FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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告白
さっきまで俺たちはバカ騒ぎしていたのだが、今は少し落ち着いている。エルザさんの治療はやはり無謀だったらしいので今はウェンディが頑張って治療しています。
「ねぇ、シリル」
「なんですか?ルーシィさん」
俺は少し疲れたため離れたところで休んでいたのだが、ルーシィさんが突然話しかけてくる。
「髪なんだけど、そのままじゃだめじゃない?」
「あ!」
言われてみて思い出したけど、最初のカミューニさんとの戦いで髪の毛切っちゃったんだった。おかげで長さはバラバラの不揃いな髪型になっている。
「私の星霊でさ、髪の毛を伸ばせる星霊がいるけど・・・どうする?」
ルーシィさんの星霊でって言うと、キャンサーさんだっけ?確かに髪型を元に戻してもらうのもいいけど・・・
「いや、どうせなら髪型変えてもらっていいですか?」
「ならどんな髪型にする?」
「う~ん・・・」
どんな髪型って言われても、俺、そんなに髪型詳しくないからなぁ・・・そうだ!!
「ショートで!!ショートカットでお願いします!!」
とりあえずこう言っておけば間違いないはず!!
「ショートって言っても色々あるんだけど・・・まぁいいわ。キャンサーにお任せってことね?」
「そんな感じで」
ルーシィさんはキャンサーさんを召喚すると、俺は髪を切ってもらった。
しばらくして・・・
「こんな感じでいかがでしょうエビ」
どうやら切り終わったみたいだけど、鏡とかないからよくわかんないな。
「あれってシリルのイメージしてた奴と多分違うんじゃない?」コソッ
「だってシリルが詳しく指定しなかったんだもん・・・」コソッ
何やらレビィさんとルーシィさんが話してるけど・・・どうしたんだ?
「こんな感じになりましたエビ」
キャンサーさんが俺に手鏡を手渡してくる。それに写るのは以前よりも少し髪が短くなり、肩にかかるかかからないかの所までに短くなった髪型の俺がいた。
「あれじゃあ女の子っぽいような・・・」コソッ
「でも似合ってるのよね・・・」コソッ
少し短くなったからちょっとはかっこよく見えるかな?あとでウェンディにも聞いてみよっと。
「こんな感じでいいです。ありがとうございました!!」
「気に入ってもらえてよかったエビ」
キャンサーさんはそういって星霊界に帰っていく。今回は色々あったし、ウェンディに伝えたいこともあるし、そういう意味で髪型を変えてみるってのもありだと思うな。
「シリル!!」
俺が一人で色々考えていると、ウェンディがこちらに駆け寄ってくる。ちょうどいいや。似合ってるか聞いてみよっと。
「あれ?シリル髪型変えたんだ!!」
俺が聞く前にウェンディが気づいてくれた。なんか少しだけ嬉しいなぁ。
「うん!!どうかな?」
「すごく似合ってると思うよ!!」
ウェンディが笑顔でそう言う。よかった、変だって言われたらもう一回切ってもらおうと思ってたから。
「そういえば、マスターから何か重大な発表があるからみんな集合してだって」
「重大な発表?」
俺は何のことだか分からなかったが、マスターが集合だっていってるし、ウェンディと一緒に集合場所へと戻っていった。
「皆の者、心して聞け」
さっきまで騒いでいた俺たちは今はマスターの話を聞くために静かになっている。
「今から重大発表をする」
マスターの言葉で少しざわめき出す皆さん。重大発表って?
「天狼島からギルドに戻ったその日より・・・」
俺たちはマスターの話に耳を傾け、次に続く文章へと集中する。
「女子のみ制服を設定する!!ナース服かスク水限定じゃ!!ヤッホー!!」
「何の話かしら!?」
マスターの発表にルーシィさんが突っ込む。マスターなんでそんなマニアックな制服を選んだ?
「なるほど。それは楽しみだな」
「乗らない!!ここ怒るとこ!!」
なぜかエルザさんは乗り気だった。さっきもナース服着てたし、なんかエルザさんってやっぱりずれてる・・・
「マスター・・・ここは真面目に・・・」
「すみましぇ~ん!!ちょっと乗りで!!」
そんなマスターをミラさんが睨む。なんかすごい顔になってましたよミラさん!!あれが魔人の真の姿と言うわけか!!
