FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
天狼島編
ベストパートナー
前書き
今週のマガジンでウェンディが乗り物酔いしてました・・・ヤバい・・・
ウェンディは絶対に乗り物酔いしないと思ってた・・・理由は、天空魔法で無意識に自分の体のバランスを整えていて、乗り物酔いを防いでいるんだと思ってたからです・・・
だから天空魔法が若干使えるシリルも乗り物酔いしない予定でした・・・でも、ウェンディが乗り物酔いしたから・・・シリルも乗り物酔いさせないと・・・orz
妖精の尻尾にて・・・シリルside
「仕事仕事~!!」
「あいさー!!」
「ちょっと!?仕事ならあたしも・・・」
「悪ぃ!!この時期は一人で行くんだ!!」
「帰ってきたら遊んであげるね」
なんだか、最近ギルドが騒がしいなぁ・・・ナツさんもルーシィさんとチームを組んでるはずなのに、ハッピーと二人で行こうとするし。
すると、ナツさんがグレイさんとぶつかった。
「前向いて走れよこのドタバタツンツン頭!」
「てめぇこそ邪魔なんだよムッツリパンツ!」
また二人は今日もケンカを始めるんですね・・・毎日毎日飽きませんね・・・
「二人ともケンカしてる時間あるの?」
「「は!?そういえば!!」」
ハッピーに言われると、二人はそのまま何事もなかったかのように離れていく。あれ?
ケンカしないのかな?
「どうしたのかな?」
「なんか変だよね?」
ウェンディも疑問に思ったらしく、俺たちはしばらく様子を伺うことにした。すると・・・おかしいのは二人だけではない。
「仕事仕事ー!!僕はこれ行くから!」
「私はこの仕事ね!!」
「おい、てめぇ!その仕事は俺が先に・・・」
「知るかよ!取ったもん勝ちだ!!」
「「チームシャドウ・ギアはこの時期解散だ!!」」
皆さんカウンターの前で次々とミラさんにクエストを発注していく。
「なんか、皆さんすごいね」
「どうしたのかしらね」
「帰ってきたと思ったらすぐに仕事にいくもんね~」
「家賃でもやばいのかな?」
「あ!もうそんな時期なんだ!!」
リサーナさんが何か気づいたような反応をする。そんな時期?
「一体何のことですか?」
「直にわかるわよ」
「「「「?」」」」
俺たちはリサーナさんにはぶらかされてしまった。しかし・・・一体なんなんだろう?
「そんなことより・・・私、予知能力が使えるようになってきたの」
「「「「予知能力?」」」」
シャルルに言われて、俺とウェンディ、セシリーとリサーナさんは驚く。
「そ。女王がいってたでしょ?私には未来を予知する力があるって」
確かにそんなこと言ってたなぁ。でも親子ってことは気づかないのね。
「意識するようになってから、少しだけコントロールできるようになったの」
「すごいねシャルル!!」
「未来が見えるなんていいな~」
「便利そうだね」
ウェンディとセシリーと俺はシャルルの言ったことに感心する。未来が見えたら色々と楽そうだな。
「ねぇ、私将来誰のお嫁さんになるの?」
「そんなに先の未来を見るのは無理」
リサーナさんの質問にシャルルはあっさりと答える。ていうかリサーナさんもすごいこと聞くなぁ。
「じゃあさ~・・・いつぐらいの未来なら見えるの~?」
「そうね~・・・」
シャルルは辺りを見回す。さて、お手並み拝見といきますか。
「たとえばそこに、マカオがいるでしょ?もうすぐワカバが来て、“ギルドの若者について”会話が始まるわ」
俺たちはマカオさんに視線を集中させる。本当にそんなこと起きるのかな?
「よぉ、マカオ」
「おう」
マカオさんにワカバさんが近づいてくる。本当に来た!!
「今年もこの時期が来たね~」
「懐かしいもんだなぁ」
「俺らも若ぇ頃はなぁ・・・」
「燃えてた時もあったよなぁ・・・」
おお!!この流れはもしかして!
