イナズマイレブン~クロスライジング~
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イナズマイレブン
前書き
ついにイナズマイレブンと練習試合!
────日曜日 試合当日
伝説のイナズマイレブンの人たちを見ている俺達は、驚きが隠せないでいた。
「おいおい、生活指導の菅田先生がイナズマイレブンって……、マジかよ…」
俺が呟くと風丸も
「理髪店の髪村さんまで…」
心美が俺に話し掛ける。
「お兄ちゃん、みんな雷門町で見たことのある人たち、ばっかりだよ」
「ああ…、流石に驚いたな…」
夏未嬢の執事である、場寅さんが呟いた。
「お嬢様、今日は休暇をいただきます」
流石の夏未嬢も驚きの声を漏らす。
「え…?ば、場寅、あなたまで!?」
「夏未嬢の執事の場寅さんまでもがイナズマイレブンだったとは…」
そんなイナズマイレブンの姿を見た俺たちは、すぐ近くにイナズマイレブンがいた事に驚いた。
───────
そして俺達はポジションに着いた。
FW雷藤 豪炎寺 染岡
MF半田 少林寺 宍戸
DF風丸 壁山 土門 栗松
GK円堂
FWはお決まりのスリートップだ。
「イナズマイレブンと試合出来るなんて夢みたいだ!」
円堂が興奮気味に話す。
「響木監督とも勝負出来る!くぅ~!!楽しみ!」
俺も興奮が抑えられず、手を握り締めながら叫ぶ。
「みんな!イナズマイレブンの胸を借りるつもりで、この試合全力で挑むぞ!!」
「「「おおおっっっ!!」」」
円堂の掛け声に合わせ、俺達も気合いを入れ直した。
ピ──────!!
そしてついに笛が吹かれた。
「行くぞ!!」
何とイナズマイレブンのFWの一人がボールを貰うと共に、豪快なシュートフォームを作った。
「い、いきなりシュート!?」
円堂が驚き、急いで構える。
「おおっっ!!」
(すかっ)
「うごっ!?だっはっは、参ったなこりゃ」
FWのおじさんは見事にすっ転び、俺は少し苦笑いを浮かべてしまった。
そして、その後もこういった、珍プレー(?)は幾度も起こった。
俺がボールをもって駆け上がり、豪炎寺にパスを上げた時の事だった。
「豪炎寺!」
「やらせんぞ!」
場寅さんがインターセプトしようとヘディングした時だった。
(ぼこっ)
ピ──────!
「えっ……?」
俺は思わず、言葉か漏れてしまった。いや、多分みんなそうだろう。
だって、場寅さんがクリアしようとしたボールを自分達のゴールに入れてしまった。つまりはオウンゴールをしたのだから。
「おや…?すまん響木、クリアしようとしたんだが。ははは」
すると、イナズマイレブンの一人が呟いた。
「やっぱしダメかぁー、まぁこんなもんだよな」
響木監督もその衰えたメンバーの姿を見て呟く。
「…これじゃあ練習にもならんな」
その姿を見た夏未嬢が、思わず本音を呟く。
「何も得るものはないわね…この試合…」
浮島さんも俺達を見ながら話す。
「これで分かっただろう?伝説のイナズマイレブンは、もう存在しないんだ」
俺は納得がいかなかった。
全力でプレーして、この結果ならまだしも、だけど失敗してもヘラヘラ笑うだけで、必死さが全く伝わって来ない。俺は思わず叫んだ。
「伝説なんて関係ないだろ!?どうしていい加減なプレーばっかりするんだよ!こんな魂の抜けたような試合をして、おじさん達が大好きだったサッカーに対して、恥ずかしくないのかよ!!」
俺が叫び終わると一時、沈黙が訪れた。
「「「…………」」」
俺は思わず舌打ちをして、ゴールに向かい走り出した。
「ちっ…!俺が目を覚まさせてやる!!」
俺がドリブルで上がって行くと、浮島さんがブロックに入った。
「サッカーを真剣にやらない奴なんかに、俺は止められない!!」
俺は加速すると技を発動させた。
「はあぁぁ!電光石火改!!」
「な、何!?」
俺は一瞬のうちに浮島さんを抜き去るとゴールに向けて更に、走り出した。
「行くぞぉぉぉ!!」
「来い雷藤!」
響木監督も構えを起こそうとした。
「構える暇も与えない!!」
俺はボールにかかと落としをし、ボールに強烈な回転を加え、本気の蹴りを放った。
「おおっっっ!!ライトニングアロォォォー!!」
「…!速い…!?」
ピ────────!!
