零から始める恋の方法
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予想外
前書き
予想GU・・・なんでもないです。
アレ高いんですよねー・・・。
「先輩、私ちょっと調べさせてもらいました」
「へえ、何かわかった?」
一応こいつが敵だということはすでに知っていたからもう何か月も前から準備はしていた。
ついでに言うと私がアクションを起こしたら必ずこいつが出てくるということも知っていた。
だから準備が整い次第、ここで行動を起こしたわけだ。
「すごいですよね。某国の戦争孤児だったあなたが一気に特殊部隊ハウンドの部隊長様ですか」
「・・・よくそこまで調べたわね。さすがは金持ち」
まあ、ほとんどは紗由利がやったんだけど。
あの子はこういうことは本当に得意だからね。
「うちには優秀な子が多いですから。それでそちらも私たちのことは知っているんでしょう?」
「もちろん。私は上からあんたらを生け捕りにしろって言われてるけど・・・やっぱあんたムカつくから全員ぶっ殺すことにしたわ」
そう言うなりさっきのようなものがにじみ出てくる。
漫画とかだとオーラ的なものが出ている状態だ。
流石は戦争を切り抜けてここまで上り詰めただけはあるみたいね。
ナイフを構える動作からも確実にこちらをしとめるという気迫が伝わってくるし。
「お相手してあげます、先輩♪」
こちらも特注品の鋸|刹那狂閃を構える。
あんな貧弱なサバイバルナイフ一本で本気で勝てると思ってるのかしら?
「先輩、もっとまともなの用意してくださいよー。じゃないと面白くありませんよー」
「・・・調子に乗るなよ、クソガキが。あんたなんて殺そうと思えばいつでも殺せるのよ」
強がっちゃって。
この段階だと私は絶対に死なない。
問題は次の段階のときだ。
この女よりもあの女のほうが厄介だ。・・・今度こそあいつを倒して見せる。
「そうですかそうですか。こわいこわい・・・」
「・・・舐めるんじゃないわよ?クソガキがああああああああああ!!」
そう言ってナイフを投げてくる。
それを私は軽く鋸で弾き飛ばし、即座に反撃体制をとる。
次のこいつの攻撃パターンは即座にナイフを構え直して突撃してくる。
しかし、紗宮は予想外の行動をとった。
「え?」
「バーカ。私が突っ込むとでも思ったの?アハハハハハハハハハ!バーカバーカ!死んで悔い改めろよ、クソガキ!アハハハハハハハハハ!!」
この段階で銃を使ってくるの・・・?
嘘・・・こんなこと一度もなかったのに・・・。
俺はそのあと持上と合流し、無事凛堂家に到着したのだが・・・。
「出ませんね・・・」
「そうだな。こんな夜だ。誰か一人はいると思うんだが・・・」
さっき持上にメールが入ったらしい。
そのメールによると黒城姉妹はもう家にいるんだとか。
だから、このメールからも出ないのはおかしいはずなんだが・・・。
「あ、上元さま、持上さま。ようこそいらっしゃいました」
そう考えると、ひょっこりとかわいらしく想夢が出てきてくれた。
「すいません・・・。お姉ちゃん怪我しちゃってたみたいで・・・今私しか対応できないんです・・・」
「え!?怪我って大丈夫なんですか!?」
怪我だと?
ってことは、紗由利さんもあのハウンドとかいう武装集団に襲われたのか?
というか、想夢のやつ本当に無傷じゃんか・・・。
こいつ本当に人間か?
「はい。幸い傷は浅かったみたいですけど・・・出血がひどくて」
「あ、それなら私と上元先輩でほかのことやっておくから想夢ちゃんは紗由利さんを手当てしておいてくれますか?」
確かにそれがいいかもな。
妹がそばにいれば姉としても安心だろうし。
なにより、この中で一番心配なのは想夢だろうしな。
そばにいてやりたい、という気持ちは人一倍大きいはずだ。
「ありがとうございます。ですが、お部屋までは案内させてください」
「わかりました。あ、具合がよくなったら私も紗由利さんに会っていいですか?」
「はい、ぜひ会ってあげてください。お姉ちゃんも心配していると思うので・・・」
そうして、俺たちは無事にたどり着いた。
・・・あとは利英だけか。
「ふうん、あっけない」
死んだか。
まあ、心臓ぶち抜けばそりゃあ死ぬか。
「ハウンド」
「ハッ」
私がそう呼ぶと待機していたのかハウンド部隊の一人が出てくる。
こいつの死体・・・どうしてやろうか。
とりあえず人払いは済ませたけど、血とか弾痕とかの処分もしないといけない。
「私たちがここにいたという一切の証拠を消してちょうだい。あと死体は・・・川にでも流しておきなさい」
「ハッ。お前たち、行くぞ」
そう言って、ハウンドの一人が消える。
ついでで、周りにいた複数の気配と凛堂利英の死体も消える。
「ふう・・・。あとは凛堂家を落とすだけか。楽勝ね」
上からはどいつもこいつもとんでもない戦闘能力の持ち主だって聞いてたけど、ただの頭のおかしい連中だったわね。
どんなことができるのかは知らないけど、自分の力を盲信しすぎて無茶な行動に出ちゃったみたい。
まあ、ハウンド四人相手に生き延びたことと、私のことをあそこまで調べ上げたことは褒めてあげるけど。
それまでね。
冷たい。
たぶんここは川・・・だろうか。
まだ傷は治っていない。
多分医学的には私は死んだことになっているだろう。
だけど、お父さんたちの研究が私を救ってくれた。
「ぐ・・・いっつぅ・・・」
そのまま近くの下水道に逃げ込む。
くさくて最悪の環境だけど、まだ満足に動けないこの状況だと出て行ってもやられるのがオチだ。
刹那狂閃も回収しないといけないし。
とりあえずは、無事なことを紗由利に伝えて迎えに来てもらわないと。
「ああ、紗由利?私」
『あ、利英さま!』
「ん?想夢・・・?」
どうして想夢が紗由利の携帯に・・・?
・・・怪我でもしたか。
だが、多分死んでることはないだろう。
うまいこと生き延びてるはずだ。
『あのね・・・。お姉ちゃんが刺されて・・・怪我しちゃって・・・』
「わかったわ。とりあえず落ち着いて。上元と雪ちゃんはそっちにいる?」
『う・・・うん・・・いるよ・・・。今ついたところ・・・』
そうか。
しかし、紗由利が動けないとなると迎えに来るのは厳しそうだ。
想夢なら単身で乗り込んできても大丈夫そうだが、今の私では足を引っ張ってしまうだろう。
「なら、少し時間がかかるかもしれないけど私もそっちに向かうわ。今平道川の下水道にいるんだけど、そこから私の家まで行ける?」
『うーんと・・・たしか家の地下に下水道と直結してる脱出ルートがあったはずだからそこに出れるはず。待ってて、今地図転送するから』
「うん、ありがとう。・・・大丈夫。今日は絶対にみんな生き残るわ。だから心配しないで、冷静に対処して?今はあなたが一番頼りになる存在なんだから」
『うん・・・わかってる・・・』
「そう、いい子ね。じゃ、きるわね」
想夢は甘えん坊だ。
だが、そろそろ自立してもらわなければ困る。
紗由利も想夢もいつまでも私のそばに置いておくのはかわいそうだ。
・・・雪ちゃんが無事幸せを掴めたら二人とも好きなことをさせてあげよう。
私もその時はもっと別の未来を探してみるのもいいかもしれない。
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