極短編集
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短編97「話の分かるやつ 」
小学時代、友達の家の居間には水槽があって、ザリガニを飼っていた。
「このザリガニ病気じゃね?」
「違うよ、カロチンのない餌にすると青くなるんだよ」
俺たちの話を聞いてか、青いザリガニは元気にハサミを振っていた。
その後、友達と話している間、ザリガニは合いの手を入れるように、ハサミを振ったり、飛び跳ねたりしていた。
「このザリ、言葉分かんじゃね?」
と、俺が言うと友達は笑って。
「んな訳ないじゃん!」
でも、ザリガニはウンウンと頭を上下していた。そんなこんなで帰る時間になった。
「じゃあ、そろそろ帰るわ」
と、俺はザリガニに向かい手を振った。するとザリガニも、バイバイと手を振った。
「うおおお!すげー」
と、つい雄叫びをあげてしまった。
「わっ!急に声出すなよ、ビックリするだろ!?」
「だってザリガニが手を振ってたからさあ」
「んな訳ないだろ!?」
「本当だよ!」
「だってそのザリガニ、死んでんだぞ!」
「えっ!?」
水槽をのぞくと確かに死んでいた。さっきまであんな元気だったのに。
「今、死んだのか!?」
「もう、死んで一週間だよ」
「なんで死んでるザリガニそのままなんだよ!」
「飼ってる姉ちゃんが片付けないんだよ!」
俺は……
ザリガニの幽霊とコミュニケーションとっていたのだった。
おしまい
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