戦国異伝
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第二百十二話 死装束その九
「久政殿に腹を切らせることになった」
「全てはあの髑髏の為に」
「あの二人は何処におるのか」
その無明達はだ。
「探させておるがな」
「それでもですな」
「何処におるかわからぬ」
今も尚、というのだ。
「何一つとしてな」
「手掛りがですな」
「何もないわ」
それで、というのだ。
「あの津々木もそうじゃが」
「面妖ですな」
「津々木も服は闇でじゃ」
信長は彼のことも話した。
「そしてあの二人もじゃったな」
「衣は闇でした」
その僧衣がとだ、利休は信長に話した。
「面妖なことに」
「そうじゃったな」
「そして他にも」
「公方様のところにおったな」
「あの二人もでした」
崇伝、天海の二人もというのだ。
「しかもこの五人は」
「どの者も出自も生い立ちもわかっておらぬ」
「それも全く」
「特に天海はじゃな」
信長はこの奇怪な僧侶のことも話した。
「あの者はな」
「百二十歳といいますが」
「それはまことなのか」
「わかりませぬ、しかし何もかもが」
「わからぬな」
「実に奇怪です」
「よくわからぬ者じゃ」
また言う信長だった。
「やはり探しておるが」
「それでもですな」
「行方が掴めぬ」
「何故闇の衣の者だけが」
「謎が深いのう」
「そのこともですな」
「闇が気になる」
その訳だというのだ。
「面妖なことじゃからな」
「あまりにも」
「そういうことじゃ、ではな」
ここでだ、信長はまた茶を飲んで言った。
「これからは闇にも気をつけ」
「天下を治めていかれますか」
「そうしていくつもりじゃ」
「ではそれがしも」
利休もここで信長に言った。
「茶人でありますが」
「力を貸してくれるか」
「及ばずながら」
このことを約するのだった。
「そうさせて頂きます」
「ではな」
「その様に」
こうした話もした、そして信長は利休にさらに言った。
「城じゃが」
「姫路、江戸にですな」
「那古屋の城もな」
「名古屋とされて」
「より大きくする」
このことも言うのだった。
「そしてじゃ」
「石山にもですな」
「名を大坂と変えてな」
そのうえで、というのだ。
「築く」
「そうされますか」
「そして天下の守りとする」
こう言うのだった。
「してじゃ」
「その中で、ですな」
「とりわけ要となる城は何処だと思う」
「大坂と江戸かと」
利休は信長にすぐに答えた。
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