FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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融合、そして・・・
第三者side
「ハァ・・・ハァ・・・ったく、ずいぶんぶっ壊したはずなんだがなぁ・・・」
グレイは無限城から地上に落とされている鎖を見てそう言う。かなりの数を壊してはいるのだが、あまりの量の多さに苦しんでいた。
「ウォーレン、状況はどうなっている?」
『鎖はまだ半分以上残ってる!!みんな、急いでくれ!!』
エルザが念話でウォーレンに鎖の数を確認したところ、まだ反対のも終わってないということが判明する。
「ダメだ・・・時間がかかりすぎる・・・」
ウォーレンのすぐ近くで鎖を壊しているウェンディは膝に手をつき息を乱しながらそう言う。
「それでも、1本ずつ確実に切断していくしかないわ!!」
「うん!!それにしか方法はないもん!!」
シャルルとセシリーがそんなウェンディを見てそう言う。
「さぁ!!次いくわよ!!」
「きっとシリルも頑張ってるから~!!負けないで、ウェンディ~」
セシリーが六魔将軍のコブラを倒したウェンディの恋人の名前を出して鼓舞する。
「うん!!シリルが頑張ってるんだもん!!私だって負けられないよね!!」
ウェンディは体の前で両手を強く握りしめ、気合いを入れ直す。
「水天竜の咆哮!!」
そのシリルは、コブラとの戦いでなった水天竜モードのまま1本1本鎖を壊すのではなく、一気に何本ずつか壊していくと言う荒業で時間の省略化を図っているが・・・
「き・・・きつい・・・」
滅竜魔法の魔水晶のおかげでシリルは以前よりも楽に水天竜モードを維持できるようになったが、それでも魔力の消耗は激しいため苦痛な顔を浮かべる。
「しかし・・・やるしかないんだよな・・・」
シリルは汗を拭いながら、鎖の破壊を続行した。
その頃、シリルに倒されたコブラはというと・・・
「くそ・・・水竜・・・なぜトドメを刺さなかった?」
シリルのブレスによって飛ばされたコブラは地面に大の字になって倒れていた。その周りはあまりの勢いで落ちたためか、クレーターのようにへこんでいた。
「あ・・・」
すると、コブラは何かに気づく。
「聞こえる。誰だ?そこにいるのは・・・」
傷だらけのコブラは頭だけを声が聞こえた方へと向ける。
「ハァ・・・ハァ・・・」
そこにいたのは、自分を呼ぶ声を探していたキナナだった。
シリルside
「ふぅ・・・いくら壊しても全然終わりが見えてこないんだけど・・・」
俺はいまだに大量に地上に刺さっている鎖を見て愚痴る。一体どんだけあるんだよ。
「はぁぁぁぁ!!」
一方、俺から少し離れたところではエルザさんがすごい勢いで鎖を破壊していた。
「待っていろ、ルーシィ!!」
エルザさんは休むことなく次々に鎖を壊している。俺もへばってられないな。頑張って鎖を壊さないと!!
『残りの六魔はどうなった!?』
そんな中、グレイさんが状況を確認しようと念話を送る。レーサーはミラさんが、エンジェルはグレイさんが倒したらしい。前のチームで行動した時にエリゴールはウェンディたちが倒したらしいから、残るはブレイン二世とミッシェルさんだけのはずだが・・・
『ウォーレン!!ナツたちは!?』
『くそぉ、どうなってんだ!!ナツとの念話が途切れちまった!!』
ウォーレンさんがそう言う。ナツさんとの念話が途切れたってどういうことだ?
『どうなってるも何も』
『ナツが消えちまった!!』
ロメオとエルフマンさんがそう言う。ナツさんが消えただと!?
「ナツさんが消えたってどういうことですか!?」
俺がそう聞くが念話の調子が悪いのか、誰の声も聞こえない。
「一体何がどうなってるんだよ・・・」
俺はナツさんが心配で仕方ない。俺も今からでもそっちに向かうべきなのかな?
