江戸にかかる暗雲を晴らすため巳厘野衆へのりこんだ晴明と銀時達。
『式神タッグ呪法デスマッチ』第一回戦目は神楽と万事屋の使い魔・新八タッグの無茶苦茶な戦い方―ほとんど神楽のせいだが―で引き分けになり、残りのひと勝負が事実上の決勝戦になった。
晴明と銀時のペアで挑んだが、戦いの中で道満の策略により銀時のキン○マが潰れ戦闘不能。
最後の味方も倒れ一人リングに立つ晴明は、江戸に放った式神の力を全て集め真の力を解放した。そんなことをすれば江戸守護の任を解かれ、結野衆も潰れてしまうだろう。
だが今の晴明にとってそんなことはもう関係ない。
家柄の為でも、己の為でもない。
ただ兄として、妹の笑顔を取り戻すために。
「道満これで終わりじゃ!」
渾身の一撃が晴明の五芒星から解き放たれる。
凄まじい霊力に溢れた蒼い光弾はそのまま一気に道満に迫る。
だが――
「終わりなのは貴様だ、晴明」
「!?」
刹那――道満が腕を一振りすると光弾は跳ね返り、そのまま晴明に直撃した。
「晴明さんん!」
「妹萌えェェェ!!」
リング外から新八と神楽の悲鳴が会場内に響く。
激痛に耐えながら晴明は顔を上げると、道満の身体から黒い霧が漂っていた。
――あの霧はなんじゃ?
――あれは道満がわしらに抱く憎悪の念が具現化したものなのか。
――いやこの霊気はそんなものではない。もっと別の……。
混乱する晴明をよそに道満はボロボロになった陰陽師を嬉しそうに見下ろした。
「言ったはずだ。ぬしら兄妹を倒す為新たな力を手に入れたと。この力の前ではぬしの真の力も『無』と同じ。これでもまだ戦う気か?」
「アイツのためにも、わしは倒れるわけにはいかぬのじゃ」
「晴明、お前は本当に目がくらんでおるようだな。妹を護る盾はあっても……貴様を護る盾はないぞ!」
嘲笑と共に道満が放った光弾は轟音を立てて晴明に直撃した。
爆風が吹き荒れ、誰もが晴明の敗北を確信していた。
リングに立つもう一人の術者を見るまでは。
結界を張って晴明を護るように立つ結野アナ。
突然の乱入者に会場内がざわつき始め、晴明は驚愕の表情で術者の衣服をまとう妹へ駆け寄る。
「クリステルなぜここに来た!?お前が犠牲になる必要はもうない。家の面目などどうでもいい。わしはただお前が笑顔でいられればそれでいい」
悔しさに力なく言う晴明に結野アナは首を振って答えた。
「この災いの火種である私に笑顔でいる資格などありません」
「それはち――」
「ですが兄様」
力強い妹の声に押され晴明は思わず黙ってしまう。
そんな兄を前にして結野アナは決意を語る。
「私はこの身を犠牲にするため参ったのではありません――
目の前にそびえる強く勇ましい笑顔。
それはいつもテレビに映る優しいのとはまた別の、誇り高き妹の笑顔。人生の中で何よりも驚嘆に値するものであった。
しばし呆気にとられる晴明を置いて、結野アナは同じく術者服の双葉と共に式神タッグバトルの出場申請をする。
しかし審判は頷かない。
「メンバー以外の参加はルール違反です。あなた達に参加権はありません」
「いいや、よかろう」
許可を出したのは敵であるはずの巳厘野道満だった。むしろ彼はそれを待っていたかのような見下した笑みを浮かべて言う。
「クリステル。望み通り長きに相反してきた結野衆もろとも我が手で貴様を潰してやる」
「望むところです」
「さぁ、延長戦を始めよう!」
まさしく悪代官の
表情に染まってる道満。
いさぎよい闘志の笑みを浮かべる結野アナ。
そして高らかに武闘の宴を宣言する双葉だが――
