保留荘の吸血鬼
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吸血鬼、殺人鬼と戦う
[ガチャリッ]
ドアを開けると
叫び声の主と思われる女と
ミイラ化した山田の身体があった
が、先ほどよりも顔色が良くなっている
回復しているのだろうか
だがそんなこと…
いや、ここは天界だ、きっとそんなこともあるに違いない
そう決めつけ、女へと近寄る
「…?誰?山田君をこんな風にしたのも…あなた?」
若干警戒した様子で女は話す
彼女の側へ近づき、声をかける
「少しばかり問題があってな…
それにしても、中々可愛いやつじゃあないか…
どうだ、このDIOと…友達にならないか…」
生前、スタンド使い達を勧誘していた時のような口調で
話しかける
「え?いや、問題ってな…」
「そこは気にするところじゃあない
ただ、彼は私とソリが合わなかったのだ
少しの会話だったが
それはわかった…
とにかく、そんなことはどうでもいい
どうだ?このDIOに仕えてみないか?
幸福をもたらしてやろう…」
彼女の肩に手をかける
が、その直後に
手を何かが切り裂いた
「…フン、ナイフか」
見ると、ピンク色の髪をした
女が立っている
「…誰だ?
このDIOに気付かれず、怪我を負わせるとは
なかなかやるな」
ナイフを拾い、手を確認する
傷は既にふさがり、ほとんど治っている
「誰だか知らないが…定世に近づくな…」
どうやら、女というのは間違いらしい
女装しているだけで、本当は男のようだ
彼がナイフを続けざまに2、3本投げてくる
が、全てをキャッチするのを見て
表情は驚きに包まれた
「そういえば生前に…この体を手に入れる前に
こんな感じで人を切り裂いていた男を手下に迎えていたことがあったな…
確か名前は…ジャック・ザ・リッパー…だったか」
その名を聞いた瞬間、
男の顔は恐ろしい形相になり、
こちらに向かってきた
「なぜその名を…
そもそもお前など知らん!」
ナイフの斬り付けを全てかわし、
腹に一発蹴りを入れる
体が吹っ飛び、廊下の端の壁にぶつかった
「何だ?お前は自分が
切り裂きジャックだと言いたいのか?
笑わせるな
あいつは殺人を楽しむという腐った性格をしていた
誰かのために戦うような立派な男ではない
それに…女装なんて趣味もなかった」
ジャック…と思い込んでいる?男が
ナイフを何本も投げて来る
丁度いい、先ほど閻魔にできなかった事をここでしよう
飛んでくるナイフをキャッチし…
「ザ・ワールド!止まれ!時よ!」
時が停止したと同時に彼の体を掴み、
廊下から投げ出す
その際に彼から残りのナイフを奪い、
先ほどキャッチしたのも含めて
全てを体の周りに配置した
「"詰み"だ」
時が動き出すと同時に
全身にナイフが刺さる
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!
そんな…なんで…見えなかった…」
このDIOに逆らった罰だ
そう思いながら
落下していく彼を見ていた
すると突然、頭に大きな衝撃が走った…
薄れゆく意識の中で最後に見えたのは
にっこりとした不気味な表情を浮かべた
定世の顔であった…
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