インフィニット・ストラトスGM〜天空を駆ける銀狼〜
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生徒会長って……
「さぁ、箒。さっき、お預けした勝負に白黒つけましょう?」
私が長剣を向けると箒は何故か顔を真っ赤に染めて、右手に持った【空裂】をブンブンと振りながら高速でまくし立ててきた。
「きっ。貴様っ。優里、あっあんなこと……不埒な……」
「?……あんなこと……?」
フラ〜と上を向くとまだ顔を真っ赤にさせてアタフタとしているシャルがいた。
(あぁ〜)
顔を真っ赤にしている箒をニヤニヤと見ながら、悪戯な口調で言う。
「あんなこと……とは。キスの事ですか?」
「きっ、キス……」
「気にしないでください。水分補給のようなものですから」
「水分補給っ!?貴様、水分補給するためにキス……じゃない。あんな不埒なことをするのか!?」
「えぇ。その方が元気が出るでしょう?」
ウィンクを箒にして、剣を構えると
「なので、箒は少し黙ってて下さい」
「いや。待て、私は全然理解してない。ひぃ、あぁ〜〜〜!!」
箒を撃墜した。そのまま、箒と戦意喪失している一夏を銀狼と一緒に千冬お姉ちゃんの所に運んでから シャルの所へ向かった。運んでいる最中、下を向いたまま妙に静かなシャルルが気になったが早くこの訳のわからない勝負を終わらせたいので気にしないがそれがいけなかった……。
「シャル、お待たせしました」
「にこっ」
(ひぃ!!)
振り返ったのは天使でいつも優しいシャルルではなく何かと理不尽に私を殴る夜叉なシャルロットでした。ガタガタ震える私に優しい笑みを送り続けるシャル(目は笑ってない……)は【盾殺し】を向ける。私も一応、長剣と短剣を構えるがガタガタ震えて、ちゃんと構えられない。
「ねぇ?優里、さっき箒に言ってたことって本当?」
「言ってたこととは……?」
震えながら、聞き返すとまたまたみたいな笑顔を返される。
「僕とのキスは水分補給なんだよね?優里にとっては。………初めてだったのに……優里のばかぁ……」
最後の方が聞き取れなかったけど、あの失言に怒られているようだ シャルルさんは。
ゴクン。生唾を飲み込むと私は誠意を感じるようにシャルの瞳を見ながら、答える。
(ここで答えを間違えたら終わりだぞ。私ッ!答えは慎重に……)
「あれは……。水分補給では無くて、私と銀狼のシンクロ率を保つ為にしたことでして……」
「ふーん」
(あ、れ………?間違えた……?)
「はぁ〜〜。……もういいや。優里にとって僕はそれくらいの存在なんだし」
長いため息をした後、シャルは横を向いてボソボソと何かをつぶやいた。そして、私の方を見ると視線で終わらせよう?と言うが私は何故かため息の後の言葉が気になったのでダメでもともとと問って見たが赤顔で怒鳴られた。
「え?シャル……今、なんて……?」
「何でもないって言ったのッ!!」
ピク。
(まぁ……、本人がなんでも無いって言うだから……無いんでしょう……)
でも、そんなに怒らなくても……。頬を膨らませる私はシャルを睨んだ。
「じゃあ、終わらせます……かぁ……」
ふら〜と揺れる視界。
「スキありよ?優里ちゃん?」
「優里?」
(しまった!シャルに集中して、後方を注意を向けてなかったのは私の方だ………)
力がなくなった私は地面へと落ちて、そのまま意識を失った。意識を失う前に銀狼の声とシャルの声が聞こえた。
二人とも心配そうな声だったけど……。
「優里ッ!!」
『おい、優里ッ!』
(すいません、二人とも。私、負けたみたいです)
☃☃☃
「更識」
「これで私の勝ちですよね?」
「いや、なぁ……」
織斑先生が困ってる……。
僕は生徒会長の峰打ちで気絶した優里を背負って、保健室へ行こうとしたところをみんなに止められ ここに居るというわけだ。一夏も放心状態から治ったみたいで、今は何故こうなった?みたいな顔をして僕を見ている。僕も知らないんだけど……。
「更識、貴様 最初から居なかっただろう?」
すると生徒会長はニコッと笑うと手に持っている扇を開く。そこには何故か“勘違い”と書かれていた。
「いやですね。最初から居ましたよ?巻き戻して見ます?」
「………」
☃☃☃
「すまん。まさか、あんな隅に静かに居たとは……」
「いいんですよ。というわけで、優里ちゃんが起きたら 伝えておいてください」
ふふふふふと楽しそうに笑いながら去る生徒会長。それを見送る僕はとても複雑な気持ちだった。
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