「ま、待て!」
未だこの状況を許してない晴明が止めに入る。
「クリステル何を血迷った!?お前が血の雨を流す必要はない。わしは知っている。罵声を浴びても缶を投げられてもお前は耐え抜いて、お天気アナとして笑顔をふるまい予報を伝えてきた。そうして戦ってきたではないか」
道満からの誘いにのって戦いを挑んだのは、妹をもうこれ以上苦しませないためだ。
なのにクリステルは今ここにいて、しかも直接戦おうとしている。
そんなのは絶対に止めたいと反対する。だが結野アナは凛とした表情で答えを返した。
「兄様、私がお天気アナを務めてきたのは市井の人々に笑顔でいて欲しかったからです。でも気づいたんです。いくら笑顔で予報を伝えても、ハズレれば私一人笑うだけで終わってしまいます」
みんなを笑顔にさせたくてお天気予報をしていた。
けれどあの窓ガラスに映ったのはヘツらった笑みだけ。
その時初めて気づいた。
自分だけしか笑ってなかったことに。
「笑っているだけでは何も変わりません。江戸にかかる雨雲を晴らさない限り、この雨はやみません。血の雨を流す暗雲がありましたらこの手で払いのければいいだけです」
力強く拳を握り、晴明を見据える。
「もう兄様だけ戦わせませんよ。私も共に戦います」
決して逃げない怯まない揺るがない瞳と強さに溢れた笑み。
目の前のクリステルの決意は本物だと悟った。
――これほどまでに強いものであったとは。
――……どうやらわしは真の術者を見落としていたようだ。
心にあった迷いに踏ん切りをつけて、晴明は再び道満に向き直る。
「道満、わしらはもう逃げも隠れもせぬ。全力でかかってこい」
結野アナと共に闘志の表情を燃やす。
それを受けた道満もまた侮蔑の笑みを浮かべながら二人を見つめ直す。
「言われなくともそのつもりだ。しかし兄妹揃ってなんというアホ面だ。滑稽だぞ」
「貴様の頬の落書きもダサすぎて滑稽だぞ」
腹黒い笑みを浮かべる双葉に横から毒つかれた道満はムッと額に血管を浮き彫りさせる。
「落書きではない!これは――」
「ところでシスコン」
「無視するなァァァ」
自分で仕掛けておきながら、双葉は喚く道満をほっといて晴明に向き直る。
「先ほどから兄者の姿が見えないが」
「あの男なら今わしの式神たちの治療を受けておる」
そう晴明が目を向ける方には、狐耳と尻尾を生やした式神と外道丸に囲まれて完全にのびている銀時がいた。
「道満の策略にはまりタマがとれてしまってな。すまない。わしが不甲斐ないばかりに」
晴明に謝られる双葉だが、『策略』という単語にSの血が反応して一体どんなものだったのかと、銀時よりそっちの方が気になっていた。つい聞きたくなったものの、ここは場をわきまえて後回しにすることにした。失礼なんだか常識があるんだかよくわからない双葉の思考である。
そんな腹黒いことを考えてるなど知らない晴明は、申し訳なさそうに言う。
「男としてタマがなくなった傷は深かろう。無事に治っても奴は立ち直れるだろうか」
「本当にお主は『見る』だけしかできないようだな。人を元気づける
術も知らんのか」
「返す言葉もない……」
僅かに肩を落とす晴明に双葉は一つのアドバイスを送る。
ただ、その表情はとてもつまらなそうだが。
「ま、兄者ならお主の妹が嫁にくれば元気百倍ギンタマンになるんじゃないか」
「それとこれとは話が別じゃ。心意気は認めるが、あのような男にクリステルを嫁にはやれん。ぬしとクリステルとの相性の問題もあるのだぞ」
「安心しろ。私はお主の妹を『
