ダンボール戦記ZERO
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第二話 devilの奇襲
前書き
前回の続きです。
補足! イプシロン・airは山野博士は極秘に開発していたLBX。
数ヶ月前の事件を参考に造られ、『オーレギオン』と戦える様を前提として開発された。
ゴーストジャックの改良版をイプシロン・airには搭載されており、完全に数ヶ月前の事件の様な事件に対応する為に・・・山野博士は結構内心はビクビクしてます(笑)
備えあれば憂いなし、言葉通りで完全にミゼルを恐れている。
が、数週間前に研究所から何者かの手によって盗まれ勝手に改造され、悪用されていた。
なのだが何故か、何らかの故障で行方不明なり。現在は蒼乃 創太のLBXとなっている。
「『イプシロン・air』の現在地は?」
無数のモニターで占領された部屋の中央。
中年の男性は中央の巨大なモニターに目を向け、部下に言った。
「詳しい位置は特定できません。
どうやら、コアブロックの一部が破損していると思われます」
イプシロン・air『LOST』
撃破されたのか、破損しているのか、コアブロックのGPS機能を態と切っているのか。
次世代型試作機『AX―O2』
高性能CPU搭載。自身の自己判断を活動する最新鋭の機体はテスト飛行中にLOSTされた。
アーマーフレームはイプシロンを元に最新鋭の最新型のパーツでカスタマイズされ、山野 淳一郎氏の技術を応用したLBXなのだ。特殊モード搭載・高性能多関節高機動型AI『ガルファ』を搭載する最高の機体をテスト飛行中にLOSTするだと?
「LOSTしたエリアを重点的に探索せよ!
探索隊には『devil』の使用を許可する!」
「了解」
自立稼働型LBX『devil』
数年前に開発された『アサシン』『インビット』を合わせた隠密用兵器だ。
アサシンの遠距離射撃能力を上回る射撃システム。
インビットの自立稼働&隠密行動を上回る精密度。
ある意味、試行錯誤の最中に偶然完成に至ったLBXと言えよう。
量産に不向きな点を瞑れば完成度は『オーディーン』を超える。
人型での飛行可能を実現した量産に向いた・・・実用化と量産化の目処が立った、ある意味『技術の結晶』とも言えるLBX『devil』は機動を開始する。
モノアイに映った物を識別。
対象の危険レベルを把握。一億を超える行動パターンを分岐計算―――状況の場合『LOST』を完全破壊或いは回収します。後の操作データを保持、devil出撃を開始します。
無数のdevilは空を浮遊、発進する。
謎のLBX『イプシロン・air』を捕獲する為に。
「ジ・エンプレス!」
秒速の皇帝 海道 ジンは山野 淳一郎から譲り受けたLBX『ジ・エンプレス』を最近、愛用している。
サイバーランス社のテストプレイヤーを一時中断、現在は山野博士の開発中の試作機専用のテストプレイヤーを受けている。
『ジ・エンプレス』
秒速の皇帝のコントロール操作に対応する演算処理システム。
身軽な装甲・・・と思わせる程にスリムな体型に見合わない守備力。
破壊力絶大の強化ハンマー『メテオ・ブレイク』を装備。
完成度・攻撃力・守備力。完全を具現化したLBX『ジ・エンプレス』はジオラマの中央で、動きを止めた。
自動対戦様のLBX達は、続々と姿を表わし攻撃を開始する。
その数30機。
一斉攻撃を開始するLBX達を海道 ジンは眺めていた。
3―――2――――1―――0!
瞬時にジ・エンプレスは加速した。
狙撃攻撃を回避、多少のズレで回避する。
微妙な角度を計算・・・ハンマーを構え、縦横無尽に駆け巡る。
転ばないギリギリの角度をハンマーの重量で調整、ハンマーの重たい一撃を与える。
吹っ飛ばされたLBX達は一発で戦闘不能状態に陥る。
『戦闘終了』
マントを靡かせ『ジ・エンプレス』は大地の荒野に立っていた。
周囲はLBXの残骸。その鉄クズを眺め、ジンは溜息を零す。
ジ・エンプレス―――お前は強力過ぎる。
一撃で、一撃で、LBXを破壊する程の攻撃力。
僕の操作速度に対応するCPU。ゼノン以上の完成度、故に危険だ。
山野博士はオーレギオンを基準に世界の平和を維持する為に、と仰ったが・・・強過ぎる力は更に強過ぎる力を呼ぶ。その連鎖を呼ばなければ良いが、オーバースペック過ぎる。
「はぁ~高かった」
財布の中身はスカスカ。
キタジマ模型店に入る前は・・・・はぁ、お小遣い3ヶ月分のクレジットさようなら。
不完全なイプシロン・airを完全なイプシロン・air――――待てよ。
僕は一度、アキレスZEROの設計思想を思い出す。
全てに対応するLBX。
僕の望んだ理想の機体だ、アキレスZEROは僕の理想を具現化した機体。
その理想を具現化―――現実以上の想像以上のLBXを製作する事を、幻想は現実と変貌する一歩手前なのか?
