オラリオは今日も平和です
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僕の日記
前書き
初めまして、かずもんです。
この小説はハーメルン様にも投稿しています
△月〇日 僕の心は大雨
今日も沢山の冒険者がギルドを訪れ、様々な手続きをしていった。
はっきり言って、この日記を書くのもつらいほど疲れている。ギルドに所属している職員の一日の平均労働時間は早朝から深夜まで…………ではなく、大体六時間程だろう。
それなのにどうして僕はこんなに疲れなきゃいけないんだ。………………いや、原因は分かっている。僕の表情の乏しさによる、労働時間の倍加が原因だ。
何故かは知らないが、僕の表情筋はまったくと言っていいほど機能していない。いや、しているにはしているのだが、いつもいつもニコニコしていて、苦しさや悲しさなどのマイナスの表現をまったくできないのだ。
内心では悲しいのに、顔はニコニコ。内心ではつらいのに、顔はニコニコ。
いい加減にしろよ僕の顔!!お前が働かないせいで、労働時間を増やされるし、僕より四つ年下のエイナちゃんにも、何かと仕事を頼まれたり、買い物に付き合わされるし…………あの子可愛いから、断れないんだよ!調子に乗って、「これってデート?」って聞いた瞬間、顔を真っ赤にして怒ってくるし…………僕のライフはもう0よ。
やっぱりエルフの女性は麗しいというのは、間違いではないのだろう。しかし、それ以上に怒らせると怖い。凄く怖い。以前、ギルドを訪れたアイズちゃんと世間話をしていたら、背後にドス黒いオーラを携えた鬼が降臨された。同じエルフである【ロキ・ファミリア】の副団長を務めるリヴェリアさんに尋ねても「お前が悪い」の一点張りだし。
パトラッシュ、僕もう疲れたよ……
△月■日 それとなく大雨
【ロキ・ファミリア】が遠征に出た。
フィンさん曰く、今度こそ未到達領域へ行ってみせるとのこと。僕も「是非頑張ってください」と応援したところ、ティオナちゃんが背中に担いでいる”大双刃”を自慢げに見せてきた。どうやら【ゴブニュ・ファミリア】お手製の物のようだ。
うん、かっこいいけど、ギルドの中で振り回すのは止めてね。
あと『凶狼』の二つ名を持つベート君に、親の敵を見るような目で見られた。Lv.5の殺気とか洒落にならん…………のに、僕の顔は相変わらずニコニコ。てめマジでいい加減にしろよ!殺気が膨れ上がったぞ!?
なんで僕はギルドの役員なんてやってるんだろ……
△月!日 ギルドの中のみ大雨
”怪物祭”が近いということで、それに伴う書類が多く入ってくる。
当然、業務が通常よりも遥かに多くなるので、ギルドの職員は皆大忙しである。僕自身の意見を言わせてもらうのであれば、”怪物祭”というのはあまり賛成できるものではない。
仕事が増えることも嫌なのだが、ダンジョンに生成されるモンスターを地上に連れて来るなど、何かあったらどうするつもりなのだと、【ガネーシャ・ファミリア】に小一時間ほど問い詰めたいところだが、生憎僕が生まれるよりも前からある恒行事なので、一職員がどうこう言ったところで、変わるものではない。
エイナちゃんにも、そこまで心配しなくてもいいんじゃないかと言われたが、不安がなくなることはない。と言うよりも、常に最悪を想定して動くべきだと僕は思う。もしもモンスターが逃げ出したら、もしもモンスターの運送中にトラブルが起こり、上層に中層のモンスターが逃げ出したり、など考えれば考えるほど、最悪は出てくる。
このことを遠征前のフィンさんに言ってみたのだが、「君がモンスターを倒せばいいじゃないか。それぐらい朝飯前だろ?」などと、意味不明なことを言ってきた。
僕は別に冒険者をやっていたというわけでもなければ、何か格闘術を学んでいたわけでもない。ただの一般市民なんですよ?ゴブリンを見ても脚が震えると思いますよ?見たこと無いけど。
エイナちゃんが就職してきた頃に、一度暴れている冒険者の鎮圧を任されたが、攻撃を避けるのに精一杯で、落ち着くために素数も数えていたが、当然取り押さえることは出来ず、そんな僕に呆れたのか、冒険者はギルドから出て行った。て言うか僕、最後のほうは怖くて目を閉じてたんだよなぁ。
エイナちゃんに「なんで攻撃しなかったんですか?」って聞かれたけど、出来るわけないじゃないか。相手は冒険者だよ?僕は一般市民だよ?
あとフィンさん。”怪物祭”は昼時なので、朝飯前ではないです
□月〇日 晴れてるけど大雨
ひさしぶりに日記を書く。
此処のところ、書類が多すぎて日記を書く体力も残ってなかった。
そう言えば、エイナちゃんの担当冒険者君が、全身真っ赤に染めてギルドに入ってきたときは驚いた。エイナちゃんもなんか可愛らしい悲鳴を上げてたし。
どうやら上層でアイズちゃんたちと会ったらしい。【ロキ・ファミリア】も無事のようで何よりだ。
その後いろいろあったけど、冒険者…………確かベル君という子に大好きと言われて、顔を真っ赤に染めていたエイナちゃんを、微笑ましいなぁなどと思いながら、業務を再開した。
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