義姉』と呼びとことん慕ってやる。まずは味噌汁の味から伺おうか」
「それいびる気満々だろ!」
晴明のツッコミに双葉は不敵な笑みを返し、倒れた銀時のもとへ足を運んだ。
治療が終わったのか狐耳の式神は消え、立ち上がった外道丸はゆっくりと双葉を見る。
「一度は潰れてしまいやしたが、銀時様のタマはもう大丈夫でござんすよ」
「そうか。苦労をかけたな、式神」
「命令でござんすから」
無表情に告げ、そしてすれ違いざまに双葉にしか聞こえない声で外道丸は言う。
「せっかくクリステル様を巻きこまないようにしてたのに、とんだ事をしてくれたでござんすね」
表面上は淡々としてるが、その声には明らかに怒りがあった。外道丸から警告を受けていたのにも関わらず、本人を引っ張り出してきた双葉はここで撲殺されてもおかしくない。
だが双葉はそれでも自分の意見を押し通す。
「何も知らないのは幸せなことだが、逃げているのと同じだ」
「それはあなたの勝手な道理。それをクリステル様に押しつけないで欲しいでござんすね」
「悪いな。押しつけがましいんだよ、私は」
「クリステル様を泣かせるようなことになったら、許さないでござんす」
怒りのオーラを漲らせて再度警告する外道丸。
だが双葉は振り返って皮肉じみた口元で逆に聞き返した。
「あんな
表情をしてる奴が泣くのか?」
そう聞かれた外道丸の瞳に映るのは、今まで見たことのない主の笑み。
それは強さに満ち溢れ、どこにも負ける気がないとても勇ましい表情。それもまた今まで仕えてきた術者たちにはないモノだった。
それを目にして何かを悟った外道丸は、ごく僅かに微笑を浮かべる。
「何を
戯けたことをおっしゃいますか。そんな事あるわけないでござんす」
いつもの優しい笑顔の方が落ち着くが、あんな
表情も嫌いじゃない。
ずっとクリステルを巻きこまないようにしてきた。けれど共に戦ってみるのも悪くない。
それがどんな結果になろうと、今はあの勇ましい笑顔と肩を並べて戦いたい。
そう外道丸が心の中で納得していると、双葉はもう一つ思い浮かんだ事を口にした。
「それにしても、外道の身でありながらそこまで主の心配をするのは外道に反してないか?」
その問いに外道丸は薄く微笑んだ。
「あなたも馬鹿なことをおっしゃるでござんすね。あっしは外道を極めし
邪神。外道から 背くのもまた外道でござんす」
言葉遊びのような返答に、双葉もまた口元に小さな笑みを浮かべた。
治療が終わっても銀時はまだ白目を向いて倒れていた。
「兄者、いつまで寝ている気だ。さっさと起きろ!」
まだ起きる気配がない銀時の股間を容赦なく踏んづけた。
どうしようもない猛烈な男だけの痛みに、悲鳴を上げ跳ね飛ぶ銀時。
「オギャ!!馬鹿やろぉぉぉ!やっと復活したキン○マ永久スクラップにする気かァァァァァ」
大事なトコロを押さえて目元に涙を溜めながら叫ぶ。だが、それはここにいるはずのない意外な人物を目にしたことで驚きの声に変わる。
「結野アナ!?」
「なんでここに?」と混乱するが、直後に視線は妹に向けられる。
「双葉、まさかテメェが……」
「雨に濡れていたからな。風邪をひきそうだったんでここへ雨宿りさせた」
冗談なのか本気で言ってるのかわからない説明に銀時は当然納得がいかず、険しい目つきで双葉を見た。
「おいおい。これじゃ外道丸やお義兄さんの苦労が水の泡じゃねーか」
「言ったはずだ。これは奴等がまいた種だ。奴等の手で枯らせなくては意味がない」
「だからってな」
「それと兄者、一つだけ言っておく。……私は立たされたんじゃない。自分から立ったんだ」