怒られたマスターは渋々本当の重大発表を気を取り直して行った。
その頃、天狼島からメルディとウルティアは・・・第三者side
「メルディ、元気ないわね」
「・・・・・」
二人は小さな船の上に乗っていた。
「すぐには難しいかもしれないけど、忘れましょう。悪魔の心臓も、ゼレフのことも」
ウルティアの言葉に、メルディは座ったまま答えない。そんな二人のすぐ近くを数匹のイルカが泳いでいた。
「見て・・・イルカよ」
「ねぇウルティア」
ここでようやく、メルディは口を開く。
「私とお兄ちゃんの街を襲ったの・・・ウルティアって本当?」
ウルティアは少し顔をうつむかせる。
「私の家族も友達も全部、ウルティアが・・・」
「・・・そうよ」
「!!」
肯定したウルティアの声を聞き、メルディは青ざめる。
「いつか、きちんと話さなきゃも思ってたんだけど・・・
私はこの人生を“一周目”と考えていたの。それは、大魔法世界に行って時のアーク
完成させれば“二周目”が始まるからよ。
私はこの一周目をやり直しのきく人生だと信じてきた。だからどんなに残酷なことも、人の道に外れたこともできた・・・
二周目こそが私の本当の人生!あなたの本当の人生・・・幸せな私たち・・・
全ては・・・そのためだった」
メルディはその場に立ち上がる。それにより、船が左右に揺れる。メルディの手は、強く握りしめられていた。
「わかってる・・・それは全部私の“つもり”。他の人から見たら、私は鬼。罪を重ね、幸せな人生を妄想するバカ女」
「っ!!」
メルディは奥歯を噛みしめ、ウルティアの話を聞く。
「許して・・・なんて言えないけど・・・ごめんなさい・・・と言わせて」
メルディの手にさらに力が入り、震え始める。
「そうよね、殺したいほど憎いわよね・・・でもね・・・」
ウルティアは剣を出すと、それで自らの体を貫く。
「これ以上、あなたのきれいな手を汚す必要はない。私はもう・・・消える・・・から・・・」
ウルティアはその場に立ち上がり、海へと体を傾かせる。
「ウルティア!!」
「あなたは幸せを見つけるの・・・カミューニと一緒にね・・・大好きよ、メルディ・・・」
ウルティアは涙をこぼしながら、海へと飛び込んだ。
「ウルティアーー!!」
残されたメルディは、ウルティアの名前を叫んだ。
(海・・・母の中・・・悪くない・・・最期・・・ね・・・)
薄れつつ意識の中、ウルティアは母、ウルがガルナ島で溶けて流れた海の中で死ねることを、幸せに思っていた。だが、それをメルディが水面へと引っ張りあげる。
「ぷはぁっ!!」
息が乱れているメルディ、ウルティアは意識を失いつつあったが、水面に上がり、外気に体が触れたことで意識を取り戻した。
「メルディ・・・」
「生き・・・ようよ・・・」
メルディは泣き震えながらそう言う。ウルティアは自分の右手に、あるものを見つける。
(感覚リンク!?)
メルディの魔法、感覚リンク。これにより、メルディはウルティアの痛みを感じ取っていたのだ。
「ウルティアの悲しみも・・・悔しさも・・・私・・・全部わかる・・・」
ウルティアはメルディをただ呆然と見ている。
「ウルティアは私を育ててくれた・・・それは変わらない・・・許す!!許すから!!もう二度とあんなこと言わないから!!お願いだから一緒にいて!!大好きなの!!一緒に生きて!!」
ウルティアはメルディの言葉に感涙し、二人は海の中で抱き合った。
「大丈夫?」
「「!?」」
そんな二人に、一人の男が手を伸ばす。
「カミューニ・・・」
「お兄ちゃん・・・」
その男はシリルと激闘を演じ、シリルに大いなる力を与えた男、カミューニだった。
「ウルティア・・・メルディのために一緒にいてくれよ。俺なんかより、ずっと仲がいいんだからよ」
「・・・そうね」
カミューニは自分が作った小さな船に、メルディとウルティアを引き上げる。
「ありがとう・・・お兄ちゃん・・・」
メルディはカミューニににっこり微笑む。カミューニはそれを見て、なぜか目に涙を浮かべている。
「お兄ちゃん?」
「なんでもねぇよ・・・」
カミューニは目を擦り、涙を拭う。
(久々に見たな・・・メルディの笑った顔・・・俺がずっと、求めていたもの・・・)
メルディは悪魔の心臓に入ってから、笑う回数が極端に少なく、いや感情を表情に出す回数が減っていた。カミューニはメルディのそれを取り戻すため、ハデスを打ち破ろうとしていたのだった。だが、それももう必要ない。メルディは笑うことも、涙を流すこともできるのだから・・・
(なんやかんやで・・・あいつらと戦えたことが、今回の結果をもたらしたのかもしれない・・・)
カミューニは天狼島を見て、軽く頭を下げる。
「ありがとう・・・妖精の尻尾・・・」
カミューニたちはそのまま、天狼島から離れていった。
シリルside
「「「「なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」」」」
ナツさん、グレイさん、ガジルさん、エルフマンさんは大声で叫んだ。
「だ・か・ら!!今回はS級魔導士昇格試験は中止とする!!」
マスターは再度ナツさんたちにそう言う。しかし、ナツさんたちはどうやら納得いかないようだ。
「納得いかねぇぞじーさん!!」
「なんで中止なんだよぉ!!」
「俺をS級にしやがれ!!」
「候補者はおめぇじゃなくて!!レビィの方だけどな!!」
そういえばガジルさんはレビィさんのパートナーなんだっけ?なんかもう誰が誰のパートナーかわかんなくなっちゃったよ。
「仕方なかろう、色々あったんじゃから」
「候補者の中に評議院が紛れ込んでたり、悪魔の心臓に邪魔されたり」
「今回は仕方ないかなぁ」
「おめぇ!!それでいいのかよちくしょー!!」
「お前がそんなに暑くなることもなかろう」
マスターとミラさんの説明でレビィさんは納得したのだが、なぜかガジルさんはいまだにS級を諦められないみたいだ。てかあなた候補者じゃないですからね?
