極短編集
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短編81「コウモリバー」
息子が5歳、娘が2歳の時の話しだ。お兄ちゃんの真似ばかりをしたがる妹。
「もみじまんじゅう」
と、お兄ちゃんが言うと……
「もみぃまんじゅ~、もみぃまんじゅ~、もみぃまんじゅ……」
と、めちゃくちゃ笑顔で繰り返している。だから、お兄ちゃんもまた……
「ミンクリートコキサー車~!」
「みっちゅーととーとーしゃ~!」
などなど、変な言葉を言っては妹に言わせていた。そのうち、ママと一緒に、ごっこ遊びが始まった!
「ママと僕と妹はクジラで、クジラの親子ね!」
と、お兄ちゃん。
「で、パパはコウモリね?」
『なんでコウモリ!?』
そういうと、お兄ちゃんはソファーの上に立って……
「クジラの親子が海で泳いでいると、そこへコウモリがやって来ました!」
と、お兄ちゃんが言うと……
「が、きまちた!」
と、妹が続く。
「早くパパ来てよ!手でパタパタして!!」
「はやくパパ~」
『あのね~パパ、お持ち帰りの仕事してんだけど』
仕方がないので、ひとまずパソコンから離れ……
「パタパタ……」
と、クジラ達の元へ。
「ねえねえコウモリさん?オレンジジュースを一つ!」
と、お兄ちゃんクジラ。
「あのしゃ~、おれんち」
と、妹クジラ。
「はいオレンジ!」
と、僕がオモチャのコップを出すと……
「あっやっぱり僕がマスターね!じゃあここは……吸血コウモリバー」
と、今度はお兄ちゃんがコウモリになりカフェバーをし始めた。
「はい!では、ヘビサンド~」
お兄ちゃんは大張り切りでオモチャのサンドイッチを持って来た。そうそう息子が生まれる前は、行きつけのカフェバーで僕はよく歌っていた。息子が生まれた時にはマスターは喜んでくれた。息子が1歳の時、バーで歌った。その頃から、たまに遊びに行っているので、息子にとってカフェバーは身近なものになった。
「へびちゃんど~」
妹もサンドイッチを持って来た。
「次は、雀パイ」
「次は……あっ!お水忘れてたあ~」
「おみずもってくりゅ~」
兄妹とも、オモチャの箱とソファーの間を行ったり来たり!
「コウロギフライ」
「こうろきのつらい」
「モグラのクラッカー」
「もくらのサッカー!」
「って、サッカーじゃなくて、クラッカーだよ~!?」
と、お兄ちゃんが言うと……
「しょっかあ~」
と、妹はお兄ちゃんに構ってもらえてウハウハだ!さてさてソファーには、たくさんのメニューが並んだ!いつの間にか、クジラの夫婦にされた、僕と妻は……
「「いただきまーす」」
と、食べたのだった。
おしまい
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