「今の若ぇもんすげぇよ実際。ケツとか」
「ケツかよ!!」
「あれ?お前チチは?」
え?なんか会話の内容が予想してたのと少し違うような・・・
「俺ぁ、ガキいんだぞ!若ぇ女のケツ見たってよぉ」
「足ならどうだ?」
「そ・・・そりゃあがぶりつきてぇ!!つか踏まれてぇ!!」
「「だはははは!!」
二人のとんでもなくおじさんのみたいな会話を聞いた俺たちは・・・
「すご~い!」
「本当に当たった!!」
「会話の内容はひどいもんですけどね」
「おじさんたちの会話だったね」
ウェンディとリサーナさんはシャルルの予言が当たったことに感心し、俺とセシリーはマカオさんたちの会話に呆れる。
「こんなの予知しても仕方ないけどね」
「でもすごいよシャルル」
「うん、うん!」
「それに・・・まだ完全にはコントロールできないの」
シャルルは少し残念そうな顔をする。
「でもさぁ、これが完全にコントロールできたらすごいよな!」
「だよね~!!」
俺とセシリーはそう言う。シャルルが未来をいつでも見れたら、作戦とかも立てやすいしな。仕事も簡単にできるぞ!!
その後も俺たちは色々とおしゃべりをしていた。だけど・・・さっきのナツさんたちはなんだったのかな?すげぇ気になる・・・
翌日・・・
俺たちは今ギルドに集まってるんだけど・・・なんだかとっても人が多いような・・・あんまり見たことない人もいるし。
「なんか人口密度高いね」
「マスターから何か重大発表があるんだって」
「重大発表ってなんだろうね~?」
「興味ないわ」
俺たちは周りを見ながらそんな話をしている。ナツさんがソワソワしてるけど・・・いや、昨日進んで仕事に行ってた人たちはみんなソワソワしてるなぁ・・・何か関係があるのかな?
しばらくすると、ステージ上に垂れ下がっていたカーテンが上がっていく。そして、見えてきたステージの上にいたのは、マスター、エルザさん、ミラさん、ギルダーツさんの四人。
「マスター!!」
「待ってましたー!!」
「早く発表してくれ!!」
「発表?何をキナ?」
それを見てギルドの皆さんはますます盛り上がる。発表って・・・なんだ?芸か?
マスターは小さく咳払いをし、ステージ下の俺たちを見る。
「妖精の尻尾、古くからのしきたりにより、これより、S級魔導士昇格試験、出場者を発表する!!」
「「「「「「「「「「オオオオオオオッ!!!」」」」」」」」」」
マスターの言葉を聞いて、ギルドの皆さんは歓声をあげる。S級魔導士って、確か二階にあるS級クエストってのをできるようになる資格のことだよな?今ギルドのS級魔導士はエルザさんとギルダーツさんとミラさんだけって聞いてるけど・・・あれ?ミラさんは元だっけ?
「S級魔導士昇格昇格!?」
「燃えてきたぞ」
ルーシィさんも驚き、ナツさんはメラメラと燃え上がっていた。おお!!なんか俺も楽しみになってきた!!
「皆!!静かにしろ!!」
「マスターの話の途中だろう」
エルザさんとギルダーツさんに注意され、ギルドは静かになる。あの二人の威圧感半端ないもんな。怒られたらビビりますね。
「今年の試験会場は天狼島!!我がギルドの聖地じゃ」
「「「「「「「「「「オオッ!!」」」」」」」」」」
我がギルドの聖地ってことは、妖精の尻尾が保有してる島ってことかな?なんかスッゲェ!!
「各々の力!心!!魂!!ワシはこの一年見極めてきた。参加者は9名!!」
9人か・・・誰が選ばれるのかな?
「ナツ・ドラグニル!!」
「おっしゃあ!!」
「やったねナツ!!」
まずはナツさんか。最初に呼ばれるっことは、ナツさんが本命なのかな?
「グレイ・フルバスター!!」
「やっとこの時が来た」
続いてグレイさんか。ナツさんとグレイさんって一緒のチームなのに、二人とも候補に上がるなんてすごすぎ!!
「ジュビア・ロクサー!!」
「え?ジュビアが?」
ジュビアさんは呼ばれると思ってなかったのかな?ビックリしてますね。
「エルフマン!!」
「漢たるもの、S級になるべし」
「頑張って!!エルフ兄ちゃん!!」
エルフマンさんもかぁ・・・気合い十分ですね。
「カナ・アルベローナ!!」
「・・・・・」
あれ?カナさん何か元気ないですね?どうしたのかな?
