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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another23 ピッコロモン

 
前書き
大輔達が純真の紋章を手に入れている時 

 
大輔達が純真の紋章を手に入れた時、賢達は…。

賢「さて、皆さん。とてつもなく久しぶりに会ったわけだけど」

すずか「賢さん?」

賢「今の僕達は基本的に大輔達のサポートに徹しようと思っている。しかし、ゲンナイさんは何の反省もせずに放任主義だから基本的にはアテにしない方がいい」

全員【はい】

ゲンナイ「お、お前達、年寄りを労らんかい…」

アリサ「誰が年寄りよ!!あんた一体何年生きてると思ってんのよ!!」

ユーノ「肉体年齢弄れるんでしょ?なら、さっさと若くなればいいじゃないですか」

ゲンナイの体たらくぶりを知っているこちらからしたら、もう手加減など不要だと分かっているために容赦がない。

ゲンナイ「お前達はいつからそんな冷酷非情に…」

全員【あんたのせいだよ!!自分の今までの行動を省みろ!!】

ゲンナイに全員からのツッコミが炸裂した。































一方、純真の紋章を手に入れた大輔達はロコモンに別れを告げた後、ゆっくり先に進んでいた。
太陽がギラギラと照りつける中、子供達は再び砂漠を歩き続けていた。
涼しい風が子供達の歩みを早くする。

アインス「今日はいい天気だな」

大輔「そうだな…」

普段からこうだといいのだが、そういうわけにもいかない。

空「紋章は手に入ったのはいいんですけど、どうやって使えばいいんでしょうかアインスさん?」

アインス「え?そうだな、それは私にも分からない。多分感覚的な問題ではないか?」

頼りない解答。
アインス自身は紋章を使ったことなどないし、大輔に聞いても自分に似た解答が来ると思っている。
紋章による進化は心の進化だ。
そういうのは一度体験しなければ分からないだろう。

丈「使い方が分からないんじゃあな」

空「それに正しい育て方についてはともかく、経験も積まないといけないなんて…これから先、少し不安だわ。」

少し不安そうにする空。
ハッキリ言って、完全体相手となると大輔とブイモン、アインスとロップモンくらいしか相手が出来ない、タケルとパタモンに至っては、成熟期への進化さえ出来ない状態だ。
それに関しては古代種の因子持ちだから仕方ないというブイモンからの訳の分からないフォローがあったが。
それにしても太一はどう思っているのだろう。
一見普通にしているようにも見えるけれど、太一は、紋章の話になるとさりげなくアグモンとその場を離れてしまう。

ヤマト「でも、まだ全部の紋章が見つかったわけじゃないんだ」

光子郎「そうですね。まず紋章を全て集めて、それから考えることにしましょうよ」

ヤマトと光子郎が言う。
知識の紋章の所有者となるためか好奇心旺盛な光子郎はともかく、ヤマトがこういうことに乗り気なのは珍しい。

大輔「ヤマトさんがこういうのに乗り気なのは珍しいですね」

ヤマト「…俺にも思うことがあるからな」

大輔「え?それって…」

太一「うわあああああっ!!!!」

呼びかけようとした声は、太一の叫びに遮られた。
見れば太一達がかつてファイル島でも対峙したクワガーモンが太一とアグモンに襲いかかっていた。
アグモンはクワガーモンに、ベビーフレイムを放つ。
以前戦ったクワガーモンなら倒せた、成長期での攻撃。
だがこのクワガーモンは全くダメージを受けた様子もなく、その鋭い顎の鋏をアグモンに向ける。

ロップモン[アグモン!!進化して!!]

アインス「成長期では勝てん!!成熟期に進化しろ!!」

ロップモンとアインスの言葉に太一とアグモンは身体を硬直させた。

太一「でも…もし進化に失敗したら…」

アグモン[グレイモンになれなかったら…]

脳裏にスカルグレイモンの姿が過ぎる。
もし、失敗してグレイモンに進化出来なかったら、スカルグレイモンに進化させてしまったら。
今度こそ取り返しのつかないことになる。仲間を傷付けてしまうことになる。
そう思うと身体が動かない。

アインス「どうしたと言うんだ八神は…!!?」

ロップモン[そっか!!きっとスカルグレイモンのことで進化がトラウマになったんだよ!!]

