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歌集「春雪花」

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 世を忍び

  想いぞ隠し

    歩めども

 君に会いたき

      心隠せじ



 ずっと自分を隠し偽りつつ遣り過ごして来た人生…。

 しかし…彼を想うと、会いたくて仕方無い…。
 彼の名前を聞けば心が騒ぎ、似たような背格好をしている人物を見てもまた然り…。

 全てを明かしてでも、この心を解き放ってしまいたくなる…。



 涼風の

  吹くや文月

    朝焼けの

 想い廻らす

     鳥の囀ずり



 暑い日が続いているが、今日は朝焼けの頃になって涼しい風が吹き始めた。

 日が射し始める頃には、様々な鳥が囀ずる声が聞こえていた。
 いつかは旅立つ燕…その燕が活発に飛びながら囀ずる姿は、立ち去った彼を彷彿とさせた…。

 忘れられない想いを残し、燕は今年も旅立つのだ…。来年に再び来ると言う約束も無しに…。



 
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