「フリード・ジャスティーン!!」
「ラクサスの後を継ぐのは・・・」
フリードさんかぁ。なんか強そうな雰囲気ありますもんね。
「レビィ・マクガーデン!!」
「私とうとう・・・」
「「レビィが来たー!!」」
レビィさんもかぁ。ドロイさんとジェットさんの方がレビィさんより喜んでるけど。
「メスト・グライダー!!」
「メストだ!!」
「去年は惜しかったよなぁ」
メストさん?初めて見る人だな。どんな魔法使うんだろう?
「そして最後は・・・」
みんながマスターをじっと見る。誰かな?ガジルさんかな?
「シリル・アデナウアー!!」
「・・・?」
あれ?今俺呼ばれたような・・・幻聴?
「すごいシリル!!」
「シリルが選らばれた~!!」
ウェンディとセシリーが盛り上がっているのを見て、ようやく俺は選ばれたことに実感が湧いてくる・・・湧いてくるけど・・・
「なぜに俺が選ばれた?」
なんでだ?なぜ俺が選ばれたんだ?なぞだ・・・
「そうか、このメンバーに選ばれたいから、みんな自分をアピールしてたのね」
「わぁ!!みんながんばれー!!シリルも頑張ってね!!」
ウェンディに笑顔で言われたからかな?なんだかやる気が出てきたぞ!!
「今回はこの中から合格者を一名だけとする」
一名だけ!?確率低っ!!
「試験は一週間後。各自体調を整えておけぇ」
一週間後だと・・・何か準備できるかな?お菓子とか?
「な・・・なぜ俺が入ってねぇんだ!?ジュビアも・・・ましてやガキまで入ってんのに・・・」
「お前の、ギルドでの立ち位置は聞いたぞ。信用されてないようだな」
「いやぁ、違う!!言えねぇけどそれはねぇ!!言いたくても言えねぇんだよ!!」
「エルザにだ」
「フフッ。まだ早い」
「クソー!!」
ガジルさんは悔しそうにしている。ということは・・・
「俺は信頼度が高いってことだよね?」
「でもこの中でシリルが一番弱くない~?それって信頼だけでなんとかできるのかな?」
セシリーにそう言われる。た・・・確かに弱いけど・・・
「ううん。シリルはすごい期待されてるよ!特にエルザに!!」
「「え?」」
ルーシィさんにそう言われ、俺とセシリーは固まる。
「だってシリルは、六魔将軍のエンジェルと互角に戦えたし、ナツやグレイでも手も足も出なかったエドラスのシリルに勝っちゃったんでしょ?エルザスッゴい感心してたんだから!!」
「あう・・・」
確かにエンジェルとはなんとか戦えたけど・・・あの時は無我夢中だったし・・・エドシリルとの戦いも、あいつが勝手に自分で自分を見失って勝っただけだからなぁ・・・まぁ、いい経験になるだろうから嬉しいんだけど。
「まったくもう。相変わらず騒がしい・・・!?」
俺が一人で考えていると、シャルルの表情が楽しげな表情から一変、何かに驚いたような顔になる。どうした?
「どうしたの?シャルル」
「何かあったのか?」
「大丈夫~?」
「べ・・・別に!大丈夫よ」
シャルルはそう言う。気のせいだったのかな?
シャルルside
何なの・・・今一瞬・・・
私は・・・今頭の中に、映像のような物が見えた・・・もしかして、予知?
一つは大きな樹が倒れていく映像・・・次にカナが空を見上げて泣き叫ぶ映像・・・ナツが怯えてながら涙を流している映像・・・傷だらけの誰かの手・・・血まみれで膝に手をついて、肩で大きく息をするシリル・・・何かに向かって泣きながら叫ぶウェンディ・・・
「!?」
次に・・・見たことのない二人の男の映像が、交互に見える。一人は黒髪の男・・・その男は、枯れた森の中に立っている。もう一人は、赤い髪の男・・・その男は、腕に水を纏い、ニヤリと微笑んでいる。
誰なの・・・こいつら・・・!?
ううん・・・それよりも・・・赤髪の男の水って・・・
私はウェンディと談笑しているシリルを見る。この水の魔法って・・・シリルの魔法?
