!!」と言い出し、午後からはみんなそれぞれの魔力を高めるために修行することにした。
「2人とも、これ使う?」
そんな俺たちの元にレビィさんがやって来る。レビィさんが俺たちに手渡したのは『風詠みの眼鏡』
「これを使えば、魔法書も辞書もすぐに読めるから便利だよ」
「「ありがとうございます!!」」
俺たちは風詠みの眼鏡をつけてさっそく魔法書を読んでみる。オオッ!!こんな感じで読めるのか!!
「ん?」
その中にある魔法で俺はあることに気づく。この魔法陣・・・どこかで見たことがあるような・・・
「エドラス・・・あ!!」
その魔法陣はエドラスの俺がドロマ・アニムに向かって使った魔法陣に似ていた。名前は・・・雲竜水?
「あとでこれの修行でもしてみるか」
俺はそう呟く一番気になっていた魔水晶の使い方のページを読む。
その使い方に1つ興味深いものを見つける。
「相手の魔力の流れを見極め、動き、魔法の強さ、種類を見切る。さらにはその魔力の流れを自らのものに出来ればその魔法に“似た”魔法を使える・・・可能性がある」
最後の一文に少しガッカリする。可能性があるってだけかよ・・・でも、相手の動きとか魔法の技の強さが分かれば、戦うのがかなり楽になるんじゃないか?
「やり方やり方・・・」
どうやったら相手の魔力の流れを見極めることができるのかやり方を探してみるが、どこにも載ってない。
「なんだよ・・・自分で考えろってことか?」
なんでもヴァッサボーネに頼らずに自分で成長するのも大切ってことか、上等!!
「さっそくやってみるか!!」
俺はそう決意し、他の修行している皆さんの元へといってみることにした。
その日の夜・・・
「結局できなかったな・・・」
俺は昼間、ナツさんやグレイさんたちの魔力の流れを見極めようと奮闘してみたが、あまり感覚の掴めないまま1日目が終了してしまった。まぁ、1日でなんとかできるとは思ってなかったし、3ヶ月もあるんだ。最初の1ヶ月で魔力の流れを見極めて、次の1ヶ月で滅竜魔法『雲竜水』を覚えて、最後の1ヶ月で2つをより磨き上げればいい。
「しっかし、ボロい民宿だなぁ」
今俺たちは3ヶ月間泊まる宿に来ている。ジェットさんはその宿を見てそう言う。
「そういや、前にアカネビーチに来た時ってすっげぇホテル泊まったよな?」
「忘れたのか?あれはロキがチケットくれたから泊まれたんだろうが」
ナツさんとグレイさんは以前にもここに来たことがあるらしい。すっげぇホテルってどんなのかな?気になる!!
「まぁ、今のうちのギルドじゃあ予算的にもここでもいっぱいいっぱいだよ」
「いいじゃないですか、こういう宿も俺は好きですよ」
ドロイさんと俺がそう言う。ここの宿は温泉もあるみたいだし、いいところだと思いますよ。
「んなことより腹へったぞ」
「俺もです」
「おし!!食いまくるぜ!!」
俺たちは食事の用意されている部屋の襖を開けて中に入る。どんな料理が・・・
「「「「「なぁーー!!」」」」」
俺たちは部屋の中を見て思わず声をあげる。
「だ・・・誰だ・・・女たちに酒飲ましたのはぁー!?」
部屋の中にはすでにウェンディたち女性陣がおり、部屋中にビール瓶と日本酒の瓶が転がっていた。ウェンディたち顔赤いし・・・まさか酒を飲んだのか!?
