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詩集「棘」

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夏影に手を翳して



君のいない この街で
何となく生きてくなんて
僕にはとても出来そうにない…

夕の紅の中 死のうかなんて…
ぼんやりと考えていた
ただ一人 君だけを
迷わずに見続けていたいから…

夏影に手を翳して
見上げる空はどこまでも
蒼く輝いている
ずっと遠くまで…
君の元までも蒼く透り
包んでいるのかな…?


鬱陶しい蝉時雨
陽射しの中の白昼夢
幻でもいいから会いたい…

全ての時間を止め 消し去れるなら…
精神(ココロ)へと狂気が巣喰う
ただ君に居てほしい
願いは刹那に心を裂いた…

夏影に手を翳して
想うは君のことばかり
木洩れ日の煌めき
小川のせせらぎ…
今はどれもが虚しいだけの
ジオラマの世界で…

夏影に手を翳して
見上げる空はどこまでも
蒼く輝いている
ずっと遠くまで…
君の元までも蒼く透り
包んでいるのかな…?



 
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