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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第十幕その十一

「けれどね。お静さんが必死に囁いてね」
「それでなんだ」
「お静さんに押されて」
「それで普段は大人しくても」
「今回は」
「うん、積極的なんだよ」 
 そうなっているというのです。
「自分からね」
「てっきりお静さんならね」
 ここでジップが言うことはといいますと。
「男の子の方から告白する様にするって思ってたけれど」
「うん、僕もそうじゃないかなって思っていたけれど」
「それがなんだね」
「女の子の方からってなったみたいだね」
「そうみたいだね」
「あの娘は必死だよ」
 先生は女の子のことを考えつつ皆にこうも言いました。
「普段は大人しいけれどああして必死になってるから」
「だからなんだね」
「もう必死で」
「それでなんだ」
「もう勇気を振り絞って」
「お静さんに言われて」
「そうみたいだね、けれどね」
 こんなことも言う先生でした。
「女の子からの告白の方がいいかな」
「いいっていうと?」
「それはどうしてなの?」
「女の子から告白した方がいいっていうと」
「どうしてなのかな、それは」
「何故かしら」
「うん、女の子が勇気を出して告白するとね」
 そうしてきたらというのです。
「男の子は、ましてそれが好きな相手なら」
「ああ、断れないっていうのね」
 ダブダブが言いました、ここで気付いて。
「そういうことね」
「そうだよ」
 それで、というのです。
「これもサラが言っていたことだけれど」
「ううん、またあの人なのね」
「そうなんだ、まさかね」
「サラさんの言うことがここまで役に立つとは」
「思わなかったよ、恋愛のことはね」
 先生にしてみると、というのです。
「僕に縁はないと思っていたから」
「そこでそう言うのがね」
「困るんだよね」
「先生はそうした人だから」
「どうしてもね」
 皆はここでまた苦笑いを浮かべるのでした。
「全くね」
「やれやれよ」
「先生らしいって言えばらしいけれど」
「それでもね」
「先生もね」
「もっと恋愛についてね」
「実践がないと」
 こう言うのですがけれどです。
 先生は笑ってです、こう言うだけでした。
「ははは、僕には縁がないことだよ」
「またそう言う」
「全く、仕方ないわね」
「こと恋愛についてはそう言うんだから
「いつもね」
「実際にそうだしね、さて」
 先生はお二人を見つつでした、話題を変えました。今度のお話はといいますと。
「二人はスナックコーナーに行ったよ」
「あっ、何か食べに」
「それにだね」
「うん、じゃあ行こうか」
 先生達もというのです。 
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