詩集「棘」
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おとぎ話の住人だったら
ずっと子供に見えていた君を
なぜ…僕は愛してしまったのだろう…?
答えの出せない心の問い
重くのし掛かる…
触れあえた君との時間は
こんなにも少なくて…
遠い昔のおとぎ話の住人だったら
僕はこんなに苦しまずに済んだかな?
たとえばかぐや姫を見つけた翁とか…
三枚のお札の小坊主でも…
君のいない「今」じゃなければそれでいい…
いなくなってから気付いた愛は
どうしてこんなにも心乱すのか…
写真の一枚もないなんて
押し潰されそうだよ…
もっと君のこと知りたいよ
どうすれば愛される…?
遥か異国のおとぎ話の住人だったら
君をこんなに愛さずにいられたかな?
たとえば忌み嫌われしジャック・オー・ランタン…
アラビアンナイトの魔神でも…
君のいない「此処」じゃなければどこでもいい…
たとえば桃太郎のお供だとか…
たとえば白雪姫の小人たち…
君がいないんだから同じこと…
遠い昔のおとぎ話の住人だったら
僕はこんなに苦しまずに済んだかな?
たとえば花咲か爺さんの犬だとか…
ハーメルンの笛吹き男…
君のいない「今」じゃなければそれでいい…
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