シリルside
「初めての者もおるからのぅ、ルールを説明しておく」
初めてって、たぶん俺とジュビアさんのことかな?ルール説明、助かります。
「選ばれた9人のみんなは、準備期間の一週間の間に、パートナーを一人決めてください」
「パートナー?」
「なるほど~。絆も試されるんだね~」
そういうことか・・・ただ強いだけじゃダメってことだな!!おお!!なんか勝機が見えてきた!!
「パートナー選択のルールは二つ。一つ、妖精の尻尾のメンバーであること。二つ、S級魔導士はパートナーにできない」
「なるほど・・・エルザさんたちとは組めないんだね」
「エルザさんと一緒なら、最強すぎるもんねぇ」
なんだ・・・エルザさんが俺を推してくれたなら、ペアを組んでくれるかな?とか思ったけど・・・浅はかでした。
「試験内容の詳細は天狼島についてから説明するが、今回も、エルザが貴様らの道を塞ぐ」
「「「「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」」」」
「今回は、私もみんなの邪魔する係やりま~す!」
「「「「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」」」」
エルザさんとミラさんは俺たちの邪魔する係なの!?待てよ・・・つまりそれは・・・
「ブーブー言うな。S級魔導士になる奴は、みんな通ってきた道だ」
「ちょ・・・ちょっと待てよ・・・」
「まさか!?」
「ギルダーツも参加するのか!?」
「嬉しがるな!!」
やっぱり!!ギルダーツさんも俺たちの邪魔するのか!?なんでナツさんは嬉しそうなんだ?
「選出された9名とそのパートナーは、一週間後に、ハルジオン港に集合じゃ。以上!!」
そういってその場はひとまずお開きとなった。しかしすごいハードですね。
エルザさんやミラさんを倒さないといけないなんて・・・無理っぽいなぁ・・・
俺たちは、ナツさんたちと一緒のテーブルに座って話している。
「今年はえらくハードルが高けぇなぁ・・・」
「意外ねぇ、あんたたちみんな初挑戦なんて」
「俺は燃えてきた!!絶対S級になってやるー!!」
「うあーー!!漢エルフマン!S級への道が遠ざかる!!」
グレイさんとエルフマンさんは愚痴をこぼしらナツさんは炎を吐きながら叫ぶ。ナツさんはいつも元気ですね。
「大変そうだね」
「そうじゃなくて大変なんだよ・・・」
ウェンディに俺が言う。ただでさえ合格者一人ってことで難しいのに、相手がS級魔導士組とはね。勝てる気がしない。
「みんな頑張ってね」
「そういえばみんな、もうパートナーは決まってるの?」
ルーシィさんが俺たちに質問する。パートナーか・・・まぁ、ウェンディしかいないけどね。
「俺はもちろんハッピーだ」
「あい!!」
ナツさんのパートナーはやっぱりハッピーなんだ。コンビネーション最高だもんね。
「ハッピーはずりぃだろ!?もし試験内容がレースだったら、空飛べるなんて勝負にならねぇ!」
「別にいいんじゃない?」
「パートナーの条件には反してませんしね」
エルフマンさんはハッピーをパートナーにするのはずるいって言うけど、エルザさんの言ってた条件には合ってるから問題ないでしょ?
「俺も困らねぇよ。戦闘になったら、困るだけだしな」
「ひどいこと言うねグレイ・・・」
グレイさんは腕を組みながら言う。でもナツさんなら、一人でも勝てそうな気がするけど。
「オイラは、絶対ナツをS級魔導士にするんだ!!」
「こればかりは、仲間と言えど絶対ゆずれねぇ!!」
「てなわけで」
「こうしちゃいらんねぇ!!修行だーー!!」
「あいさー!!」
二人はそういってギルドから飛び出していく。一週間の修行って何する気なのかな?参考までに聞きたい・・・
「ふ~ん・・・私がいない二年の間に、ナツがS級の試験に参加するようになってるなんてねぇ・・・」
リサーナさんはギルドの出入り口の方を見ながらしみじみと言う。ルーシィさんがリサーナさんを見ていると、その視線に気づいたリサーナさんはルーシィさんに語りかける。
「ナツはねぇ、一人前の魔導士になれば、イグニールに会えると思ってるの。この試験にかける思いも人一倍なんだろうね」
「そっか」
なるほどなぁ。それぞれの思いってのは、やっぱりあるんだ。
「あの・・・ジュビアはこの試験を辞退したい・・・」
「え!?なんで!?」
すると、ジュビアさんが体をモジモジとさせながら言う。せっかくの機会なのに・・・どうしてかな?