「シリル!!手を休めんな!!」
すると、後ろからそんな怒鳴り声が聞こえる。俺は驚いてそちらを振り向くと、そこには鎖を破壊しているグレイさんがいた。
「でも・・・」
「心配するこたぁねぇ!!ナツがそう簡単に負けるわけねぇだろ!!」
グレイさんがそう言う。その目は仲間の無事を信じて疑わない、強い光を俺に感じさせた。
「やるぞ!!今はルーシィを助けるために」
「はい!!鎖を全部ぶっ壊します!!」
俺とグレイさんは再び地上に刺さる鎖を破壊し始める。ナツさん・・・ルーシィさん・・・無事でいてくださいよ。
『ミッシェルに謝りなさいよ!!ナツを返してよぉ!!』
俺たちが鎖を切断している中、無限城からルーシィさんの声が聞こえ、それと同時に無限城の至るところからたくさんの光が溢れてくる。
「なんだ!?」
「まぶしい・・・」
その光を見て俺とグレイさんはそう言う。これは一体・・・
俺たちが眩しさに目を瞑っていると、しばらくして無限城の光が収まってくる。
「まさか・・・ルーシィがナツを助けようとしたってことか?」
「そうなんでしょうか」
さっきのルーシィさんの声はすごく怒っていた。ナツさんを消されそうになったことに本当に怒っていたんだ。それが今の光を生んだのか?
「ったく、助けに行っておいて自分が助けられてちゃ世話ねぇぜ」
「フフッ。そうですね」
少し広角を上げて言うグレイさんを見て俺は少し笑ってしまう。本当はナツさんが助かっただろうから飛んで喜びたいくせに。
「んじゃあ、続きを行こうぜ」
「はい!!」
俺たちはブレイン二世を倒すのをナツさんたちへと任せ、自分たちのやるべきことへと移動した。
第三者side
『ウォーレン!!』
ウォーレン、ウェンディ、シャルル、セシリーが次の鎖の破壊に移動していると、レビィから突然念話が入る。
「どうした?」
『それが・・・色々調べ直したんだけど・・・』
『実は実は、早急にお伝えしなければならないことを発見したのです、実は』
レビィの言葉を遮りジャンリュックがそう言う。そして、ジャンリュックは自分の発見したあることの説明を始める。
「何?もっかい言ってくれ」
ウォーレンはジャンリュックの言ったことに驚き、そう言ったのであった。
シリルside
「うおおおおおおっ!!」
「ん?あれは・・・」
俺たちが鎖を破壊していると、無限城から何かが地上に落ちていくのが見える。よく見るとそれは六魔将軍のリーダー、ブレイン二世だった。
「ブレインが落ちていく・・・」
「ということは」
俺とグレイさんは顔を見合わせ笑みを浮かべ、ハイタッチをする。ナツさんたちがやってくれたんだ!!これで刻印を全て解除したってことだ!!
「これでルーシィも助かるんだな?」
「そのはずです!!」
ハッピーの言った通り、俺たちは六魔将軍を全員倒した。これでルーシィさんは無限時計から解放される。
『え?何それ・・・私がいなくなっちゃったって何?』
俺たちがそんな話をしていると、どこからか声が聞こえてくる。
『ちょっとちょっと!!まさかこれって・・・いやーな予感が・・・』
その声は間違うはずがない、ルーシィさんの声だった。
「てか、なんかルーシィさんの匂いがするんですけど」
「これは念話・・・じゃねぇな・・・」
俺たちは辺りを見回すがルーシィさんの姿はどこにもない。なのに匂いを感じ、念話じゃないのに声が聞こえるってことはまさか・・・
「まさかルーシィさん・・・」
「無限城と完全に融合しちまったのか!?」
俺とグレイさんは驚いてそう言う。間に合わなかったっていうのかよ・・・
『いやぁーーー!!!』
ルーシィさんが悲鳴をあげる。なんかめちゃくちゃ耳に響いてきてすごくうるさく感じるのも無限城と融合したからなんでしょうか?
『ひどすぎる・・・あたしはハッピーのエサになっちゃったんだ・・・』
ルーシィさんはがっかりとした声で言う。さすがにいくらハッピーでもこんな魚は食べないんじゃないかな?
『落ち着けルーシィ!!ナツを助けるためにリアルナイトメアを使ったことで融合が早まっただけだ!!』
『俺のせいかよ!!』
ウォーレンさんの念話が聞こえる。さっきの光はリアルナイトメアを使った光だったのか。しかし、どうしたものでしょうかね・・・
『とにかく、やっと繋がった。みんなも聞いてくれ』
ウォーレンさんがそう言うので俺たちはその念話に耳を傾ける。
『ちょっと前にギルドから連絡があってなぁ。ジャンリュックたちがルーシィを助ける別の方法を見つけたんだ』
別の方法?まだそんなかくし球があったんですか!?
『刻印の解除が間に合わず、完全に融合してしまった場合、ルーシィ様は意識を集中してリアルナイトメアを操らねばなりません実は』
『無限時計をこの世にとどめているのは生体リンクになっていた星霊魔導士から吸収した魔力なんだって!!』
ジャンリュックさんとレビィさんがそう説明してくれる。それでそれで?