どうやら晴明との会話を聞かれていたらしい。
銀時は困ったように何度か頭を掻く。
「……んなこたァわかってんだよ」
「ならわかるだろ。あの天気アナも自分からここに立ったんだ」
「けどな……」
銀時は不満そうに何かを言いかける。彼が素直に頷けないのも無理はなかった。なぜならこの状況はなんとなくあの時と似ているからだ。
戦うことを決意した妹とそれを許した兄。
どうにも胸騒ぎを感じる。こんなことを気にするなんて自分らしくないと思うものの、やはり不安だ。
あの時あの場所(戦場)で独り戦わせてしまったせいで双葉は――
「テメーがアイツらにそこまでする義理ねェだろ」
「大ありだ。特にシスコンには」
妹の発言に心当たりがなく眉をひそめた。しかしその答えは実に単純なものだった。
「ピザ1枚のお返しだ」
その一言に銀時はフッと笑い、同じく微笑を浮かべる双葉と並ぶように立ち上がった。
「そーかい。んじゃ口挟むのは野暮ってことだな」
「ああ。だから邪魔するな」
「……だったら行くぜ」
「ぶわぶわ浮いてる
汚たねー雲ブチ晴らしによ!」
* * *
リングのゴングが鳴ってから再び結野衆と巳厘野衆の激闘が繰り広げられていた。
いくつものお札が飛び交いその度に爆発を起こし、また呪文から生まれた両者の光弾がぶつかりあって爆音を立てて消える。
闘うのは道満一人と双葉を含めた万事屋、晴明に外道丸、そして結野アナの七人。数だけ見れば圧倒的に結野衆が有利だ。
だがしかし、道満が生み出す謎の力が銀時たちを圧していた。
陰陽術が使えない万事屋と双葉は肉弾戦で特攻するが、道満の幻術が生み出した幻影に惑わされいくらやってもきりがない。
「「「虫ケラが抗ったところで無駄なことよ」」」
同時に口をそろえて罵倒する何人もの道満。
「うるせェ!」と声を上げて銀時は木刀で目の前の道満をブッ叩くがそれも幻影だった。
「「「「どうした。わしはこっちにおるぞ」」」」
「むさ苦しいツラ何個も見せつけやがって気持ち悪ィんだよ。趣味悪いったらねぇなァ!」
憎まれ口を叩きながら攻撃するも、同じ顔の道満たちは笑うばかり。
そのうちの一人の道満がお札を構え、結野アナめがけ光弾を解き放った。
それに気づいた銀時はすぐさま結野アナへ飛び、彼女の身代わりに光弾の直撃を受ける。激痛が身体を走るが、銀時は澄ました顔で耐え抜いた。
「大丈夫ですよ結野さん。あなたのためなら火の玉だろうがダークマタ―だろうが喜んで受けます。もちろんあなたの心も……ってアレ?」
カッコよく気取った口調で振り返ったものの、そこに結野アナの姿はなかった。周りを見渡すと、反対側で本物の結野アナが晴明と一緒に呪法を唱えていた。
そんな彼の様子を道満が嘲笑う。
「フハハハ!ぬしが庇ったのはわしが作り出した幻影だ。ファンのくせに本物の区別もつかぬとはファン失格だな」
「何やってるんだ兄者」
罵倒と続けざまにくる妹の呆れた視線。
頭に血がのぼった銀時はアホみたいに無我夢中で木刀を振り回すのだった。
会場はさながらドラゴンボールの天下一武闘会のようなバトルが勃発していたが、銀時達が戦う光景を道満はつまらなそうに眺めていた。
幻影に惑わされる馬鹿な奴等の踊りの繰り返しに、自然とあくびが出てしまう。
所詮はただの悪あがきかと胸中で蔑んで、道満は呪法を唱える因縁の兄妹に目を向ける。
「味方がこれほどいても虫ケラでは意味がないな。クリステル、こんな役にも立たない奴らのヘドな笑みが見たかったのか」