「だって・・・その・・・パートナーに・・・」
「なんだって?」
ジュビアさんの声がきこえなかったため、グレイさんが身を乗り出す。この人、絶対わざとやってるだろ?
「!?だから・・・あの・・・ジュビアは・・・」
「あんたのパートナーになりたいんだって」
「あ?」
「ほら!!やっぱりルーシィが狙ってる!!」
「狙ってないわよ!!」
正直に言えないジュビアさんの代わりにルーシィさんがグレイさんに言ったら、ジュビアさんに勘違いされたみたいですね。ジュビアさんも素直になればいいのに。
「グレイ様!!ルーシィをパートナーにする気なんですか!?」
「悪ぃが、俺のパートナーは決まってる」
「え?」
「やぁ、久しぶりだね。みんな」
俺たちの後ろから聞き覚えのある声がしたので、全員がそちらに視線を移す。そこにいたのは、ロキさん?
「ちょっとー!?」
「ロキ!?」
まさかの人物登場に、ルーシィさんとエルフマンさんが驚く。
「去年からの約束でな」
「ルーシィ、悪いけど試験期間中は、契約を解除させてもらうよ。心配はいらない。僕は自分の魔力で門をくぐってきた。だから、君の魔法は使えなくなったりしないよ」
「な・・・なんて勝手な星霊なの!?」
ルーシィさんはロキさんを見て言う。まさか、期間限定で契約を解除するとは・・・ロキさんも自由な人ですね。
「でもおめぇ、ギルドの一員ってことでいいのかよ?ロキ」
エルフマンさんが質問すると、ロキさんは突然服を脱ぐ。その背中には、黄緑色のギルドマークが刻まれていた。
「僕はまだ妖精の尻尾の魔導士だよ。ギルドの誇りをかけて、グレイをS級魔導士にする」
「頼りにしてるぜ!」
「任せて」
「この二人って、こんなに仲良かったっけ?」
ルーシィさんはむくれながらそう言う。寂しいんですかね?
「つーわけで、お前も本気で来いよ。久しぶりに熱い戦いをしようぜ」
「!!」
二人は前にも戦ったことがあるんですね。ジュビアさんが幽鬼の支配者にいた時の話しかな?
「あ・・・熱い・・・熱い愛撫////」
「ちょっとお姉さん・・・」
「か・・・漢字がおかしいよ~?」
顔を赤くしてジュビアさんは何かを想像しているようだ。シャルルとセシリーはそれに突っ込みを入れる。ジュビアさんって、グレイさんのことになると、少しおかしくなるよね?
「私がジュビアと組むわ」
「本気かリサーナ!!」
「私、エドラスじゃジュビアと仲良かったのよ」
リサーナさんはピースをしながら答える。
「それにこっちのジュビア、なんかかわいいんだもん」
「リサーナさん・・・」
「決定ね!」
「まさか、この子もグレイ様を狙って・・・」
「どんだけ歪んでるのよ!!」
ジュビアさんはリサーナさんを新たな恋敵と勘違いしていますね。こんな二人のペアで大丈夫なのかな?
「ちょっと待てよリサーナ!! それじゃあ俺のパートナーがいねぇじゃねぇか!!」
「そう?さっきから熱い視線を送ってる人がいるわよ?」
「あ?」
リサーナさんがジュビアさんのパートナーになったことにエルフマンさんは号泣していた。だけど、リサーナさんに言われてエルフマンさんは視線の主を見る。
「エバーグリーン・・・」
「フリードが、パートナーにビッグスローを選んだことでむくれてるみたいね」
雷神衆の中で、一人だけ余ったんですね。三人でチームを組んでると、そういうこともあるんですね。
「じ~~」
「てか、熱いってより、石にされそうな視線じゃねぇか?」
エルフマンさん、顔真っ青ですけど、大丈夫ですか?
