異世界系暗殺者
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玉璽の時間・1時間目(2016/05/16 一部加筆修正)
前書き
今回はE組から生まれる王の話です。
これにより夏期講習合宿での戦力強化につながります。
あと、今回も最後にアンケートがございます。ご協力頂けると幸いです。
【視点:樹】
夏休み10日目。夏休みに入ってからというもの、クラスの奴らのA・T技術が凄い勢いで上がっている。恐らく、日常的にA・Tを履き、全員が自主練を毎日の様にやっているんだろう。
夏休み2日目からA・T訓練のある度にクラス全員の戦LVをリードでチェックしているが、才能のある奴はたった1日で10も戦LVが上がっている。
しかし、その急激なLVアップがある問題を発生させていた。有希子以外の高LV暴風族のA・Tは俺が直々に調律をしているとはいえ、ノーマルA・Tであることには変わりがない。
つまり、高LV暴風族の技術にA・T自身が耐えられなくなりつつあるという問題が発生してしまったんだ。この問題を解決する方法はただ1つ。
高LV暴風族に有希子と同じく正規実用型疑似玉璽を与える。これしかない。そんな訳で俺―――というか俺と律は6日前の晩から正規実用型疑似玉璽の開発に着手した訳だ。
というか、6日前の時点ではカルマの分だけ作る予定だったんだが、5日前の朝から高LV暴風族組の問題が発覚したことで、不眠不休の作業を強いられることが確定した。
まぁ、不眠不休の原因は自業自得なんだけどな。律が開発助手を務めてくれるからといって、正規実用型疑似玉璽を必要な分だけでなく、ストックとして全種類を大量に開発するとか調子に乗ってたとしか思えない。
あっ!ちなみに今まで描写が一切なかった雷、石、契の試作型疑似玉璽及び試験型玉璽は一学期中――二度目のポチ&堀部襲来以降期末テスト前の間に開発し終えていたりする。
でなきゃ、正規実用型疑似玉璽なんて開発できないからな。で、今回は必要となった疑似玉璽パーツは風1つ、石2つ、牙1つ、棘1つの計5つだ。
ぶっちゃけ、正規実用型疑似玉璽全種類を大量に開発し、5つの疑似玉璽パーツの調律をたったの6日でやり終えたということもあって、今朝の俺はテンションが変になっていた。
で、今日は朝から1日かけてA・T訓練ということもあって、その変なテンションのままE組校舎のある山に向かった訳なんだが、クラスの全員が集まった所で玉璽と疑似玉璽の発表をしようとした瞬間、俺は意識を失った。
どうやら疲労限界を迎えた様だ。次に俺が目を覚ましたのはE組の全員が集まってから1時間後で、起きて早々に有希子から30分に渡り正座で説教された。
烏間先生の判断で、俺は今日の教官役から外されることになったが、やはり高LV暴風族組のA・Tに疑似玉璽を組み込む作業だけは、どうしても俺がやっておきたかったので、その点だけはどうにか許可を得た。
「まぁ、そんな訳で俺が寝てる間に律からある程度説明を受けてると思うけど、戦LVの成長率がどこの小烏丸ですか?と問いたくなる様な高LV暴風族組の為、疑似玉璽を作って来たから、今から名前呼ぶ奴は俺の所に来てくれ」
「「「「「「「「「「いやいや、ちょっと待て!!」」」」」」」」」」
「ん?何を待つんだ?」
「いや。本当にちょっと待ってくれ、イッキ。確かに俺達は律からお前の倒れた理由が調子に乗って疑似玉璽を大量開発したからと聞かされてたけど、疑似玉璽を俺達の誰かのA・Tに組み込むなんて話は、全く聞いてないぞ」
「え?マジで?」
「磯貝は嘘なんて言ってないぞ。ってか、俺らの中に所謂王クラスの暴風族がいることに驚きだ」
俺の質問に答えたのは陽斗だった。そうか。律の奴、誰の為に開発してきたか言ってないのか。
「高LV暴風族組のA・Tは通常パーツが技に耐えられなくなりつつあってな。玉璽か疑似玉璽にしなきゃA・Tがすぐに御釈迦になっちまうんだよ。
しかし、玉璽は理由があってまだ渡せない。だから、疑似玉璽を組み込むことにしたんだよ。この疑似玉璽は現時点での玉璽の性能を最大10%減で行使可能なパーツだからな。
そんな訳で高LV暴風族組を王と認め、今からA・Tに疑似玉璽パーツを組み込む。今から疑似玉璽を渡す王を発表するぞ。まずは悠馬!」
「お、俺!?」
「お前の戦LVは現時点で89。名実ともに王を名乗っていいLVだ。今日から風の王を名乗れ。あと、A・Tを貸せ。風の疑似玉璽を組み込むから」
「お、俺なんかが本当に貰っていいのか?」
「俺が駄目と判断していたら、最初から組み込まねぇ。ってか、そのままでいたらその内訓練中にA・Tが空中分解すんぞ。兎に角、さっさとA・Tを寄越せ!」
未だに戸惑っている悠馬に俺は足払いをしてから強制的にA・Tを脱がせ、持って来ていた風の正規実用型疑似玉璽を組み込んでから投げ返した。
「次は陽斗、お前だ」
「俺もか!?」
「お前の戦LV82。大体、戦LV80を超えた辺りから王を名乗る資格を得る。お前も王を名乗っていい。石と風を融合させた緋翠の道を走ってるから、今日から岩の王でも名乗れ。あと、A・T」
「お、おう」
俺が手を差し出すと、陽斗はあっさりとA・Tを差し出してきた。流石に悠馬の様に強制的に脱がされるのは嫌だったんだろう。
「……次は烏間先生、あなたです」
「俺もか?」
「ええ。あなたは陽斗と同じ――いや、正確には純粋な石系の道――大地の道を走れる才覚がある上、戦LVに至っては陽斗を凌駕する108です。
疑似玉璽を得る資格は十二分にあります。だから、あなたのA・Tにも陽斗と同じ石の疑似玉璽を組み込みます。石の王を名乗って下さい」
「貰えるというのなら、有難く貰っておこう」
烏間先生は陽斗の時と同じく、自分からA・Tを差し出してきた。こうやって自分から差し出してくれると、こっちとしても助かる。
この後、女子で戦LV98に達していた片岡に棘の正規実用型疑似玉璽を、男子で最強の戦LV120に達していたカルマに牙の正規実用型疑似玉璽を組み込み、この日の俺の仕事は終わってしまった。
ってか、夏休みに入って僅か10日で5人の王が生まれるとは思ってもみなかった。あっ、ちなみにこの時点での有希子の戦LVは136。一体どこのフレイヤ?と思ったのは秘密だったりする。
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