「人々のために天道を読んでたことは、あなたにとってはくだらないことかもしれません」
罵倒されても結野アナは道満を力強く見据えて言い放つ。
「でも虫ケラなんかじゃありません。この人たちは私の大切な市井です」
「ならばその大切な奴らもろとも貴様を葬ってやる」
そう腕を振り上げる道満の手から巨大な暗黒の光弾が生まれ、黒き陰陽師はニヤリと笑って戦う銀時たちと結野アナに向けて放った。
暗黒の光弾はあまりにも霊力があり過ぎて、結野アナでは止めても逆に押し潰されてしまう。
しかし直後に道満の攻撃を受け止めたのは晴明だった。五芒星が浮き出る晴明の結界と光弾がぶつかる間で激しい火花が炸裂する。
「兄様!」
暗黒の光弾がじりじりと晴明の結界に押し寄せる。最強の陰陽師の名をもつ晴明でも憎悪の念がこめられた攻撃を食い止めるのがやっとの状態だ。
それでも結界を張って晴明は結野アナを護る。道満はその姿を無様だと決めつけて笑いをこぼした。
「諦めが悪いぞ晴明。最強の力を手に入れたこの俺にお前が勝つ確率など万に一つもありはしないのだ」
「確かにかのような力を宿したぬしに、わしには勝ち目がないかもしれん。だが道満、ぬしには足りないものが一つだけある!」
その言葉と共に晴明の結界が一気に拡大し、光弾をはじき返した。凄まじいスピードだったが、道満は自分に向かってくる光弾を難なくかわした。
だが、それは一瞬の隙を生む結果になった。
「外道丸!」
「はいでござんす」
結野アナの呼び声に応えるように、倍以上の大きさに巨大化する外道丸の金棒。
「
大型台風加斗吏亡到来じゃあああああ!」
巨大化させた金棒を振り回していくつもの道満の幻影を一掃し、残った最後の一体――本物の道満めがけて金棒を振り下ろす。
だが一瞬早く道満が大きく跳躍し、外道丸の渾身の一撃はかわされてしまった。
見事に的を外して佇む外道丸を、空中で文字通り高笑いを上げて見下ろす道満。
「フハハハ!馬鹿め、虫ケラにやられるような私ではない」
「「だろうな」」
背後から聞こえる二つの声。
それが虫ケラだと罵った銀髪の兄妹だと悟った途端、顔中嫌な汗が噴き出す。
だがそんなのを拭く暇もなく、さらなる動揺が道満を襲う。
両腕を銀髪の兄妹に、両足をお団子頭の少女と全身タイツの少年にそれぞれ捕えられ身動きができなくなってしまったからだ。
動きを封じられた道満は猛スピードでリングへ落下していく。
「兄者が大分世話になったな」
「キン○マのお返しじゃああああ!!」
直後、銀時たちによって開かれた道満の股間は真下の外道丸の金棒に激突した。
とんでもない激痛に転げまわる道満は、やがて股間を押さえながらその場に倒れこんで生きた屍と化した。
「こここここんな虫ケラにこの俺が……」
「いくら最強の力を手に入れようと、仲間のいないぬしに勝ち目はない」
諭すように晴明は告げるが、股間を押さえる彼の耳には届いていないようだった。
色んな意味でもう戦えない身体になっても、道満は未だ目の前の晴明と結野アナに憎悪の視線を送り続ける。
「晴明、
民を巻き添えにしてまで一族の名を護りたいか」
「フン、江戸守護の面目など欲しくばくれてやる。気に食わぬものがあれば消すがいい」
家柄や地位と名誉に目がくらんでいた。
今はそんなものいらない。
もう何を失ってもいい。
「だが
妹の笑顔を貴様に――」
「市井の人々の笑顔をあなたに――」
「「消させはしない!!」」
兄はたった一人の妹のために
妹は江戸に住む人々の幸せのために
暗雲を晴らす一撃を放った。
=つづく=