「シリルはどうすんだ?」
グレイさんが俺に話を振る。そりゃあもちろん!
「俺のパートナーはう・・・」
グイグイ
「ん?」
突然、シャルルが俺のズボンを引っ張る。どうした?
「ちょっと待ってくださいね。どうしたの?」
俺はしゃがんでシャルルと目線を合わせる。シャルルは少し暗い顔をしている。
「今回の試験・・・ウェンディは誘わないでくれないかしら・・・できれば、あんたにも辞退してほしいわ」
「え?なんで?」
突然そんなこと言われてもなぁ・・・俺も興味あるし。
「今回の試験・・・嫌な予感がするの・・・予知で見た映像が、すごい嫌な感じなの」
予知って・・・昨日のあれか。一体どんな映像が見えたんだ?
シャルルside
「具体的にはどんなのがあったの?」
シリルは私の目を見て質問する。本当は、シリルが血まみれだったのと・・・あの赤髪の男のことを言った方がいいんだけど・・・あんな姿のシリルのことを口に出すのは嫌だわ。
「ウェンディが・・・なぜかわからないけど、泣き叫んでいたのよ」
「!?ウェンディが?」
シリルは私に言われて驚愕の表情に変わる。だけど、すぐに真面目な顔になる。
「だったら、ウェンディを誘わないと問題ないんだな?」
「え?」
そりゃあ・・・ウェンディが天狼島にいなかったら、あの未来は起こるわけがないんだけど・・・でも、
「ダメよ!!危険すぎるから!!」
「お願い!!俺もすごいこの試験を受けてみたいんだ!!」
シリルは私が止めるのを聞き入れずに、手を合わせてお願いしてくる。
「お願い!!シャルルさ~ん!!セシリーを相方でいいから!!」
「あんた・・・さらっと失礼ね」
セシリーでいいからって・・・
シリルはなおも私に手を合わせてお願いしている。もう!
「わかったわよ。でも、約束して」
「何?」
「絶対、二人とも無事に帰ってきなさいよ!あんたたちがいなくなったら・・・私たち・・・」
私が顔を下げると、シリルは私の頭を撫でる。
「大丈夫!絶対に帰ってくるから」
「・・・約束よ」
「うん!」
シリルはそういって微笑んだ。でも・・・やっぱり止めた方が良かった気がするわ・・・すごく嫌な予感がするもの・・・
シリルside
シャルルの説得に成功したからな。俺のパートナーも決まった!!
「シリル?どうしたの?」
ルーシィさんが俺に声をかける。俺はルーシィさんたちの方を振り返る。
「協議の結果、俺のパートナーはセシリーに決まりました!!」
「「「「「「ええっ!?」」」」」」
俺のパートナーにその場にいた全員が驚く。どうした?
「本気か!?バトルになったらどうする気だお前!!」
「いくらなんでも無謀すぎない!?」
グレイさんとリサーナさんが心配そうに言う。そんなこと言われてもねぇ・・・
「いや、もう決めたので。よろしく!!セシリー!!」
「うん!!絶対シリルをS級にするからね~!!」
俺たちはガッチリと握手する。ウェンディとペアを組めなかったのは残念だけど、俺とセシリーのコンビネーションもそれなりだからな!きっと大丈夫なはずだぜ!!
その後、他の出場者たちもほとんどがパートナーを決め終えていた。
しばらくして、外が暗くなってきたので、俺たちは家に帰ることにした。
帰り道・・・
「シリル・・・頑張ってね?」
「もちろん!S級になって帰ってくるから!!」
俺はウェンディたちをフェアリーヒルズに送り届けるために一緒に帰っている。
S級試験に受かる気もしないけど、やるだけやってやるぜ!!
「・・・」
「どうしたの?シャルル」
「朝からずっと静かだね~」
「ちょっとね。なんか嫌な予感がするの・・・この試験とか言う奴」
シャルルはウェンディに抱えられながら、ずっと暗い顔をしている。まだ気にしてるのか。
「例の予知で見たんだって。俺たちも気をつけるからさ」
「ウェンディ、あんたは絶対に出ちゃダメよ」
「私なんかパートナーにする人いないし、大丈夫だよ」
「それはどうかな?天空の巫女」
俺たちの後ろから声が聞こえ、振り返る。
「えーと・・・あなたは?」
「俺はメスト。ミストガンの弟子だった」
「「ミストガンの弟子!?」」
俺とウェンディはメストさんにそういわれ、驚く。
「君たちのことはミストガンからよく聞いている」
なぜかメストさんは口を開けて空を見る。何してるんだ?
