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4.神無異がクトゥルフ神話舞台に行くよ!

作者:クシャル
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失踪

長い話を終え、一息つく前原。

前「とまあ、ここまでが私も知っている過去の話だよ、本題はここからだ。」

関(自分で頼んでおいてなんだが、前置きが長いな••••。)

前「単刀直入に言うと、白夜くんが大規模な何者かに狙われている。」

関「狙われている?」

前「そう、神崎 ケイくんの死因を思い出して欲しい。」

関「たしか、鉄骨が落ちてきて••••••。」

前「神崎 ケイくんの死は、誰かの手によって仕組まれたものだと白夜くんが言っていた。

鉄骨が落ちてくるのは不自然だ、ワイヤーが切れるほど古くないうえ重くもない、と。

だからー」

突如二人に呼び出しがかかる。

前「この話の続きは後にしよう、呼び出しがかかってしまった。」

関「分かった、では後ほど。」

二人は病室から出て行った、残されたのは白夜ただ一人。

白「••••••やっと行ったか••••、ッ••••さすがにちょっと早くときが来たな••••。」

狸寝入りをしていた白夜は近くに誰の気配もないのがわかると、次々とチューブなどを外していく。

さっさと私服に着替え、置き手紙を残す。

白「••••こことももうお別れだな、短かったけど、結構楽しかったな••••。

感傷に浸るなんてらしくないな、さっさと去らなきゃ迷惑かける、これでさよならだ。」

白夜はその日、大怪我を負っているにもかかわらず病室から忽然と姿を消した。

それに気がついたのは2時間後の深夜2時だった。




朝、Kとエレンは病院へと呼ばれていた。

エ「えっと、どうかしたんですか?」

前「••••白夜くんがいた病室に置き手紙が残されていた、しかし白夜くんは••••、とりあえず読んで欲しい。」

前原は二人に手紙を渡した。

みんなへ

手紙なんて書くのは初めてだからどういうこと書けばいいかわからんな。

これを読んでるってことは俺はもう結構遠くに行ってるだろう。

前原サン、アンタはいっつも俺の心配をしてくれたよな。

本当に嬉しかった、人間に心配されることなんて生きてきて数えられるくらいしかなかったからさ。

アンタには昔っからやんちゃして迷惑かけたな、すまん。

関崎サン、なんやかんや言ってノリが良かった。

一緒にいて楽しかったし、いろいろなことを学べたぞ。

それに高級甘味を奢らせー奢ってくれたな、結構美味くて幸福だった。

まあでも今回いけなかったのは残念だな。

原木サン、新米だったアンタが懐かしいよ、初めて出会ったのは俺が食い逃げ犯を蹴り倒した時だったか。

それにしても本当に成長したな、あんだけ泣き虫だったアンタが立派に成長して嬉しいぞ。

ああでも、命は大切にな、死んだら元も子もないし悲しむ人だっているんだから。

エレン、小学生の時初めて出会った時の印象はザ・いじめられっ子だったな、たしか。

最初は良い意味でも悪い意味でも見てて飽きないやつだから関わってた。

でも今は俺の守りたいやつだ、お前の笑顔はとっても綺麗でいつも救われた、ありがとな。

K、お前は覚えてないかもしれないけど俺は一度、幼い時にお前にあった時がある。

おそらく忘れているだろうな、どうでもいいけど。

お前は俺の良き理解者で、長い付き合いだった。

それに家族って感じがして、とっても幸せだったんだ。

俺には本当の親も家族もいないから、でもお前に出会えて良かった。


みんなに迷惑かけるから、黙って消えたけど俺は大丈夫だぞ。

ただ何ていうか••••仇討ち?をしようと思ってな。

俺はさ、笑っていて欲しい人がたくさんできたから、だからこそ一緒にいちゃいけないんだ、お前らまで巻き込みたくない。

だから探さなくていいぞ、自ら危険な道を選んで、自分の寿命を削る必要はない。

俺、ずっと独りぼっちでこんな日が来るとは思わなかった。

温もりがあるって、本当に幸せなんだな。

誰かが隣にいて、誰かが心配してくれて、すっごく幸せだった。

でも俺がいるとそれがなくなる、俺のせいでなくなる。

そうなる前に俺は片をつけたかった。

自分勝手に消えて悪いな、これが終われば俺の仕事も終わる。

いつもそうだったんだ、幸せは長く続かない、それに俺のせいで壊れるなら俺はいない方がいい。

俺は人間じゃない、だから狙われるってことも分かってたんだ、化物と言われて、恐れられることも。

これでいい、これが最善の策だから。

だから悲しむことなんてないぞ、ちゃんと戻るさ、在るべき場所へ。

いままでありがとな!