「だぁー!!S級になりたかったー!!」
グレイさんは頭を抱えながら叫び、
「大丈夫!!グレイ様なら次こそきっと!!」
ジュビアさんはそんなグレイさんを励まし、
「はぁ・・・漢は引き際も肝心か」
エルフマンさんはため息を吐きながらも諦めたようだ。
「シリルはいいの?S級」
ウェンディが俺に質問する。俺も別にいいかなぁ?それ以上にやるべきことが見つかったし。
「俺もいいや。それはまた次の機会に目指すよ」
「そっか」
ウェンディは俺の意見を聞いて笑みを見せる。とりあえず、あとでこっそりあれはやるとするか。
「俺は諦めねぇぞ!!絶対S級になるんだ!!グレイもエルフマンもレビィもシリルも諦めるんだな?だったら俺がS級になる!!S級になるんだー!!」
候補者が次々に納得する中、ナツさんだけはいまだに駄々をこねて暴れている。子供か!!
「落ち着こうよナツ」
「ふぅー・・・しょうがないのぅ」
そんなナツさんを見てマスターはため息をつく。
「特別じゃ!!今から最終試験を始めよう!!ワシに勝てたらナツをS級にしてやろう」
マスターは手をヒラヒラとし、かかってこいといった感じに動かす。
「本当かじっちゃん!?おっしゃー!!燃えてきたー!!」
ナツさんはやる気満々だけど、なんか結果が目に見えてるような・・・
「いくぞぉ!!」
ナツさんはマスターに飛びかかったが、
ゴンッ
巨大化した右手に殴られ、一瞬で潰されました・・・
「・・・参りました・・・」
あまりの瞬殺劇に、俺たちは驚くしかできなかった・・・
「あにふんの?」
「いや・・・本物なのかな?って思って」
「本物よ!!失礼ね!!」
ラクサスさんは今、リサーナさんのほっぺを引っ張ったり、頭を叩いたりしているのだが・・・あんな方法で見分けられるわけねぇだろ!!と、思ってるのは俺だけじゃないはず・・・
「あんまりいじめたらかわいそうよ」
「あの洞察力・・・さすがはラクサス・・・見習わねば」
「そ・・・そうか?」
『『『『『そうか?そうか?』』』』』
それを見て雷神衆の皆さんもそれぞれそんなことをいっている。以前までビッグスローさんの方が変な人のような気がしてたけど、今ではフリードさんの方が間違いなく残念な人になってしまってる気がする・・・フリードさんってラクサスさんが絡むとおかしくなるのかな?
