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ソウルリアクター~魂の解放者~

作者:村雲恭夜
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プロローグ ラグナロク

「“海竜(リヴァイアサン)”……!」
先程まで神魔の戦い“ラグナロク”起きていたまさにその戦場で、本来海を生息地域とする“海竜”が姿を現し、彼らは驚いていた。しかし、彼らが驚いていたのは“海竜”ではなく、その目の前にいる人間の集団を指示していた男だった。
「ここは俺が時間を稼ぐ!!逃げろお前ら!!」
「ダメっすよーーーー兄!ーーーー兄が殿を務めるなんて!!」
ーーーーと言う男に、少年が詰め寄る。しかし、
「どちらにせよ、誰かが残らなきゃ全員死ぬんだぞ!?だったら、ギルドの中でも随一の俺が残って相手しなきゃ行けねぇだろ!!」
「“ラグナロク”を相手したその体で何いってるんすか!?」
男が言うと、男が叫び言うが、ーーーーは無視し、その後ろにいる魔女に口を開く。
「レイン。コイツ、預かっててくれないか?」
彼が魔女に渡したのは、“ラグナロク”を強引に終わらせたかの“ソウルギア”だった。
「……魔女に魂の武器を渡すなんて、正気?あれ相手にそれは必要なのだと思うのだけれど?」
「コイツは俺らのギルドの旗印だ。失うわけにはいかねぇ。お前ならコイツを保存する事くらい朝飯前だろ」
「出来ないことも無いけど、死ぬ気?アンタ、確実死ぬけど」
「唯で死ぬ気は毛頭ない。こいつ以外に、有効な手は幾つか用意しておくのがギルマスの仕事だろ?」
彼は笑うと、武器を魔女に渡し、無謀にも“海竜”に挑んでいった。
彼が“海竜”と戦っている内に、彼が率いていた人間の集団は戦域から離脱し、街に逃げていた。
「くっそ……!」
しかし、彼は戦う。我々には理解が出来なかった。何故戦うのか。何故一人になっても戦うのか。
「ーーーーるんだ」
彼は小さく、呟く。
しかし。
「ガァアアアアッ!!」
ついに、“海竜”のブレスをマトモに受けてしまった。
「ぐ……はっ!」
彼の体は意図も簡単に吹き飛び、地面に転がり伏す。
尚も“海竜”は地に伏す彼に対し、攻撃を続ける。
何度も吹き飛ぶ彼の体は、まるで紙当然となっていた。
“海竜”は笑うように吠える。彼は動かない。
ーーーー見ていられないな。
ーーーーああ、見ていられないな。
誰かが言った。彼の姿を見て。彼の魂を感じて。そして、“神魔”は降臨した。
『消え失せよ、海の王よ』
『それとも我らと戦い、消滅するか?』
それを聞いた“海竜”は、彼に見向きもせず、海に帰った。
しかし、“海竜”に吹き飛ばされた彼の命は、風前の灯火だった。
「あ……っ、が………っ」
『……何ゆえにそこまで足掻く、人間よ』
すると、彼は答える。
「……帰るんだ。約束、したんだ……!」
体は地面に付けながらも、引きずるように立ち上がろうとし、前に進む。
「もう一度……、あいつらに……、会うんだっ……!」
『……』
しかし、彼は神魔の前から数メートル移動したその地点で、力尽きた。
つまり、死んだのだ。
体はピクリとも動かず、声を発しない。
ーーーーあやつほどの人間、早々に居るまいよ、我らが王よ。
ーーーー同感だぞ、神の王よ。このまま死なせると人間界に置いてかなりの損失だぞ。
彼らは口々に言う。
『………如何する、魔の王よ』
『これ程の好敵手、失うには惜しい。何より、彼は我々にはない可能性が在る』
すると、大きな鎚を持った大男が前に出る。
『儂に任せておけぃ。見事に蘇生させようぞ』
しかし、それを押しとどめた。
『待て、雷神。普通に蘇生させてはそれこそこやつの為にならんだろう』
『では、どうしろと?』
彼は言うと、一人の男を呼び寄せた。
『お呼びで御座いましょうか』
『うむ。彼の者の記憶の一切を、ある一つの引き金で復活するように細工し、蘇生させよ』
『記憶封印……それを復活する鍵を作れ、と申し上げましたか』
『如何にも。お主なら出来るであろう?』
『無論、私は蛇遣い。どんなものでも治し、癒すものでございます。その様な細工、出来ないのでは名折れで御座います』
蛇遣いはそう言うと、杖を地面に付ける。途端、彼の体が光り、次の瞬間、その光が消えた。
『完了致しました。念のため、体の紋章も隠蔽を施しました』
『ご苦労』
蛇遣いを下がらせると、ライズに手紙と、ある一本の剣を体の上に置き、立ち上がると、言う。
『長居は無用。帰るぞ、“上”に』
『そんじゃ、俺らは“下”だな』
言うと、魔の軍勢は姿を消し、神の軍勢は一人を残して消えた。
『……何時か、また再会するときを心待ちにしておるぞ、“黄昏戦争(ラグナロク)の仲裁者”よ』
そういって、彼も姿を消し、そこには一人の記憶を失った男が寝ていた。 
 

 
後書き
新作、ソウルリアクターです。
因みに、ギアブレイカーは設定に難が在るために、ソウルリアクターを先に公開します。次回は主人公設定です。 
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