ドリトル先生と森の狼達
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第五幕その十一
「世紀の発見をするかも知れないよ」
「世紀って」
「何、凄いこと?」
「世紀なんて言うと」
「何かここに?」
「凄い生きものがいるの」
「思わぬ再会と言うべきかね」
先生はかなり真剣にです、皆に言うのでした。
「僕達を待っているかね」
「再会ねえ」
「再会っていうと」
「ちょっとね」
「わからないけれど」
「ええと、何かな」
動物の皆もわかりません、王子もトミーもです。
そう聞いてもわからなくて首を傾げさせています、そして王子はこう言いました。
「再会っていうと僕達が?」
「そうなるってことだよね」
「そうだよね」
「先生のお話の仕方だと」
トミーも首を傾げさせつつ言うのでした。
「けれど再会っていってもね」
「色々なパターンがあるからね」
「どういった再会かっていうと」
「まだね」
「わからないね」
二人も見当がつきませんでした、ですが。
先生だけは目を輝かせてです、こう言うのでした。
「行こう、けれど焦らないでね」
「ゆっくりとだね」
「一歩一歩確かにだね」
「いつも通り」
「先に進んでいくんだね」
「先生がいつもそうしているみたいに」
「そう、僕は焦らないよ」
例えです、先生が言う再会が待っていてもというのです。
「何時でもね」
「そうだね、それが先生のいいところの一つだよ」
「焦っても何にもならなしし」
「ましてやここは山の中」
「足場が悪いしね」
だからこそ余計にとです、動物の皆も応えます。
「慎重にね」
「進んでいこうね」
「そうしよう、ただ慎重にとはいっても」
先生はこうしたことも言いました。
「慎重に対応を検討するという言葉は信じちゃいけないよ」
「そうしたことを言う人は実は何もしない」
「日本ではそうだよね」
「結局何もしない」
「そうした人だよね」
「イギリスでもそうかも知れないけれど」
先生はここでは微妙なお顔でお話しました。
「日本では特にね」
「そうだよね、前向きに善処するとかね」
「その慎重に対応を検討するとかね」
「そうしたことを言う人はね」
「実は何もしないのよね」
「そのこともわかってきたよ、だから慎重とはいっても」
例えそれでもというのです。
「しっかりと前に進まないとね」
「何もしないのはよくない」
「そういうことだよね」
「その通りだよ、じゃあ行こうね」
前に前にとです、こうお話してでした。
先生も皆も前に進んでいくのでした、慎重ですが焦らず確かに一歩ずつ。
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