K「••••白夜より••••。」

エ「••••なんで••••なんで何にも言わずに行っちゃうんだ••••••。

なんでいっつも辛いことを隠して••••ひとりで解決しようとするの••••、頼ってくれたっていいじゃん••••!」

前「したくてもできなかったんだろう、自分のせいで死ぬことはない、そう白夜くんは伝えたかった。」

エ「嫌だよ!どうして白夜くんだけいっつも辛い思いをしなきゃいけないの⁉︎

こんな世界おかしいよ‼︎」

K「エレンさんの言うとおり、この世界はおかしいんですよ。

今も昔も、それは変わらない。

世界には必ず報われずに死んでしまう、残酷な使命をもつ人はいます。」

関「それなら我々に頼ってくれれば••••!」

K「••••どうして白夜さんがこんな悲しい内容の手紙を置いて行ったか分かりますか?」

エ「••••。」

K「••••私だったら、白夜さんと同じことをします。

好きな人を巻き込みたくない、あるいは足手まといだから。

他の人が犠牲にならないなら、自分はどうなってもいい。

白夜さんはそういう人ですよ。」

関「••••ッだが‼︎」

K「頼りたくても頼れないんですよ!

あの人はそういう環境で育ったんです、あなたたちには分かりますか⁉︎

化物と言われ、人間扱いされず、毎日毎日迫害にあって••••!

あの人にとって人間というのは敵なんです!

それでも私たちには親しくしてくれた、なら私たちはあの人の思いを無下に扱うわけにはいかないでしょう!

あなたたちは、あの人の悲しむ顔が見たいんですか⁉︎

私は見たくない!

あの人のあんな顔はもう••••みたくないんです••••!

それは私たちも、白夜さんも同じです••••。

それに、人間とは脆いもの、白夜さんが相手にするやつらに立ち向かったって死ぬのがオチです。

それでは意味がありません。

私たちが死んだら、白夜さんが悲しみます••••。」

関「••••ではどうすれば••••!」

K「けれど、私は行かないとは言っていません。

このことを想定して、あちこちから情報を集めてきました。

少し予定が早まってしまったため、場所を特定することはまだできていませんが••••。

とりあえず場所の特定、あとは一応身を守れるようなものの準備。

行く人は••••死ぬ覚悟のある人は来てください。

私たちがこれから相手にするのは凶悪強盗犯でも、大量殺人犯でもありません。

私たちが恐れる、怪物です。

五体満足で帰ってこれる可能性は極めて低い、もしかしたら戻れなくなるかもしれない。

それでもあの人を助けに行きたいのであれば、残ってください。」

ケイトは的確に指示を出す、残ったのは前原・関崎・ケイト・エレンだった。

なお原木も残ろうとしたが警視総監の権力で強制返還された。

改めて会議を始めようとしたその時、新たに入ってくるものがいた。

K「あ••••あなたは••••••!」

ケイトは目を見開く。

紅「うっす、しけた面してんな、お通夜かコノヤロー。」

K「紅(こう)さん••••。」

紅「聞いたぜ、あの嬢ちゃん、勝手に決着付けに行ったんだってな、俺らのとこでも騒ぎになってる。」

黒い髪に紅く輝く眼をした大学生くらいの青年、紅がやってきた。

エ「あ、えっと初めまして、エレカルト・リーゼです、エレンと呼んでください。」

前「前原 千羽です。」

紅「俺は紅、苗字はない、死神だからな。」

K「紅さんは死神の長で、自由人です。

一応白夜さんの部下だった人ですよ、今は裏でマフィアを牛耳ってこの世界じゃ一番偉い人ですけどね。

••••••今更思い出したんですけど、この人私の兄さんです。」

紅「おお!やっと思い出してくれたか!兄ちゃん嬉しいぞ!