「ちょっと挨拶するの怖くなってきたね、シャルル、セシリー」
「え!?何に怯えてんのあんた」
「さすがにいきなりあれはないんじゃないかな~?」
その様子を影から見ていたウェンディは震えていました。ラクサスさんに挨拶しようとしたのだが、リサーナさんとの絡みを見て怖じ気づいてしまっている。
「色々噂は聞いているだろうが、根は悪い奴じゃないんだ」
「エルザさん!!」
そんなウェンディにエルザさんが声をかける。
「実際ラクサスさんはいい人だと思うよ?俺も助けてもらったし」
「そうなの?」
「うん!」
俺もウェンディにそう説明する。グレイさんとはぐれた俺に真っ先に声をかけてくれたもんな。
「ただ少し、不器用なだけなんだ」
ウェンディはラクサスさんを見つめる。ラクサスさんはリサーナさんと今も何やらやっているのだが、その顔は優しさに満ち溢れてる気がする。
「はい!!私、挨拶に行ってきます!!」
「俺もついていこっと」
ウェンディと俺はラクサスさんの元へと歩いていった。
しばらくして・・・
「緊張したね~」
「俺は前にも少しだけ話したからそんなでもないけど・・・」
「フリードくん、ラクサスくんの武勇を語るのすごかったね~」
「まぁ、悪い奴ではなさそうね」
俺たちはラクサスさんへの挨拶を終えたのだが、雷神衆、特にフリードさんがラクサスさんの武勇を語るのが長かった長かった。ラクサスさんに挨拶しに行ったのに、ラクサスさんより雷神衆の方がしゃべってたんじゃないかな?ってレベルだったぞ。
「じゃあ、私たちもキャンプに戻ろっか?」
「だね~」
「そうしましょう」
ウェンディたちは挨拶を終えてひと安心したからか、簡易ベースへと戻ろうとする。だけど、その前に俺はやることがあるんだ。
「ウェンディ!ちょっと待って」
「?」
俺に呼ばれてウェンディたちは足を止める。
「セシリーとシャルルは先に戻ってて。後からすぐに戻るから」
「?わかった~」
「なんだかわからないけど・・・わかったわ」
セシリーとシャルルはトコトコと走って行く。残されたのは、俺とウェンディだけ・・・
「どうしたの?シリル」
ウェンディは俺に顔を近づける。いざ言うとなると、少しドキドキするな。
「ふぅー・・・」
俺は深呼吸をし、一度心を落ち着ける。よし、もう大丈夫だ。
「ウェンディ!!」
「な・・・何?」
突然大きな声を出したからウェンディは驚いてしまった。いつも通り、いつも通りに・・・
「カミューニさんと最初戦って海に落ちた時、俺が言ったこと覚えてる?」
「海に・・・あ!!」
俺が何を言ったのか思い出したウェンディは少し頬染める。やっぱり聞こえてたか。
「あれさぁ、忘れてくれない?」
「えぇ!?」
いきなりの俺の言葉にウェンディは一瞬で驚きの表情へと変化する。
「な、なんで!?」
「落ち着け!!ウェンディ!!」
「これが落ち着いていられないよ!!なんでそんな・・・」
俺は興奮するウェンディをそっと引き寄せ、抱き締める。
「シリル?」
「あの時はもうダメだと思ってあんな勢いで言っちゃったんだ。だけど、俺はあんなので想いを伝えたんだとしたら、一生後悔する。だから、わがままだけどもう一度だけ言わせて」
俺はウェンディを離し、正面からウェンディに言う。
「ウェンディ・・・
俺はお前が好きだ」
やっと言えた・・・今まで勇気がなくて言えなかったけど、ついに言えた・・・俺はウェンディの顔をしっかりと見ると、その顔は真っ赤になっていた。まるで、熟したリンゴみたいに。
「ウェンディ?」
「私も・・・私もシリルが好き!!」
ウェンディは耳まで真っ赤にして俺に答えを返してくれる。俺はそれを聞いて、嬉しくて笑ってしまう。
失敗したらとか、この仲がよかった関係が崩れたりとか、俺はそう言うのが怖かった。エドシリルに早めに伝えろと言われても、怖くて勇気を出せなかった。
だけど・・・今回の一件で、あわや死にかけたことがあったから、俺は想いを伝える決心がついたんだ・・・
「こんな情けない俺だけど、必ずウェンディを幸せにするからさ・・・
俺と・・・つ・・・付き合って・・・ください/////」
やべぇ、緊張しすぎて噛んじゃった・・・俺は自分でもわかるくらい顔が熱くなっているのを感じながら、ウェンディに手を差し出す。ウェンディは俺の差し出された手を両手で握り返してくれる。
「私こそ、いつもシリルに助けてもらってばかりだけど・・・
これから・・・よろしくお願いします/////」
俺とウェンディは互いの顔を見つめ、微笑み合う。
そして俺たちは手を繋ぎ、皆さんの待つ簡易ベースへと帰っていった。
後書き
いかがだったでしょうか。
ついに・・・ついにシリルとウェンディがくっつきました!!
なんだが納得できない点もあるでしょうが、これが私の精一杯の恋愛小説なんです・・・万が一期待していた方がおりましたら大変恐縮です・・・
エドシリルの後押しやカミューニとの死闘からの奇跡の生還でようやく勇気を出して告白するというのは割りとベターなのではないかと想い、ここで告白をする展開にしました。
ちなみに、現在のシリルの髪型ははがないの夜空のショートヘアバージョンみたいな感じです。
いよいよ天狼島編も残り1話です、
次回もよろしくお願いします。
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