戦国異伝
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第二百十五話 母子の和その十三
「伊達家の屋敷もこの安土に置く」
「では」
「東の方はそこに入られよ」
こう言うのだった。
「他の家と同じくな」
「それでは」
「常に顔を合わせてもな」
これまでの政宗と東の方のことを考えると、というのだ。このことはあえて言葉の中に入れてのことであった。
「だからじゃ」
「それでは」
「ここは」
「後には一年ごとに参勤交代とする」
これは天下が定まってからのことだ。
「しかし暫くは梵天は仙台で政に励みな」
「時々ですな」
「安土に戻った時にじゃ」
「母上の茶を」
「飲むがいい」
こう言うのだった。
「それでいいな」
「さすれば」
政宗も信長の言葉に頷いた、そして東の方もだった。
信長の言葉に頷く、こうしてだった。
信長は伊達家の騒動も無事に終わらせた、そうしてそれからも政に励んだ。天下は日に日に定まっていた。
だが、だ。まだであった。
「九州に攻めることはな」
「その時はですか」
「まだですか」
「うむ、今の領国を無事に治めてな」
そしてというのだ。
「それからな」
「天下の仕組みも整え」
「それからですか」
「磐石のものとしてから」
「あらためて」
「まずは九州じゃな」
信長が見ているのはこの地だった。
「あの地を平定してじゃ」
「そしてそのうえで」
「次は奥羽の残りですか」
「そこも収め」
「そのうえで」
「天下を万全のものとする」
これが信長の考えだった。
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