アキレスZERO・・・お前は、僕の相棒だ。
バトルを繰返せば成長する。僕とお前は進化するんだ。
僕とお前で、成長するんだ。
『イプシロン・air発見―――回収を開始』
タン、タン、タン。
突然、僕の目の前にLBXが現れた。
見知らぬLBXだ。最近の流行はoriginalなのか?
デクーの様なゴツゴツ装甲。『SR』遠距離狙撃用ライフルを携え、そのLBXは現れた。
『イプシロン・airを確認。目標の回収を回収優先』
ガチャ!ガチャ!ガチャ!
現れたLBX達はライフルの照準を僕に合わせ。
パン!パン!パン!
撃ってきた!?
咄嗟に壁の陰に隠れた。
警察に、連絡を・・・繋がらない。
電波ジャックか、CCMの電波を妨害する電波を交互に合わせ機能を低下させている。
アキレスZERO―――動けないか。電波が妨害されている状況では不可能だ、一旦逃げないと。
壁をよじ登り、隣の建物に隠れ込む。
電波の元を潰せばアキレスZEROを起動できる。でも、発信源の発見は困難を極めるぞ。
『イプシロン・air起動認証―――危険状況と判断。起動開始』
な、なんだ!?
『所持者の心拍数上昇。緊急事態と判断します。』
イプシロン・airの補助操作システム起動。
CCM同期失敗。error・error・error。
電波を妨害する電波をCCMが受信してるんだ操作は無理だ、物陰に隠れてやり過ごすか。
『FREEDOMworld発動』
CCMの電波がアキレス・ZEROに届いた!
確か、イプシロン・airには電波を拡散する電波受信で一時的にルーター扱いで電波を送信するんだった。
オート機能で、助かるよ。アキレスZEROとCCMを同期―――起動!
「アキレスZERO!」
物陰に身を潜め、アキレスZEROを前進させる。
アキレスZEROの武器は槍のみ・・・現状結構困難だな、奴等は遠距離狙撃用ライフルを持ってた。遠距離だと勝機は0だ。槍の攻撃範囲まで誘き寄せられればZEROランスで、ZEROランスを構え、好奇を伺う。
数は三機。
遠距離タイプのLBXだと考えるが、装甲がゴツイ。
生半可な攻撃だとダメージを与えられなさそうだ。
ランス系の武器はリーチ&攻撃力に優れ、盾も装備可能な万能武器だ。
一瞬の隙を付いて、必殺ファンクションを決めれば三体一でも勝てるさ。
・・・・焦るな。大丈夫、大丈夫だ。
タイミングを合わせれば僕だって、やれるんだ!
「ZERO!」
『アッタクファンクション!『ファランクス 五月雨』』
追加アップデート必殺ファンクション。
必殺ファンクション『ファランクス』の強化技。
槍の連続突きを更に強化。ランス系必殺ファンクションの中でも指折りの大技!
「喰らえ!!」
ZEROランスは謎のLBXを貫通した。
奇襲攻撃成功!更に怒涛の連撃を加え、距離を取った。
謎のLBXは機能停止・・・残り、2機!
一旦、距離を取って正解の様だ。
多分、自立稼働型LBXだ。仲間のLBXが大破しても操作に迷いを感じない。
小さな地面のくぼみにアキレスZEROを移動させ待機する。
・・・マズイなエネルギーを充填する時間を稼がないと。
CCMに標準されたアキレスZEROのバッテリー残量は50未満。攻撃回数は限られ、活動時間も絞られる。
必殺ファンクション『ファランクス 五月雨』は高威力の突きを連続で放つ技だ。
その分、エネルギー消費効率が非常に悪く。一度の発動で莫大なエネルギーを消費するのだ。
もっと冷静に考えて、使わないと・・・てか、なんなんだ? あのLBX?
