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第一章

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 世間の評価は全く違っていた。
「桑田は悪い奴だよ」
「あんな奴球界の恥だ」
「あそこまでドス黒い奴はいない」
「本当にとんでもない奴だ」
「清原とえらい違いだ」
 桑田真澄はPL学園で共に甲子園で活躍した清原和博と何かと比べられた、それは読売ジャイアンツに入団した時からだ。
 とかく比べられた、清原の評価はよかったが。
 桑田はとかく評判が悪かった、それは何故かというと。
「早稲田に行くとか行っていたな」
「何で巨人に入るんだ」
「巨人に入りたかったのは清原だ」
「その清原が西武に行って」
「自分は巨人に入るか」
「何て奴だ」
「世の中間違っている」
 こうしたことまで言う人間までいた、特にスポーツ新聞でだ。
 桑田は悪く言われた、それは一年目からで。
 新人王を獲得した清原とは完全に明暗だった、まさに天と地だった。
 清原は球界をしょって立つ若きスターだった、だが桑田は。
 汚いイメージで満ちていた、二年目から活躍したが。
 しかしだ、それでもだった。
「黒いな」
「投げる不動産屋だ」
「金髪買ったんだろう?」
「自分の登板の日教えていたか」
「あんな奴球界から追い出せ」
「永久追放にしろ」
「あんな奴がいるから駄目なんだ」
 こうした意見がスポーツ新聞を中心に出ていた、清原と本当に正反対だった。
 だが桑田本人は黙々とだった。
 走っていた、野球と真剣に向かい合っていた。それは故障した時も同じだった。
 毎日走っていた、グラウンドで。芝生の上を毎日何周何十周と走っていた。
 それでだ、その芝生の上がだ。
 あるファンがだ、桑田が毎日走っているそのグルアンドの芝生を見てそのうえで一緒にいる友人に言った。
「おい、あの芝生」
「ああ、あそこだけな」
 その友人も言った。
「草がなくなっててな」
「道みたいになってるぜ」
 まさにそうなっていた、芝生の草がだ。
 なくなっていてだ、黒い道になっていたのだ。
 その道を見てだ、ファンは驚いた顔で言ったのだ。
「あそこまでな」
「走ったってことだな」
 友人も彼の言葉に頷いて言う。
「やっぱり」
「桑田がな」
「おい、桑田ってな」
「ああ、投げる不動産屋とかな」
「当番日教えたとかな」
「悪い話が尽きないけれどな」
「入団の経緯にしてもな」 
 とかくダーティーな話が多い、しかしというのだ。
「違うのか?」
「マスコミが言う桑田と実際の桑田は」
「あれだけ真剣にか」
「芝生が道になる位まで毎日走ってるのか」
「故障してるってのに」
「走れるならか」
 走ってだ、トレーニングをしているというのだ。
「凄いな、だとすると」
「何か清原はな」 
 ここでも清原の名前が出た、PL学園の時からセットの様な扱いになっているのでここでも一緒くたにされているのだ。
「遊んでるらしいな」
「ああ、フェラーリ乗ってな」
「女遊びばかりらしいな」
「けれど桑田はか」
「こうしてか」 
 故障中でもというのだ。 
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