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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第十幕その九

「いや、ここはね」
「何ていうかよ」
「僕達の姿が見えていて」
「変わったところね」
「ちょっと速く飛ぶと僕達自身にぶつかりそうだし」
「危ない場所ね」
「うん、だからね」 
 それでだとです、先生もチープサイドの家族に言います。
「気をつけてね」
「だから遅く飛んでるんだ」
「むしろ先生のポケットの中にいた方がいいかしら」
「そうしてこの先を進んだ方がいい」
「私達はそうかしら」
「何時でも入っていいよ」
 先生はチープサイドの家族にこう返しました。
「僕のポケットならね」
「そうなんだ、それじゃあ」
「今から入らせてもらうわね」
「それでこの中を進んで」
「やっていけばいいのね」
「うん、じゃあね」
 先生のお言葉を受けてです、チープサイドの家族は先生のスーツのそれぞれのポケットに入りました。そして。
 先生はさらに進みました、するとです。
 今度は先生の右肩に止まっているポリネシアがです、こう言ってきました。
「いや、迷うわね」
「何処をどう歩いているのか」
「うん、わからなくなるわ」
「ポリネシアは迷路は苦手なんだね」
「何かね」
 どうもと答えるポリネシアでした。
「戸惑うわね」
「普通の迷路じゃないしね」
「そう、鏡じゃない」 
 全ての壁がです。
「ミラーハウスだから」
「そうだね、だからここは普通の迷路よりもね」
「難しく感じるわ」
「それがミラーハウスの面白いところなんだ」
「普通の迷路じゃないから」
「そうなんだ、余計にね」
 先生はポリネシアに微笑んで答えました。
「だからいいんだよ」
「いいのね」
「人気があるんだ」
「そうなのね」
「うん、だからお二人も入ったんだ」
「普通よりも難しい迷路を」
「そうしてるんだ」
 こうお話してでした、そのうえで。
 先生達も迷路を進んでいきます、そして出口に着きますと。
 お二人の姿は見えません、それで先生は出入り口の木の陰に隠れていた老馬とオシツオサレツのところに行ってでした。
 そのうえでお二人のことを尋ねるとでした。
「あの子達はまだだよ」
「まだ出ていないわよ」
「先生達の方が先だったよ」
「そうなんだ、僕達の方が先だったんだ」
「うん、だからね」
「ここで待っていればね」
「お二人も出て来るよ」
 そうなるというのです、こうお話してでした。
 そして、です。先生は二匹のお話を聞いて言いました。
「じゃあ今はね」
「今はだね」
「二人を待って」
「そしてよね」
「また見守る」
「そうするんだね」
「そうしよう、ここはね」
 こう言ってでした、先生は老馬とオシツオサレツがいたその木の陰に他の皆と一緒に隠れてでした。そのうえで二人を待ちました。
 すると程なくしてお二人が出て来てです、そのうえで。
「ちょっと時間がかかったね」
「そうね」
 女の子は少し俯き加減になって男の子に答えました。二人で横に並んで進んでいます。 
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