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ハルマゲドンだ

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第四章

「それは何百億年後だと思っている」
「二百億年後だそうですね」
「この地球もなくなりそこから相当経っているぞ」
 だからだというのだ。
「そんな気が遠くなる時まで待てるか」
「ですが誰にも迷惑がかからない様に」
「迷惑か」
「まずは誰にも迷惑をかけずに」
 法皇はこのことを絶対にしてくれというのだ。
「ハルマゲドンをされて下さい、人間の戦争も全世界ではしません」
「どんな戦争でもか」
「戦争が行われていない場所もあります」 
 あの第二次世界大戦でもだ、参加していない国もあったり戦争が行われていない地域もあった。法皇はこのことからも言うのだ。
「そんな全世界規模なぞは」
「ではどうするのだ」
「はい、お願いします」
 絶対にというのだ。
「宇宙がなくなるまで」
「だから出来ないと言っているだろう」
 サタンも引かない。
「私はあくまでだ」
「私もだ」
 ここでだ、ミカエルはまたサタンに言葉を合わせた。
「今ハルマゲドンをしなくてはならない」
「絶対にだ」
「今戦う」
「何があってもだ」
「ではもうです」
 法皇は二人があくまで引かないのを見て最終手段を出した、考えついたものを。
「このバチカン一国の中で戦ってくれますか」
「この中でか」
「戦えというのか」
「このローマならコロセウムはどうでしょうか」
 かつて剣闘士達が戦ったそこも話に出した。
「あそこで」
「剣闘士の様にか」
「一騎打ちで戦えというのだ」
「軍勢を率いてではなく」
「その様にしてか」
「はい、それでどうでしょうか」
 法皇はこの妥協案を二人に話した。
「サタン殿もミカエル様も」
「獣達もか」
「天使達もだな」
「はい、人間の大きさになられてです」
 そのうえでというのだ。
「思う存分ハルマゲドンをされて下さい」
「バチカンかコロセウムで」
「そこでか」
「それでお願いします、戦いたいのなら誰にも迷惑をかけないで下さい」
 他宗教にもハルマゲドンを受けていないキリスト教徒達にもというのだ。
「是非」
「軍勢を率いて全世界を戦場にするな」
「一騎打ちの連続で勝負を決める」
「そうしてハルマゲドンをしろ」
「そういうことか」
「どうしてもというのならそれでお願いします」
 くれぐれもという口調だった。
「絶対に他宗教は巻き込まない」
「そういうことでか」
「はい、お受け下さいますか」
「若し受け入れないとどうなる」 
 あくまで全世界、全人類を巻き込んだハルマゲドンをすればというのだ。
「その時は」
「他宗教の神仏が怒ります」
「キリスト教以外のか」
「はい、間違いなく」
「私は他宗教になぞ興味はない」
 サタンは腕を組んでこのことは確かに言った。
「むしろ持つ筈がない」
「はい、そうですね」
「あくまでキリスト教の中での存在だからな」
「そうですね、では」
「仕方がない」
 ここでだ、遂にだった。 
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