『まずは、サナギのようになっている彼らの呪いを解くこと。やり方は簡単だ!!』
『彼らの時の感覚を100年分進めちゃうんですか?』
ウォーレンさんの言葉を遮り、ココさんがそう言う。なるほど、ルーシィさんのリアルナイトメアを使って星霊魔導士たちの時の感覚を操るわけですね。
『そうすれば、時計は再びバラバラになって、どこへとなく散っていくらしい』
ウォーレンさんがそう説明するが、その中に聞き捨てならない単語があった。
「散っていく!?」
『それって・・・』
俺とウェンディはそれを聞いてあることに気づく。
「おい、ちょっと待てよ」
『ルーシィはどうなるのだ?』
グレイさんとエルザさんが俺たちの聞きたいことを聞いてくれる。
『融合から解放されるところまでは判明しておるのですが・・・』
『下手したら、部品ごとどっかに飛んでちまうのか?』
ジャンリュックさんは申し訳なさそうにいい、エルフマンさんは焦りのある声でそう言う。
『そんな・・・』
『他になんかねぇのかよ!!』
ナツさんが他の方法をジャンリュックさんたちに聞くけど、それがないからこうなっているんですよね・・・
『やってみる!!』
俺たちが別の方法がないか考えていると、ルーシィさんがそう言う。
『それで大勢の人たちが100年分の眠りから解放されるんだよね?どこかに飛んでっちゃうかもなんて、その程度のリスク!!』
ルーシィさんは他の呪いにかけられている人のことまで考えいるのか。すごい精神力・・・
『あたしは妖精の尻尾の魔導士だもん。ジュードとレイラの娘だもん!ミッシェルのお姉さんだもん!!やってみせる!!』
ルーシィさんが無限城を操り始めると、さっきのオレンジの光とは違う、青色の光が無限城から放たれる。
徐々に強くなっていく光、そして、ルーシィさんが無限時計のリアルナイトメアを操ったことで100年分の呪いから星霊魔導士たちが解放されたのか、無限城は粉々になって散っていった。
第三者side
「ひどいケガ・・・何か私にできることがあれば・・・」
無限城が崩壊した頃、シリルと対戦してボロボロになったコブラのことをキナナがそっと支える。
「気安く触ってんじゃねぇ・・・」
支えられているコブラは、キナナに対してそんな口をきく。
「ねぇ、私を呼んでいたのは・・・あなた?」
キナナはコブラに顔を近づけながらそう問う。
「っ!!」
コブラはキナナのその言葉を聞き、驚いた顔を浮かべる。
「聞こえる・・・」
コブラはキナナの心を聞き、キナナが自分の友であるキュベリオスであることを知る。
「お前!!」
「きゃっ」
コブラはキナナを押し倒す。
見つめ合う二人、しかし、キナナはコブラの顔を見てあることに気づく。
「あなた・・・目が・・・」
コブラの顔を見つめていたキナナ。しかし、コブラの目はキナナの顔を見えていないように見えた。コブラはキナナに指摘され、顔を背ける。
「力を得るために失った」
新生六魔将軍がそれぞれ失ったもの。コブラが失ったのは視力だったのだ。
コブラは一度キナナから離れて地べたに座る。
「気にするな。声が聞こえるだけで俺は・・・」
「名前は?」
「エリック」
コブラは名前を聞かれ、六魔将軍としてのコードネームを得る前の、つまり本名をキナナに教える。
「エリック・・・」
しばしの沈黙。しかし、エリックは自分たちに近づいてくる音を聞き取る。
ヒュンッ
二人の視線の先に現れたのは、評議院強行検束部隊大隊長ラハールと、7年前に妖精の尻尾に潜入していたドランバルトだった。
「新生六魔将軍のコブラだな?」
「他のはあらかた捕まえた。大人しく来てもらおうか?」
二人は今回の事件の犯人である六魔将軍を捕縛しに来たのだった。
「評議院か」
「待って!!この人は・・・この人は・・・」
「!?」
キナナがエリックを捕まえようとする二人に話をしようとするが、その手が突然闇に飲み込まれるように変色する。エリックはその異変に気づく。
「なんだ?」
「抵抗するか?」
ドランバルトとラハールはキナナの手を見て驚いている。
(あの娘、魔導士ではないようだが・・・)
(仕方ねぇ。六魔の一味となれば、捕縛するしかねぇか)
二人はキナナもエリックと共に捕まえようとしていたが、コブラはそれを聞いてある決断をする。
「わかったよ!!」
エリックはラハールたちの言葉に従って立ち上がる。
「お前は行きな」
「え?でも・・・」
エリックはキナナにしか聞こえないような声でそう言うと、ラハールたちの方へと歩き出す。
「待って!!あなたなんでしょ!?私を呼んでいたのは。ねぇ!!」
離れていくエリックの背中にキナナは叫ぶ。エリックはそれに振り返ることなく答える。
「・・・何の話だ」
「!!」
エリックはそれだけ言うと、ラハールたちの方へと再び歩き出す。
「あの娘は?」
「お前の仲間か?」
ラハールとドランバルトはエリックにキナナのことを聞く。
「いや、知らんな。友を探して、ここいらをうろついてたそうだ」
「そうか。ならいい」
エリックの言葉を信じてラハールはキナナを捕まえることはしなかった。
「ずいぶん諦めがいいじゃねぇか」
ドランバルトはエリックの態度に不信感を持っていた。
「まぁな。だがよぅ」
エリックはキナナの方を振り返る。
「いいもんだな。友ってのは。いると分かるだけで、心が落ち着く」
エリックのその表情は清々しいものだった。エリックはラハールとドランバルトの間に挟まれるようにその場を後にした。
(エリック・・・あなたが私を呼んでいたんだね)
キナナは遠のくエリックの背中を涙ながらに見送る。
(私の声、聞こえたかな?)
