レインボークラウン
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第二百四十一話
第二百四十一話 小田切君とガラス
小田切君は研究所の中で博士が愛用しているガラスのグラスを見てだ、少し唸ってからタロとライゾウに述べた。
「相変わらずこうした趣味はいいんだよね」
「そのガラスがどうしたんだよ」
「普通のグラスじゃないの?」
「いや、普通じゃないんだ」
今見ているそのグラスはというのだ。
「これはボヘミアングラスっていってね」
「?ボヘミア?」
「何、それ」
「うん、チェコで造られているグラスでね」
小田切君は二匹にこのことも話した。
「最高級のグラスなんだ」
「ああ、高いんだ」
「そうしたグラスなんだね」
「そうなんだ、博士って確かにとんでもない人だけれど」
それも規格外にだ。
「それでもね」
「そうしたものを選ぶ目はいい」
「そう言いたいんだね」
「うん、センスいいよ」
少なくとも小田切君はこう思うことだ。
「本当にね」
「そういえば博士って身の回りのものはな」
「自分で熱心に選ぶよね」
「ティーカップにしてもな」
「かなり熱心にね」
「うん、スーツとか家具もだけれど」
とかくいいものを選ぶ人なのだ、天本博士は。
「ワインを飲むグラスもね」
「お金もあるしな」
「博士ってお金には困らないからね」
錬金術で金銀宝石なぞ幾らでも出せるからだ、博士にとって富とは何の価値もないものなのだ。だから金にも困っていないのだ。
「だからだね」
「グラスを買うお金もあるから」
「後は選ぶだけだから」
金銭の問題をクリアーしているからだ。
「その目があるなら」
「ここにもいいものがあるんだね」
「うん、このカップは」
小田切君はティーカップも見た、そのカップはというと。
「ゴイセンだよ」
「それも高いんだな」
「いいものなんだね」
「そうだよ、いや他の家具も」
ざっとだ、小田切君は部屋の中を見回したがどの家具もだった。
「いいものばかりだよ」
「博士はそうしたものを観る目はある」
「そういうことだね」
二匹もそのことはわかった、実は博士はそうしたものを見る目もあるのだ。小田切君はこのことも知ったのである。
第二百四十一話 完
2015・6・3
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