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ドリトル先生と森の狼達

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第二幕その六

「あの山の中に入って」
「そうだよ、調査をするんだよ」
「動物達を」
「そうするんだ、ただね」
「ただ?」
「日本の山は木々の下も草が多くて足場も悪いから」
 先生は王子、そしてトミーにこのことを言いました。
「気をつけてね」
「足場がだね」
「悪いんですね、ここも」
「そう、まあ僕はそれでも服はね」
 先生のその服装はといいますと。
「いつも通りだけれど」
「スーツに皮靴」
「それなんですね」
「それが僕だからね」
 先生はどんな旅行の時もフィールドワークの時もスーツと皮靴、それにネクタイです。そして帽子も忘れていません。
「こうした服装で出ないと何か駄目なんだ」
「それは昔からだよね」 
 王子は先生との長いお付き合いを思い出して答えました。
「先生は」
「王子と最初にアフリカに行った時もね」
「うん、先生スーツだったね」
「イギリスではね、その辺り厳しくて」
「それで日本に来てもだよね」
「このことはどうしてもね」
 日本に来て結構経った今でもというのです。
「外せないんだ」
「服装のことはね」
「家にいる時は違うけれど」
「うん、甚平さん着たりしてね」
「浴衣とかもね」
 お家とかの中ではラフにもなっているのです。
「そうなっているけれど」
「それでも外ではね」
「スーツだよ」 
 このことは絶対なのです。
「それは外せないね」
「どうしてもだよね」
「僕はね」
「それで服も靴も汚れないんだよね」 
 例えです、先生がどれだけ運動神経が鈍くてどん臭い人でもです。先生のスーツや皮靴それに帽子はなのです。
「いつも」
「有り難いことにね」
「それは先生にとって幸せなことだね」
「僕もそう思うよ」
「ただ、最近先生のスーツも」 
 トミーが言うことはといいますと。
「結構クリーニングに出していますから」
「持っている数も増えたしね」
「はい、清潔になっていますよ」
 以前よりもというのです。
「そうなっていますよ」
「ううん、日本に来てからだね」
「そうです、やっぱり教授になって収入も増えましたし」
「服の方もよくなってきたね」
「衣食住全てがですね」
 日本に来てからの先生はというのです。
「イギリスにいた時とは全く違いますよ」
「何か僕も変わったね」
「はい、ただ先生そうしたことは」
「あまりね」
 先生ご自身はというのです。
「意識していないね」
「そうですよね」
「どうも僕は世の中のことは」
 疎いとです、自分でも言うのでした。
「まだまだだね」
「その辺りは僕達とトミーでね」
「何でもやってるうからね」
「イギリスにいた時と同じで」
「そこはね」
「どうしてもだよね」
 一緒にお風呂に入っている動物の皆も先生に周りから言います。 
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