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ソードアート・オンラインーもしもあの時、サチが死ななかったらー

作者:Bloo-D
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SAO
朝露の少女
  第31話

 
前書き
原作“朝露の少女”の徴税隊と遭遇する辺りまで書きます。 

 
キリトとサチとユイの3人は、第1層^はじまりの街^の転移門を出た。

キリトとサチにとって、^はじまりの街^に降り立つのは、以前のマイホームを買う時以来だった。
キリト『ここに来ると思い出すな、デスゲーム開始時を。』
サチ『うん、そうだね。』
キリトの呟きに、サチは答えた。

2人が言っているのは、キリト達の時間軸でおよそ2年前の事。(この件に関しては、後に公開する予定のExtra Editionに相当する辺りで明かします。)

^はじまりの街^は、アインクラッド最大にして最下層にある都市。プレイヤーにとって必要なアイテム等は何でも揃っている上に、物価が安く、尚且つ宿屋等は多数存在する。
しかし、前回も言ったが、ここは<軍>の本拠地。キリト達でさえ、滅多な理由が無ければ立ち入る事は無い。
忘れているかもしれないが、ユイはキリトに負んぶされている。理由はユイから望んでの事。
今回キリトとサチは、ユイの保護者か親を捜すべくこの街に来たが、プレイヤーらしき人達は、キリト達を見ると微笑ましい表情を浮かべた。
おそらくキリト達は、彼等からは“本当の親子”の様に見えている事だろう。

ーーーーーーーーーーー

キリト達はそんな視線を気にしながら主街区内を歩き始めた。
サチ『ユイちゃん、見憶えのあるものはある?』
サチはユイに聞いた。
ユイ『ううん。』
サチの問いに、ユイは首を横に振った。どうやら見憶えのあるものは無い様だ。
キリト『ここは広い所だからな。色んな所を歩いてみよう。』
サチ『解った。』
キリトの言葉に、一行は主街区内を歩き回る事にした。
この街は以前、1万人ものプレイヤーが暮らしていた所である為、主街区は迷子になる程広い。過去にキリトも、この主街区で道に迷った事が何度もあった。無論、サチも最初はそうだった。
そして一行は、あちこちを歩き回ったが、ユイが見憶えのあるものは一切無かった。偶然はち会ったプレイヤーにも話を聞いたが、結局は駄目だった。


ーーーーーーーーーー

そうこうしている内に、一行は主街区東にある教会に辿り着いた。
実は道中であるプレイヤーから“主街区の東に、子供達のプレイヤーが暮らしている教会があるから行ってみたらどう?”と言われたからだ。

≪コンコンッ≫
教会に辿り着いたキリトは、扉をノックして…、
キリト『すみませーん、どなたかいませんかー⁉︎』
呼び掛けたが何も聞こえない。
キリト『いないのか、サチ、どうだ?』
キリトの言葉に、サチは"索敵スキル"を発動した。
サチ『えーと…室内左側に3人と右側に4人、更に2階にも何人かいるよ。』
キリト『そうか…おそらく、<軍>の徴税隊を恐れているんだろうな。』
サチの答えに、キリトは納得した。

徴税隊とは、言うなれば借金取りの様な連中で、特に第1層でプレイヤーから金を絞り取っている事で知られている。
それから隠れているのなら無理もない。

サチ『私達、人探しをしているのですが……。』
サチは室内に呼び掛けた。すると…、
≪ガチャッ、キイィ〜〜ッ≫
扉が開き、2~30代と思しき女性が姿を現した。
『貴方達は、<軍>の…徴税隊の人じゃぁないんですね?』
女性は警戒する様な表情でキリト達を見ながら言った。
キリト『いえ、俺達は人探しに来ただけです。安心して下さい。』
『そうですか……。』
キリトの言葉に、女性は安心した。
すると…、
『『『わ〜い‼︎』』』
子供のプレイヤー数人が出て来て、キリト達に駆け寄った。
『こら、部屋に隠れていなさい‼︎』
女性は子供達を叱った。しかし、子供達は気にも止めない。
『上層から来たの、武器持ってるの⁉︎』
『見せて見せて‼︎』
キリト『え、えーと……』
サチ『そんな事を言われても……』
子供達はこぞってキリト達に聞いた。聞かれたキリトとサチは困惑している。
『いいから黙りなさい‼︎お客様に失礼でしょ‼︎』
この一言で、子供達はやっと大人しくなった。