ブイモン[あんな精神状態で進化なんて絶対に無理だ!!大輔!!]

大輔「デジメンタルアップ!!」

ブイモン[ブイモンアーマー進化!ヤシャモン!!]

純真のデジメンタルでアーマー進化し、クワガーモンに突撃する。

ヤシャモン[必殺、一刀両断!!]

両腕の木刀を振るい、文字通りクワガーモンを一刀両断したヤシャモンは、撃破したのを確認するとブイモンに退化した。

ブイモン[ふう…終わったか]

[見事だっピ!!]

全員【ん?】

突如聞こえてきた声に全員が振り返った。
見た目は大きな羽を付けたピンクボール。
つぶらな瞳が可愛らしく、じっとしていればぬいぐるみのようだ。
しかし、そこにいる存在をブイモン達は知っている。

ブイモン[ピッコロモン?]

ピッコロモン[うむ、未熟者ばかりだと思ってたっピが、こういう子達もいて安心したっピ。それにしても他の子供達と来たら…弛んでるっピ!!努力が足りないっピ!!根性がないっピ!!]

ロップモン[似たようなことブイモンにも言われてたよね~]

全員【返す言葉もございません…】

事実そうなので返す言葉がない。

ゴマモン[どうせオイラ達は根性ないよ]

ブイモン[今更だよ]

ピッコロモン[よって君達、今日から私の家で修行するっピ!!]

大輔「修行?」

アインス「お前の家で…か?」

ピッコロモン[そうたっピ。特にそこの子供とアグモンは重傷だっピ!!根性を叩き直してやるっピ!!]

太一「ス…スペシャルメニュー!?」

大輔「ですって、良かったですね太一さん。行きましょうか」

アインス「そうだな、行くとしよう。ピッコロモン可愛い…(小声)」

光子郎「え…?」

アインスの小声が聞こえたのか光子郎が目を見開いた。

ピッコロモン[さあ、ついて来るっピ!!]

光子郎「どうします?大輔君とアインスさん、ついて行きましたけど」

光子郎がまず尋ねる。

丈「信用出来るのかな、あのデジモン」

丈が疑いの目を向ける。

ヤマト「どうなんだ、ガブモン」

ガブモン[口うるさいけど、悪いデジモンじゃないよ」

ヤマトの質問に、ガブモンは率直に答えた。

パルモン[黒い歯車も、ケーブルもついてないみたいだし]

パルモンはしっかり観察していたようだ。

空「いいじゃない。いつまでも大輔君達に頼りきりなのもアレだし、それにみんなで合宿すると思えば楽しいわよ。きっと」

空は修行に乗り気のようだ。

ミミ「歩くよりのんびりできそうかな」

少し打算的に考えるミミ。

ヤマト「太一はどうなんだ?」

ヤマトが太一に聞く。

太一「行ってみようぜ。面白そうじゃんか」

タケル「決まりだねっ」

全員【おう!!】

タケルが締めて、皆は声を揃えた。

ピッコロモン[何をグズグズしてる!!早く来るっピーッ!!]

誰も後ろにいないことに気づいたピッコロモンが金切り声をあげた。






























それから大輔達は、かなりの距離を歩かされた。

ミミ「まだぁっ?」

歩き疲れたミミが不満の声をあげる。

ピッコロモン[もう少しだっピ]

パルモン「もう少しもう少しってさっきからそればっかり…]

ミミ同様に歩き疲れたパルモンの声はぐったりしていて覇気がない。

ピッコロモン[着いたッピ。ここだっピ]

空「ここって、何もないじゃない」

周りを見回したが、確かに何もない。

ピッコロモン[ピー!!]

ロップモン[へ?]

ロップモンが目を見開き、ピッコロモンは飛び上がった。

ピッコロモン[ルホルバロホルバソビカッピ!!トルカラトルカルシタカッピ!!]

するとただの空間が丸く切り取られ、木々や草花が生い茂るジャングルへの入り口が出現した。
目を丸くする子供達の背中を杖でつついて促すピッコロモン。

ピッコロモン[これは私の結界だっピ。早く中に入るっピ!!]