キナナはようやく自分を探していた人に会えたことが嬉しくて、涙を流しつつも笑顔になっていた。
(やっと聞こえた・・・お前の声が)
エリックは自分の祈りが通じたことに、静かに微笑んだのであった。
シリルside
「ん?」
「メェーン!!」
「うおあー!?」
さっきまで眠っていたナツさんが目を覚ます。その前にいるのは青い天馬の一夜さんだったりする。
「無事で何より」
「ここは・・・」
ナツさんが自分の状況を確認するため辺りを見回す。ちなみに今俺たちがいるのはバイロのタコの上です。
「タコの上じゃねぇか!!」
ナツさんはタコの上と分かると酔ってしまう。
「心配めさるな。カナロアくんとは友情の香りで結びついている」
「そっか、仲間か」
ナツさんはカナロアが仲摩だと知ると乗り物酔いが収まる。そんなわけで俺も乗り物酔いしてないのです!!
「あ・・・ルーシィは?ルーシィはどこだよ!!」
ナツさんは無限時計と融合してしまい、それから分離するためにリアルナイトメアを使ったルーシィさんのことを心配する。
「落ち着けナツ」
「今シリルが探してるからよ」
エルザさんとグレイさんがナツさんをなだめる。俺はさっきからずっと目を使ってルーシィさんを探しているが、あらゆるところに部品が飛んでいったせいか中々見つけられない。
「おいシリル!ルーシィはどこだ!!」
「お・・・落ち着いてくださいナツさん」
ナツさんが後ろから俺の肩に手を置いて揺すってくる。今探して―――
「いた!!」
「「「「「オオッ!!」」」」」
俺はようやくルーシィさんの姿を捉える。ルーシィさんは体を回転させながら地上に向かって落ちていた。
「あっちです!!急いでください!!」
「カナロアくん、頼む!!」
一夜さんが頼むとカナロアはジャンプして俺が指を指している方向へとひとっ飛び。
次第にルーシィさんの匂いも近づいてくるのがわかる。そして、カナロアの上に乗っている全員がルーシィさんを見つける。
「いた!!」
「ナツ!!」
「お願いします!!」
「オオヨッ!!」
俺とグレイさんはナツさんを思いっきりルーシィさんの方へと投げ飛ばす。ナツさんは地面に着地すると、地上に近づくルーシィさんの元へと全速力で駆け出す。
「ルーシィーー!!!」
ナツさんは叫びながら走るが石につまずき転倒する。しかし、すぐに立ち上がってルーシィさんへと走り出す。
「うおおおおっ!!」
ナツさんはルーシィさんの目の前まで来ており、キャッチしようもダイブする。
ドンッ
ダイブするタイミングが早かったのか、ナツさんはルーシィさんをキャッチできずに背中で受け止める。
下敷きのナツさんは地面に若干埋もれながらも大切な仲間が無事だったことに笑みをこぼす。
その上でルーシィさんは頬赤くしてニッコリとしている。
「「「「「「ルーシィ(さん、姉)!!」」」」」」」
「お姫様ぁ!!」
「メェーン!!」
俺たちもカナロアから降りてルーシィさんの元へと向かう。
こうして、針から始まったこの騒動は終了したのであった。
後書き
いかがだったでしょうか。
無限時計編は短めにして大魔闘演舞編に余力を残すつもりでしたが普通にいつも通りやってしまいました。
次からは私が一番やりたかった大魔闘演舞編です。
次回もよろしくお願いします。
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