「足りん!!酒が足りんぞ!!」
エルザさんは空の日本酒片手にそう言う。
「私ももっと飲みたいですぅ」
ウェンディはそんなエルザさんの横でビールが並々に入ったコップに口をつけている。
「ふにゃ~、目が回る~」
セシリーは酔いつぶれて目を回し倒れていた。
「セシリー!!しっかりぃ!!」
ジュビアさんはそんなセシリーを見て号泣している。
「ねぇねぇジュビア、遊ぼうよぉ」
ルーシィさんはおちょこを片手に頬杖をつきそう言う。
「あははははっ!!楽しい!!」
レビィさんはビール瓶を掲げて笑顔でそう言う。
「りょ・・・料理が・・・」
「全部食ったのか!?」
「えぇぇ!?」
ドロイさんとジェットさんに言われて気づいたが料理の乗っていたであろう小さなテーブルは全て倒れるか空になるかしていた。そ・・・そんな・・・
「信じらんねぇ・・・なんでお前ら酒飲んでんだよ・・・」
「女将ぃ!!なんでここに酒ぐおっ!!」
旅館の人に文句を言おうとしたグレイさんにおちょこがぶつかる。
「うるさいぞグレイ。お前もこっち来て飲め!そして酒を注げ。
てか酒を注げぇ!!」
エルザさんは酔っぱらいすぎて呂律もしっかりと回っていないしゃべり方をする。飲み過ぎ飲み過ぎ。
「超絶めんどくせぇ・・・ぐはっ!!」
「うわっ!!」
エルザさんがグレイさんに日本酒の瓶を投げてグレイさんは倒される。それを隣で見ていたナツさんもあまりのことに動揺していた。
「ダメですぅ!!グレイ様はジュビアの物、ジュビアの物なんですよ!!」
「ええい、離せ!!」
ジュビアさんがエルザさんを止めようとしエルザさんはそれを振り払おうとしている。
「コラァ!!ちゃんと走りなさい!!あんたは馬なのよ!!」
「オイラ猫だよ・・・」
シャルルも酔っているのか、ハッピーの上に乗っかってそう言う。ハッピーは翼を出して畳ぎりぎりを飛んでいた。
「おいおいシャルルまで・・・」
「ヤバいんじゃないですか?これ」
ナツさんと俺も不安を感じていると、ナツさんがこちらをじっと見つめているルーシィさんに気づく。
「ルーシィ!?」
「じーーっ」
「な・・・なんだよ・・・」
ルーシィさんは頬赤くして体の前で手を握る。
「あぁ!!ナツが2人いる!!わーい!!」
「ルーちゃん!!ヒック、ナツが2人もいるわけないじゃん!!ハハハハッ!!」
どうやらルーシィさんはナツさんが2人に見えるほど酔っているらしい。う・・・ウェンディは?
「シリル!!」
「どわぁ!!」
ウェンディの様子を確認しようとしたら、そのウェンディが俺に飛び付いてきて俺はバランスを崩し転倒する。
「ウェンディ!?」
「う~ん、シリルも飲むでしょ?お・さ・け♪」
ウェンディはさっきまでビールを持ってたはずなのにいつの間にかお酒の瓶を持っていた。てか俺ら年齢的に飲んだらダメだぞ!?
「ウェンディ!!落ち着いて!!」
「えぇ?私のお酒が飲めないのぉ?」
ウェンディは俺に顔を近づけてくる。なんか酔っぱらっていつもよりガードが緩い分可愛さが増してるような・・・
「って、そんなのに負けてたらまずいって!!」
誰かに助けを求めようとしたが、グレイさんはジュビアさんに飲み込まれてるしドロイさんとジェットさんはエルザさんに斬られそうになってるしナツさんはルーシィさんをゴロゴロってしてるし・・・
「だぁー!!これは妖精の尻尾存亡の危機だ!!男ども集まれ!!作戦会議だ!!」
ナツさんはこの状態をまずいと判断したが時すでに遅し。
ハッピーはシャルルにロバ扱いされてるしグレイさんはもうジュビアさんに飲み込まれるのも時間の問題だしドロイさんとジェットさんはエルザさんに踏みつけられてるし・・・
「ほらぁ、シリル~」
ついにウェンディは俺におちょこを手渡してきた。ええいっ!!もういいや。
「す・・・少なめで・・・」
「は~い♪」
俺は意を決してウェンディのお酒を飲むことにした。きっと将来はこうなると思うし、これはその練習だから!!問題ない問題ない。
ウェンディはおちょこにお酒を注ぐが・・・
「ウェンディ?」
「な~に?」
「こ・・・こぼれてます・・・」
ウェンディは酔いすぎて前が見えてないのか、おちょこにいっぱいいっぱい入れたはずなのになおもお酒を注ごうとしてくる。畳が濡れるから!!