突然、現れて攻撃するとか普通じゃないぞ?
気を取られた。
アキレスZEROの盾が吹っ飛ばされた!?
遠距離狙撃ライフルの狙撃だ、アイツら空も飛べるのか!
距離を取っても、空を飛行できる相手じゃ、追い付かれる。
アキレスZEROも多少の飛行は可能だが、バッテリー残量が残り少ない今の状況だと一瞬で行動不能に陥る。
2機のLBXは狙撃体制に入っていた。
避ける前に、避けられない。
万事休す―――ZERO!?
「1つ、教訓だ」
謎の爆発が、視界を遮った。
「狙撃に特化したLBXはカメラ機能が、普通のLBXより優れている。
光に弱いのさ。狙うなら頭部を狙うのが効果的だ」
無駄な動きを一切省いた動作で、敵LBXを翻弄。先程の閃光で、視界を遮られているのか敵LBXの動きはぎこちない。
「ジ・エンプレス!」
ナイトフレームのLBXが現れた。
薄っらと弱々しい様な装甲。
アキレスの様なカラーリング――――――山野 淳一郎製のLBXだ。
直感だ。でも、解るぞ!
アキレスZEROを安全な地帯まで運び。
地面に突き刺さったハンマーを引き抜いた。
そのハンマーはLBX業界最速のプレイヤー『秒殺の皇帝』の愛機『ジ・エンペラー』の大型ハンマー『ティターニア』の様だ。
「さぁ、授業を―――」
消えた。
謎のLBXの真後ろに現れ、吹っ飛ばした。
単純な作業。虫を振り払う様な攻撃、その一撃は謎のLBXを壁にめり込ませ破壊した。
攻撃だ、攻撃の筈だ。なのに攻撃に見えない。
プレイヤーの技量が伺える。圧倒的な威圧―――『ジ・エンプレス』から伝わってくる様だ。
無駄を徹底的に省いた移動で、翻弄すると同時に武器を変えた。
先程、倒したLBXのライフルだ。それを構え、放った。
放たれた弾丸は頭部を貫通。爆発を起こさず『頭部』だけの破損を狙って破壊したのだ。
「――――始める前に、終わった様だ」
高貴な口調・・・秒殺の皇帝を思わせる風格を帯びた青年。
特徴的な髪型。白髪と黒髪を合わせた青年はジ・エンプレスを肩に乗せ。
「そのLBX―――山野博士の研究所から盗まれた最高機密の筈だ。
何故、君が・・・」
「『devil』LOSTを確認」
オペレーターは冷静に事実を告げた。
「馬鹿な、3機のdevilが全滅だと・・・」
試作段階の機体とは言え、最高傑作の機体だぞ?
それをLBX回収中に失った。絶対に成功すると考え、試作段階のdevilを任務に向かわせたが全滅?
戦闘データを集める欲を無視すれば・・・こんな結末を迎える事は。
「機密防衛だ! 隠密部隊!
devilの残骸を回収せよ!」
「機密データ保持の為。
残った機体を爆破しますか?」
「構わん! 爆破シークエスト開始!」
「カウントダウンを開始します。
3・・・2・・・1・・・0」
爆破。
error―――error―――error―――error
「爆破・・・失敗」
司令官は察した。
爆破する為の回路を破壊され、爆破を受付けない。
運が悪いのか・・・違う。狙って、破壊されたのだ。自爆システムは態と破壊する事で、devilの存在を調べる機会を世間に与えてしまった。
「直ちに回収班を結成。
別動体と合流後。devil回収を最優先!」
「イプシロン・airは?」
「devilの回収が、最優先事項だ」
画面上のdevil所在地を凝視する。
血走った目で、拳を壁に叩きつけた。
「成程、君は被害者の様だね」
海道 ジンはイプシロン・airの内部構造を確認後、言った。
「・・・コアブロックの中央部分。
特殊な外部CPUが繋がっている。指紋認証・生体認証・心拍数認証・脳波認証。
認証システムは君を『主』と認識している様だ」
「僕を、主?」
「簡単に言えば君を所有者と、認識しているんだ」
話が読めないんだが?
「あの? 状況が読めません?
急に襲われたり、なんやかんなで、てんやわんや状態なんですが?」
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