力が正義
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1部分:第一章
第一章
力が正義
アメリカ合衆国がようやく建国された。
だが、だった。まだこの国は荒々しかった。
開拓は進み欧州から移民が次々に来る。その中でだ。
開拓地を手に入れる為にインディアンと戦い土地を手に入れる。そしてその土地を切り開きそこに畑や牧場を作っていく。牛や馬も大々的に入れる。
その牛を巡ってだ。今争いがあった。
「元は俺のだろ」
「いや、俺のだ」
二人の男が今言い争っていた。
「俺があんたから買ったよな」
「金が足りないよ」
一方の赤鼻の男が緑の目の男に言っていた。
「あれっぽっちじゃな」
「あれっぽっちだと!?」
「そうだ、あれっぽっちだよ」
また言う赤鼻の男だった。どうやら彼が牛を売ったらしい。
「何だよ、あのはした金は」
「おい、俺は確かにあんたが言っただけの金を出したぜ」
緑の目の男はきつい顔になって赤鼻の男に言い返す。
「ちゃんとな。それは覚えてるよな」
「知るものか」
ところがだった。赤鼻の男は白を切ってきたのであった。
「倍だよ、倍出せよ」
「何っ、ふざけてるのかよ」
「俺は真面目だ」
「じゃあ酔ってるんだな。だから鼻がいつも赤いんだな」
「これは元々だ」
「じゃあそんなことを言うな」
「何度でも言ってやる、それはな」
緑の目の男もムキになっている。二人は今にも殴り合いをはじめんばかりである。
「この酔っ払いが。とっとと酒止めて死ね」
「言うにこと欠いてそれか」
「ああ、さっさと死ね。後で難癖つけるような奴はな」
「言ったな、死ぬのは手前だ」
「何っ、やるか!?」
「やらないでか!?」
こんな有様であった。こうした喧嘩が当時のアメリカでは常であった。それは今も変わらないかも知れないがとにかく荒々しかった。
そんな中でも弁護士はいる。それでだった。
周りがだ。二人にそれを勧めるのだった。
「言い争っても仕方ないだろ」
「このままだと殺し合いになるぞ」
「そうなったらどうしようもないだろ」
「だからな」
それでだというのだった。
「弁護士呼べ」
「どっちもな」
「それで話をつければいいだろ」
こう二人に言うとだった。彼等もとりあえず頷いたのだった。
「ああ、わかった」
「それじゃあな」
「弁護士を呼ぶな」
「そうすればいいんだな」
「ああ、そうしてくれ」
「厄介な話はその人達に任せろ」
こうしてだった。二人にそれぞれ弁護士がついた。金を要求する赤鼻の男にはクロケットという弁護士が、牛を買った緑の目の男にはシーンという弁護士がついた。
ところがだ。その二人の弁護士をそれぞれ見てだった。周りは言うのだった。
「何かな」
「ああ、二人共弁護士だよな」
「何だ、あの鋭い目は」
「ガンマンか?」
「それともあっちの世界の人間か?」
この時代のアメリカにもそうした世界はあった。人間の世界があると必ずそうした世界もできてしまうものであるのだ。だからである。
「やばそうな人達だな」
「何かあの人達で殴り合いにならないか?」
「だよな、本当に」
「大丈夫かね」
こんな危惧する声が出て来た。しかしそれでも裁判がはじまった。するとその裁判がだ。
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