一度経験している大輔とブイモンは即座に結界の中に入る。
太一達もすぐさま結界に。
すると子供達の後ろで、クラクションが響いた。
見れば大きなトレーラーがモノクロモンに牽かれて走っている。

アインス「何だあれは?」

初めて見るアインスは首を傾げた。

ピッコロモン[あれはエテモンのトレーラーだっピ。でも心配することないっピ、結界の外からじゃこっちは見えないっピ。それに]

大輔「それに?」

ドゴオオオオオンッ!!

凄まじい轟音に驚いた子供達が慌てて轟音の発生源を見遣る。
そこには猛スピードで爆走するロコモンにエテモンのトレーラーがぶっ飛ばされていた。

大輔「あそこはロコモンの進行ルートなのか?」

ピッコロモン[そうだっピ。エテモンも馬鹿だっピねえ。ロコモンの進行ルートにいたら轢かれるのにっピ。まあ、あそこがロコモンの進行ルートになったのはつい最近だからエテモンが知らないのも無理ないっピね]

因みにロコモン進行ルートのことに賢やフェイト達が絡んでいたりする。

ブイモン[ぷっ、エテモン、ざまあ]

吹き出すブイモン。

丈「ロコモンは大丈夫なのかい?エテモンに攻撃されたりは……」

ピッコロモン[大丈夫だっピ。ロコモンは完全体の中でも上位に位置するデジモンだっピ。エテモン程度じゃ相手にもされないっピ。]

ヤマト「そ、そうか……」
































そしてジャングルを抜けると、巨大な岩山がそびえ立っていた。

ピッコロモン[この上が私の家だっピ]

丈「この上って…ええ…!!?」

丈が上を見上げて驚愕。
階段が延々と続く岩山の頂上に、いくつかの建物が僅かに見えた。

ミミ「何よこれ!!信じられなぁい…」

光子郎「これを登るんですか!?」

あまりの光景に4年生の2人が口々に言う。

タケル「何段あるのかな?」

ヤマト「数えるだけ無駄だ。」

空「ちょっと、修行はもう始まってるってわけ?」

ピッコロモン[そういうことっピ!!因みにあの2人と2匹はもう登ってるっピよ、しかもかなりの勢いで、感心感心っピ]

確かに既に大輔とアインスは階段を登っていた。
しかも駆け足で。

ピッコロモン[君達も頑張るっピ!!因みに空を飛んで楽しようなんてしたらピッドボムっピ!!]

空を飛べるテントモン、ピヨモン、パタモンに釘を刺すと、ピッコロモンは大輔達の元に飛んでいくのであった。



































ブイモン[ふう、ふう…こいつはキツいな。でも今の俺には丁度いいぜ]

大輔「とにかく、身体も足腰も鍛えないと…いつか融合進化した時の反動に耐えきれない…」

アインス「し、しかし…」

ロップモン[つ、疲れるよお…]

ピッコロモン[君達、修行熱心だっピねえ!!感心だっピ!!]

大輔「おお、ピッコロモン。丁度いいとこに」

ピッコロモン[?]

大輔「後で俺とアインスとピッコロモンで話がしたいんだ。いいか?」

ピッコロモン[話っピ?別に構わないっピ!!さあ、ペースが落ちてるっピ!!気合いを入れるっピ!!]

ブイモン[はあっ!!はあっ!!]

荒く息をしながらもペースを上げるブイモン達にピッコロモンは大満足。
他の子供達よりも遥かに早い時間で頂上に着いた。






























ピッコロモンの大きな銅像がどこからでも見えるという自己満足全開の構造をしている螺旋階段のような構造をした建物に入った大輔、ブイモン、アインス、ロップモン。

ピッコロモン[さて、私に話とは何だっピ?…と、その前に]

ブイモン[ゼハー、ゼハー…]

大輔「はあ…っ!!」

アインス「………」

ロップモン[…目が回る~]

クタクタの大輔達を見て、流石に鬼ではないピッコロモン。

ピッコロモン[少し休もうかっピ?]

大輔「いや、いいから…話…しよう、ぜ…」

ピッコロモン[いや、そんな息絶え絶えじゃあ説得力ないっピ。とにかく、少し休むっピ。他の子供達のペースじゃあまだまだ時間がかかるっピ]

大輔「…………」

結局、大輔達がピッコロモンと話が出来たのは今から数分後であった。

 
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