その後、キリトとサチは、出されたお茶を飲んだ。
一方、子供達は外に出掛けて行った。
『自己紹介が遅れましたね、私はサーシャと言います。』
サーシャは自己紹介した。
サチ『私はサチ、こちらはキリトです。』
キリト『キリトです。』
サチ『そして、この子がユイです。』
ユイ『宜しくお願いします。』
キリトとサチとユイも自己紹介した。
サーシャ『ところで、人探しをしていると……。』
サチ『はい、ユイの親か保護者を捜しているんです。この子は、第22層の森で迷子になっているだけでなく、記憶をなくしているようでして……。何か、心当たりはありませんか?』
サーシャ『残念ながら……』
サチ『そうですか……。』
サーシャ『すみません。』
サーシャは本題に移した。サチは説明し、ユイについて心当たりはないか聞いたが、サーシャは知らない様だ。

そんな時…、
『サーシャ先生、大変だよ〜‼︎』
外に出ていた子供達が駆け込んで来た。
サーシャ『こら、静かになさい‼︎』
『そんな事をしてる暇はないんだって‼︎』
『ギン兄達が、<軍>の徴税隊に捕まったんだって‼︎』
サーシャ『なんですって⁉︎』
サーシャは子供達を叱ったが、子供の言葉を聞いたサーシャは驚きを隠せなくなった。
サチ『どこなの?』
『向こうの路地裏の方‼︎』
サチの問いに、子供の1人が答えた。
サチ『私達が助けに行きます。サーシャさん達はここにいて下さい‼︎』
サーシャ『いえ、私も行きます。これでも戦えますから。』
ユイ『私も行きたい。』
サチ『ユイちゃん⁉︎…解った。キリト、ユイちゃんをお願い‼︎』
キリト『了解‼︎』
そう言ってキリトとサチは、戦闘服に身を包んだ。キリトはユイを負んぶすると、サチと共に教会を出て、子供達が言ってた場所に向かった。

ーーーーーーーーーー

そこには、子供達を取り囲む<軍>の徴税隊らしき姿があった。数は10人くらいである。
『おやおや、保母さんのご登場か?』
彼等のリーダーらしきプレイヤーが、キリト達に反応した。
サーシャ『子供達を返して下さい‼︎』
『別に返してもいいが、税金を払ってからな。』
『そうだ、お前等市民には、納税の義務ってもんがあるんだからな。』
『『『はははは……。』』』
サーシャは<軍>の徴税隊に言ったが、彼等の言い口から見て、簡単に返す気はない様だ。
すると…、
サチ『子供達を解放しなさい、さもなくば容赦しないわ‼︎』
サチが前に出ると、愛槍の<マーキュリースピア>を装備した。
『ほーう、俺達を相手しようとは、いい度胸じゃあねぇか。』
サチの挑発に乗った彼等のリーダーらしき男が、武器を装備しようとしたその時…、
『ちょっと待てよ。青い戦闘服に槍装備…まさか、あいつ〈青の槍壁〉じゃあないか⁉︎』
『〈青の槍壁〉、攻略組の……⁉︎』
徴税隊の1人が、サチに気付いた。
『待てよ、攻略組がこんな最下層に降りて来る筈……』
『いや、確か数ヶ月前に〈黒の剣士〉と一緒にこの街に降り立ったって聞いたぞ。その時、そいつらを市民と勘違いした仲間が〈青の槍壁〉とデュエルしたら、そいつ……』
『そいつ…どうしたんだ?』
『デュエル後に……消滅したそうだ。』
『『『『『何〜〜〜〜⁉︎』』』』』
他のメンバーはそんな筈がないと言ったが、上記で言った通り、キリトとサチは以前ここに訪れた事がある。
その時、<軍>の徴税隊の一部とはち会い、金を払うよう言われたが、それに腹を立てたサチがそのリーダー格とデュエルした。その際サチは勝ったが、その時のサチは腹の虫が悪かったのか、手加減せずに倒した為、相手のリーダー格はデュエル後に消滅した。
その際、サチのカーソルの赤になったが、すぐにカルマを回復した。
因みに、この事実の知るのはかなり少ない。
これを聞いた徴税隊のメンバー全員が驚いた。
サチ『あの時は気が立っていたから、つい殺しちゃったけど。
もとより、あいつ弱過ぎたし……。
っま。そんな事はいいとして、あんた達もあいつみたいにしてあげようかしら?』
『『『『『≪ガタガタブルブル……≫』』』』』
サチの言葉を聞いた徴税隊は戦慄した。
下手をしたら、命はないと悟ったからだ。
仮りに勝負を挑もうものならタダでは済まされない。良くても半殺しにされるかされないか辺りである。
『相手が悪い、逃げろ〜〜‼︎』
『『『『『うわ〜、助けてくれ〜〜〜〜‼︎』』』』』
彼等のリーダー格の一声で、徴税隊は尻尾を巻いてその場から逃げ出した。

徴税隊が逃げ出したのを確認したキリトとサチは武装を解除した。

その後落ち着いた一同は、教会に戻って行った。 
 

 
後書き
今回はここまで。次回作は、早ければ週の頭か半ば辺りに公開の予定で行きます。 
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