「あ・・・あの、何してるんですか?」
「雪の味を知りたいのだ。気にしないでくれ」
「気にしますよ!!」
なんだよ雪の味が知りたいって!!味なんかしないに決まってんじゃん!!
「力を貸してくれないか?」
「それが人にものを頼む態度なの!?」
「というかこっちを見ながら話してよ~!!」
シャルルとセシリーはメストさんに怒鳴る。まぁ、確かに人に頼みごとをする体勢ではなかったよね。
「すまん。どうも俺は、知りたいことがあると、夢中になるくせがあるのだ」
頭をかきながらメストさんはそう言う。
「ウェンディ。君の力があれば、俺はS級の世界を知ることができる。本当はシリルにお願いしようと思っていたが・・・君はS級魔導士試験に選ばれてしまった。
頼れるのは君だけだ。頼む、力を貸してくれ」
メストさんはそういって頭を下げる。
「えっ!でも・・・私なんか・・・」
「ダメに決まってるじゃない!!」
「メストさんには申し訳ないんですけど・・・今回は違う方に当たってもらえませんかね?」
「ごめんね~」
俺たちがダメだというと、メストさんは残念そうな顔をしたあと、川に飛び込む。はぁ?
「何してるんですか!?」
「知りたい。冬の川の中というものを、俺は知りたい」
「ちょ・・・この人ヤバイよ~!!」
「こんな変態に付き合っちゃ絶対ダメよ!!」
め・・・メストさんって、こんなに変な人なんだ・・・やっぱり妖精の尻尾は個性的な人がいっぱいだな。
「でも、悪い人じゃなさそうよ」
「どこが!?」
「変な人ではあるけどな」
「確かに~」
ウェンディはメストさんを見てそう言う。その顔は、少し悩んでいるように見える。
「私・・・色々と助けてもらったミストガンに、何一つ恩返しができなかったし・・・」
「うっ・・・」
そういえば・・・俺も何か返した記憶がないような・・・
「エドラスを救ったじゃない!!それで十分よ!!」
「でもそれは、結果的にそうなっただけで・・・私気持ち的には・・・」
「ダメったらダメ!!」
シャルルはウェンディがメストさんのパートナーになるのに絶対反対のようだ。俺もウェンディには危険な目に合ってほしくないから、参加しないでほしいけど・・・
でも・・・ミストガンに恩返しするために、ミストガンの弟子だったメストさんを手伝いたいって気持ちもわかるし・・・
「どうしよう~?シリル~」
「う~ん・・・」
二人とも、自分勝手な気持ちじゃなくて、誰かのためにって想いだから・・・どっちも否定はできないんだよなぁ・・・
俺とセシリーが悩んでいると、ウェンディは、いつのまにか川から上がっていたメストさんに歩み寄る。
「メストさん!!こんな私でよければ、よろしくお願いします!!」
「ちょっとウェンディ!?」
ウェンディの言葉に、シャルルは驚く。
「ありがとう。これで俺は、S級の世界を知ることができる」
メストさんは軽く頭を下げて、その場をあとにする。
それを見たシャルルは顔を真っ赤にして・・・
「もう!!勝手にしなさい!!」
一人先に、フェアリーヒルズに帰ってしまう。
「シャルル~!!」
セシリーもシャルルのあとを追って、急いで飛んでいく。
残されたウェンディは、申し訳なさそうな顔をしていたが、すぐに気持ちを切り替えて俺の方を見る。
「じゃあ!また明日ね!!シリル」
「う・・・うん!」
ウェンディもシャルルたちのあとを追って、フェアリーヒルズへと駆けていく。
俺はそれを見て・・・
「ウェンディ・・・シャルルの予言みたいに、危険な目に会わなきゃいいけど・・・」
俺はそう呟き、自分の家へと帰っていった。
後書き
いかがだったでしょうか。
シリルのパートナーはセシリーということになりました。
いよいよ次回から試験開始です。
次回もよろしくお願いします。
ページ上へ戻る