| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

美しき異形達

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十三話 山師その十三

「お母さんのお腹だよな、つまりは」
「そうだよ、まさにね」
「別にそうした場所強く見たいとかな」
「そこから生まれた人もだね」
「思わないよな」
「そこがそうだと思うことはあってもね」
「そうだよな、だからな」
 それ故にというのだった。
「別にいいよ」
「そうか、わかったよ」
「じゃあ今から車に乗って」
「カリオストロ伯爵のところに行こう」
「途中何が出て来てもな」
 具体的には怪人達が、その彼等が出てもとも言う薊だった。
「行こうな」
「その時はだね」
「戦うよ」
 不敵な笑みでの言葉だった。
「これが最後だしな」
「それではね」
「ただな」
「ただ、とは」
「そのでっかい車で行くんだよな」
 薊はここで伯爵のリムジンをまじまじと見てだ、伯爵に問うた。
「そうだよな」
「先程言った通りね」
「いや、それはな」
「嫌なのかな」
「車乗ってる時に来るだろ」
 敵が、というのだ。
「怪人が」
「その可能性は高いね」
 言われてみればそうだとだ、伯爵も薊のその言葉に頷いて答えた。
「言われてみれば」
「だよな、だからな」
「君達はバイクで行くんだね」
「そうさせてもらうな」
 こう言うのだった。
「あたしは」
「私も」
「私もです」
 全員が言う、それでだった。
 伯爵はその言葉を聞いてだ、少女達に微笑んでこう言葉を返した。
「ではそうしよう」
「そっちの方がいいよな」
「確かにね」
 微笑んで認めてだった、そのうえで。
 少女達は一旦それぞれの家に戻りバイクに乗って再び集まった。そうして伯爵のリムジンに先導されてだった。青い空の下にある白い山々に向かった。青と空は宝石の様に澄んでいたがその中にあるものは違っていた。


第五十三話   完


                       2015・3・15 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