| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

俺はやはり間違った選択をした

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

事後

 
前書き
2カ月ぶりの更新なのに文字数も少なく進みも特に無い。
本当にすみません。気が向いたらの更新なもんで。
そう言えば先々週とかに発売された楽園残響まだ読んでない。英語の課題のせいで……クソ!
シルバーウィークも残りわずか皆さん充実した日を。 

 
聖が戦闘に介入し、グールスは沈黙。俺はなんとか生き残っていた。このまま家まで一直線なら何も文句はなかったんが、俺は救援に来ていた次元航行艦に早乙女と一緒に保護と言う名目で連れていかれた。

艦内に転送され、はじめに連れていかれた場所は艦長室だった。中に入ると若そうな艦長が目に入る。俺と早乙女は椅子に座るように促され、座ると艦長らしき人もこっちに来て向かい側に座った。よくよく見ると中々いい顔立ちをしている人だった。これならさぞかしモテるんだろう。

「私は艦長のクロノ・ハラオウンだ」

「早乙女雪乃といいます」

「羽武谷です」

ハラオウンという響きに少し挨拶が遅れた。それと同時に頭の奥底が少しチクリと痛んだ気がした。

「まず、二人共無事で何よりだ。それと羽武谷君、我々の到着までよく持ちこたえてくれた。本当にありがとう」

「感謝されることではないです」

内心は文句たれたれだ。実際俺は局の後始末の悪さが原因であんな状況に陥ったのだ。だが、相手が艦長ともなると恐らく階級は提督クラスだろう。だから「あんたらのせいで散々な目にあった」なんて言えるわけもない。小さい人間だと自分の事を思うが嘱託魔導士ごときでは心の中で文句を言うのが精一杯だ。

「ご令嬢もご無事でなによりです。お母様も大変心配なされていました」

「手間を掛けさせてしまって申し訳ありません」

「ご令嬢?」

俺は思わず口を滑らしてしまったが、艦長は嫌な顔せず俺に説明をしてくれた。

「知らなかったのかい? 彼女は有名なデバイス開発メーカーである早乙女テクニクス社のご令嬢だよ」

開いた口が塞がらないという経験を生まれて初めてした気がした。

ご令嬢やら御曹司やらは漫画の世界や一部の優良学校ぐらいにしか存在していないと思っていたが、こんな身近にいるなんて驚きだった。

「本題に戻ろう。早乙女令嬢は今日のところは一旦お帰りになってもらいます。局員2名が護衛に付くのでご心配なさらずに。羽武谷君は少し残ってもらえるかな」

艦長にそう言われ部屋から退出する早乙女。外には先ほど言われたように2名の局員が見えた。ドアに向かって歩いていく途中一瞬だけ俺の方に視線を向けたが早乙女はそのまま歩いていった。

「さて……君には今回の事件についての経緯を話してもらいたいんだが、大丈夫かな?」

「ええ」

その後数分に渡り俺は事件に関わることになった経緯を話した。実際には逃げ回りながら攻撃していただけなので特に面白い話ではなかった。途中途中にグールスの状態やロストロギアの事に聞かれたが外見的なものしか見ていなかったので答えられることは少なかった。

「これで話は終わりだ。すまないね時間を取らせてしまって」

「いえ、大丈夫です」

そう言うと艦長さんは席から立った。俺も少し遅れて席を立つ。

「今回の君の働きは魔導師の鑑と言ってもいいものだ。今後の活躍に期待しているよ」

なんかすごい過大評価されてる上に何このスマイル。

これがマッ○で頼むとなんと0円で出てくるあれだというのか。営業スマイルってやつですね先輩。

終いには握手まで求めてくる始末。オー、コノヒトアメリカジン? てか、俺もなんで握り返してんだろ。

「一応、報酬も出るはずだからそれは追って連絡する。今日のところは家に帰ってゆっくり休んでくれ」



☆☆☆


翌日の学校に聖は来ていなかった。

多分昨日の事後処理とかがあるんだろう。報告書作ったり。

そんなわけで俺は一人で飯を食うことができている。普段は聖が執拗に話しかけてくるので騒がしいが今日はそれが無い分ゆっくりしている。やっぱり一人は落ち着くな。周りの目線を気にしなくていいし、リラックスできる。よく一人でいるとつまんないと言う奴がいるがそんなことはありえない。確かに人と一緒じゃなければできないこともあるが大抵は一人でできる。

例えば、カラオケとかボーリングとか買い物でも一人でできる。大勢で群れる必要はないのd

「あ、羽武谷君」

ここ遭遇率高くない? それとも狙ってんの? ねえ、ハラオウンさん。聖さんでも狙ってんの? そうだとしたら残念だったな。あいにく今日はあいつはいないんだ。早急に立ち去るんだな!

「そっか。今日は聖がいないから一人なんだ」

そういいながら横に座るハラオウって座ってんじゃねーよ!? なんで思春期の男の子がドキドキするよーな事をするかな。自覚持てっつーの。そもそもささっきの一言結構ひどいよね。あれじゃあ俺が聖以外友達いないみたいな言い方じゃん。そもそもあいつ友達じゃねーし。

「なんか用?」

「うーん、別に用とかないけど」

ハラオウンは手に持っていた缶を開けて口にした。炭酸系の飲み物だったのか、ん~と口を(すぼ)めている。

「そう言えば羽武谷君はいつもここで食べてるけど教室とかじゃ食べないの?」

うわーうわーうわー。超返しずらい質問してきやがった 。聖がいたらなんかうまく話を反らせたかもしれないがあいつはいない。肝心な時に使えないとはこのことだろう。

仕方ないが彼女にはドン引きしてもらおう。それとここにはもう来ないでほしいし俺の折角の一人の時間を奪った報いだ。

「友達なんかいねーから教室で食った事なんかねぇよ」

「え、えっと……うんと」

フフフ……狼狽えているのが手に取るようにわかるぞ。というよりそもそも一人で飯食ってる時点で少しは察して欲しいもんだ。天然系女子を装っているなら俺がその皮を剥ぎ取ってやる。聖とイチャイチャしたいんなら他所に行きな。

ハラオウンが返答に困っているとちょうど授業開始5分前の鐘がなった。

「えっと、それじゃ私先に行くね」

そう言うとハラオウンは少し速い足取りで校舎に戻っていった。

俺も教室に戻ろうと立ち上がる。

「あっ……」

パンが半分ほど残っている事に今気づいた。話の方に目がいっていて忘れていた。俺はパンを無理やり口にねじ込み、ながら校舎に向かった。

 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