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戦国異伝

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第二百十六話 慶次と闇その十二

「わしの茶好きが」
「前から思っていましたが」
「あれはあちら側のものです」
「茶器を集めることも」
「それも」
「我等は闇です」
 それ故にというのだ。
「闇ですから」
「茶はです」
「馴染まないと思いますが」
「ははは、遊びじゃ」
 それだとだ、松永は真剣に咎める彼等に返した。
「茶はな」
「だといいですが」
「遊びならば」
「それならばばです」
「茶にしても」
「そうじゃ、まあ遊びといっても」
 それでもだとも言う松永だった。
「好きじゃがな」
「好きといいましても」
「我等は闇の者です」
「闇の者ならば」
「茶もです」
「表のことなので」
「そうするしかないか。まあ兵は起こす」
 松永はまたこのことについて言った。
「そういうことでな」
「では」
「その時はです」
「お任せ下さい」
「我等は殿の手足をなります」
「一族の者として」
「頼むと言っておく」
 何処か空虚な松永の返事だった、そしてだった。
 彼は家臣達を下がらせた。そのうえで一人言うのだった。
「茶も好きで楽しんでいきたいが。そうもいかぬか」
 こう残念そうに言ってだった、彼は茶室に向かった。そこで己が愛でている平蜘蛛をはじめとした茶器を使うのだった。


第二百十六話   完


                         2015・2・6 
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