ドリトル先生と二本尻尾の猫
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第十一幕その十
「ここもね」
「日本人が怖いと思う場所で」
「僕達はなんだ」
「また怖いと思うポイントが違っていて」
「それで怖いと思わない」
「そうなんだ」
「うん、あと最後はね」
先生は穏やかな顔でまた言いました。
「ホラー映画とかだと」
「そうそう、あと一歩でね」
「あと一歩でってところで死ぬんだよね」
「それがイギリス映画だよね」
「まずハッピーエンドはないね」
「終わったと思って終わってないとか」
「そういうのばかりだね」
それがイギリスのホラー映画だというのです。
「日本は何か視て?」
「視て怖い?」
「じわじわと来る感じで」
「徐々に迫ってきて」
「ちらちらと姿を出したり」
「そうしたことが多いかな」
「日本のホラーは」
皆も日本にいる間に観たそうした映画を思い出します。
「それがね」
「私達から見れば」
「怖くない?」
「日本の人達が驚く位は」
「そこまでは」
「どうにも」
「その国によって文化が違って」
先生は学者としての考えをここで発揮しました。
「怖いと思うポイントもね」
「国によって違う」
「そういうことなのかな」
「それじゃあここも」
「やっぱり」
「うん、僕達にとってはね」
イギリスで生まれて長い間その国にいた先生達にとってはです。
「極端に怖いかというと」
「そうでもない」
「特に、なのね」
「そういうものなんだ」
「僕達にとっては」
「そうみたいだね、けれどそのお陰で」
怖くてそこに神経が集中しないからというのです。
「あの子達のことはね」
「うん、何処にいるかね」
「どうしてるかわかりやすいね」
動物の皆はここで耳を澄ませました、そうしてお二人の声を確かめてです。先生に対してこう言ったのでした。
「男の子は我慢してるけれど」
「それでもね」
「女の子は凄いわ」
「物凄く怖がってて」
「もう泣きそう」
「男の子にしがみついていて」
「悲鳴ばかりあげてるわよ」
そうした状況だというのです。
「それで男の子がね」
「何とか守ってるよ」
「怖い気持ちを必死に我慢して」
「そうしてね」
「騎士だね」
その状況を聞いてです、先生は言いました。
「彼は騎士になっているんだね」
「そうみたいだよ」
「自分も怖いっていうのに」
「それでもね」
「必死に女の子を守って」
「それでね」
「守ってるよ」
動物の皆は声と音からその状況を認識しています、ジップはお鼻をくんくんとさせてそこからも言うのでした。
「うん、女の子は怖がってて男の子は我慢している」
「そうした匂いだね」
「身体から出ているよ」
犬だからこそわかることです、犬のお鼻はそこまで凄いのです。
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