昔のようにお兄ちゃんと呼んでくれたらもっと嬉しいが!」

K「どうでもいいです、紅さん、話を聞いていたなら分かりますよね。」

紅「弟の兄ちゃん使いが荒い••••、泣きたい、切実に••••!

でもちゃんと用意する俺って良い子!なんか虚しいけど!」

紅が指パッチンすると、次々と武器や防具が現れる。

紅「これは神々が戦争で使う上位防具で、そうやすやすと破れるもんじゃない。

おそらく今回相手にする神話生物の攻撃くらいなら耐えれるだろう。

ただし『即死の槍』てめぇは駄目だ、あれは切れ味がよすぎてあの嬢ちゃんの能力じゃなきゃ防げない。

だがあの神話生物自体出てくることは滅多にない。

それに、嬢ちゃんも俺たちが来ることを想定して絶滅させているだろうしな。

いやまあ神話生物自体そんなに簡単に殺せるものじゃないんだけど、あの嬢ちゃんは強いからなぁ。」

「••••紅••••••紅••••••••。」

紅「んぁ?」

紅は声の聞こえた背後を見る。

そこには白夜に似た女性が立っていた。

エ「白夜くん••••?」

白楼「••••私は白楼人形、我が主、白夜によって作られた自立人形です。」

紅「あれ?白楼と言やぁ片言じゃなかったっけ?」

白楼「それは封じられている時の話です、片言のほうは封印されたほう、今の私は封印のないありのままの白楼人形です。

それより紅、あなたは我が主を助けるつもりですか?」

紅「おう、あの嬢ちゃんには救ってもらえたからな。

恩返しなんて言えたもんじゃねぇけど、それでもやっぱりいねぇと寂しいから。」

ニッと笑みを浮かべる紅に対し、白楼はため息を吐く。

白楼「昔から変わりませんね、貴方のその性格。

いや、それでも遙か昔よりは明るくなりましたね。」

ふっと笑う白楼。

白楼「しかしどうしたものでしょう、私でも主の居場所を特定できません、完全に遮断されています。」

紅「冥土様がいたらなぁ。」

白楼「あの人は今回来ませんよ、主に嫌われたとかなんとか嘆いて撃沈していましたから、恋は盲目とはよく言ったものですね。」

紅「どうすんだ?詰んじまったか?」

K「場所の特定なら駄弁っているうちに進めときました、一応特定はできましたよ。」

紅「すっげ、こいつ頭まで良くなってる!」

K「••••••••本題に入っても良いですか。」

ケイトは呆れたように目を向けた。




紅「つまり、そのアザルトス宗教団が、人間のくせに嬢ちゃんの力を狙ってるってわけか。」

K「はい、それで場所が••••。」

白楼「恐山ですね、東北地方 青森県にある。

あそこはなんやかんやでいますからね、そういった人たちが。」

K「あとは戦闘要員ですね。」

紅「俺と白楼は強いほうに入るぜ。」

エ「銃撃なら••••。」

前「一応銃撃戦はできますけど、医療ですかね。」

K「怪我した時に応急手当もできますしね、••••では、明日から恐山へと向かいましょう。

ただ、私たちが動いているのが感づかれると、危険性が高まります。

観光客のフリをして行きましょう。」

エ「明日からは春休み、特に用事もないし。」

前「私は有休を使おうかな、溜まってるし使わなきゃ消えるだけだし••••。」

紅「決まりだな!今日はゆっくり休んで明日に備えよう。」

Kたちは一旦解散し、明日に備えて休むこととなった。




白「••••此処も違う••••••••、残るは恐山のみか••••。」

月が紅く輝く、森山にいた白夜は、闇の中へと姿を消した、そこには、人間ではない死体がゴロゴロ転がっていた。 
 

 
後書き
NEW 紅

白楼は3作目の地球の神無異様!で登場しました。

イラストまとめ!に封印時の白楼のイラストが載せられております。 
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