「そのお酒の量が私の愛情だよ!!」
「もう意味わかんねぇ!!」
ウインクしながら訳のわからないことを言うウェンディ。これ明日とか絶対覚えてないだろ?
「さぁ、どうぞ」
「いただきます・・・」
俺はおちょこにいっぱいいっぱい入ったお酒を飲む。うっ!苦い・・・
「美味しい?」
「うん・・・」
「じゃあ、どんどん飲んでね?」
ウェンディはそういってまたお酒を注いでくる。彼女たちの酔いが覚めるまで、このカオス状態は続いたのは言うまでもない・・・
露天風呂にて・・・
「ううっ・・・頭痛い・・・」
俺は脱衣場で服を脱ぎ、痛む頭を押さえながら風呂へと向かう。結局一升瓶の大半を飲まされる始末となった俺。結構ウェンディがこぼしてくれたからよかったけど、そのまま飲まされたら死んでたかもな。
「お前大丈夫か?」
「グレイさんこそ」
グレイさんが俺を心配するけどグレイさんも中々に危険な上体だったような気がする。
「あいつらに酒を飲ませるとこうなるのか・・・」
「カナならこんなことにはならないのにな」
ジェットさんとドロイさんもエルザさんにさんざん痛め付けられたのでかなり疲労していた。カナさんってお酒強いんだな、改めてそれを実感しました。
「なぁ、あれをやらねぇか?」
「賛成だな」
ナツさんとグレイさんが何やら悪い顔をして話している。あれ?
「あれってなんですか?」
「温泉のお約束に決まってんだろ!!」
2人はそう言うとドロイさんを踏み台にして女湯の壁に背中をつける。
「あいつら、さんざんなめたまねしてくれたよな?」
「見せてもらうぜ、スッポンポン」
「まぁ、温泉来たらお約束って奴だよな」
「グレイは昼間フルチンだったけどね」
「そんなことより腹へった・・・」
ナツさん、ジェットさん、グレイさん、ハッピー、ドロイさんの順でそう言う。
「皆さん、言っておきますけど・・・」
「「「「「?」」」」」
俺は温泉に使ったまま皆さんに笑顔で、
「ウェンディの裸を見たら本気で殺しますからね?」
「「「「「お、おう・・・」」」」」
まぁナツさんはルーシィさん、グレイさんはジュビアさん、ジェットさんとドロイさんはレビィさん、ハッピーはシャルルって感じだろうし、ウェンディの裸を覗かれることはないと思うけど・・・一応ね、一応。
「では・・・」
「さっそく・・・」
ナツさんたちは壁に顔をつけて中を覗く。
『何奴!?』
すると、女湯からエルザさんの声が聞こえたのと同時に、ナツさんたちが額を押さえる。
「ぬぅぅぅ・・・死ぬかと思ったぁ・・・」
「付き合うんじゃなかったぜ・・・」
「ノリノリだったじゃねぇかお前ら」
どうやらエルザさんの攻撃でおでこをやられたらしい。なんかやられてばかりですね。
「おおおおおおお・・・」
「ねぇ?なんでそんなとこに刺さってるの?」
なぜかドロイさんはお尻にエルザさんの攻撃が刺さったらしい。一体どんな覗き方をしてたのかな?
「まぁ、仕返しは修行が終わってからやればいいじゃないですか」
「だな」
「そうしておくか」
俺の言葉にグレイさんとジェットさんが賛同してくれる。言っておくが俺はウェンディに仕返しなんかしないけどな!!
「よっしゃー!!まずフィオーレ一になったらあいつらにリベンジだ!!そのために明日からもっともっと厳しく行くぞ!!」
「「オオオッ!!」」
ナツさんとグレイさん、ジェットさんは高々と拳を掲げてそう言う。俺も早く新しい魔法と魔水晶の使い方を覚えないとな!!明日からも頑張るぞぉ!!
後書き
いかがだったでしょうか。
153話の1日目の部分とOVA4の海合宿を合わせてやってみました。
OVAだとウェンディが酔いつぶれていましたがシリルと絡ませたかったので代わりにセシリーに酔いつぶれてもらいました。
次回もよろしくお願いします。
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