響木監督は俺の渾身のシュートに反応出来ず、ボールはゴールネットを揺らした。
「ちったぁ、目を覚ませあんたたち!」
それを聞いた、浮島さんは呟いた。
「…錆び付いちまってる…やっぱり諦めた時に終わっちまったんだ、俺のサッカーは…ははは…」
俺が全力のプレーで目を覚ませさせようと奮闘したが、逆に余計やる気をなくさせてしまった。だが、その時、響木監督が叫んだ。
「…お前達ッ!!なんだそのザマは!!俺達は伝説のイナズマイレブンなんだ!そしてここにその伝説を夢に描いた子供達がいる!その思いに応えてやろうじゃないか、本当のイナズマイレブンとして!」
それを聞いて浮島さんは思うところがあったのか呟く。
「ほ、本当のイナズマイレブン…?」
(やっと目を覚ましたかな?本当のイナズマイレブンがそうじゃないことは俺でも解る。サッカーが大好きで、サッカーに全てを注いだ男たち…それがイナズマイレブンな筈だから…!)
「俺達はサッカーへの想いを見失っていた…」
浮島さんが呟くと響木監督が声を掛ける。
「さあ!見せてやろうぜ、伝説のイナズマイレブンのサッカーを!」
「「「おおおっっっ!!」」」
イナズマイレブンのメンバーは叫び、ポジションに入る。
「凄い気迫だ…、これがイナズマイレブン…!」
俺が呟くと笛が響いた。
ピ───────!
イナズマイレブンは見違えるような動きで雷門中のパスワークを読み、インターセプトしたボールを前線に送っていく。それを受けたFWは必殺シュートの体勢に入った。
「ふっ!クロスドライブ!」
十字のシュートが円堂を襲い、円堂は熱血パンチで迎え撃つ。
「熱血パンチ!!」
バシュゥゥゥ!!
「なっ……!!」
さっきの音は熱血パンチで止めた音ではない。ゴールが決まった音だ。
「嘘だろ…、あの熱血パンチが全く通用しなかったのか…」
俺が驚くのも無理はない。熱血パンチがここまで通用しなかったのは初めてだ。流石に伝説のFWの選手だけはある。
だが、俺たちも黙っちゃいない。
「行け!染岡!」
半田からボールを受け取った、染岡は必殺シュートの体勢に入った。
「ドラゴンクラッシュ!!」
響木監督は俺たちがよく知っている、あの必殺技の体勢を取る。
「見せてやろう、これが…、元祖ゴッドハンドだッ…!!」
バシーン!
響木監督も本来の力を見せつけ、染岡のドラゴンクラッシュを意図もたやすく止めた。
流石、元祖……。
円堂のゴッドハンド以上じゃないか?俺にそう思わせるほど、凄い迫力と威力だった。
その後もイナズマイレブンのパスが繋がっていき、浮島さんにボールが渡った。
「備流田ァァァァ!!」
「おおおっっっ!!」
備流田と呼ばれる、引き締まった体つきのおじさんがオーバーヘッドの構えを取り、浮島さんがジャンプしツインシュートを放った。
「炎のォォッ!!」
「風見鶏ィィィッ!!」
ズガァァァン!!
浮島さんと備流田さんの強烈な合体シュートが円堂を襲うが、円堂は反応出来ず、あっさりとゴールを奪われた。
「す、すげぇ…、なんだ今の技…!?タ、タイム!タイムお願いします!」
俺たちも集まり、円堂のタイムの理由を伺った。
「どうした?」
「今日はお手本が目の前にある!あの浮島さんと備流田さんの合体シュート…、【炎の風見鶏】を習得しよう!」
──────
ガヤガヤガヤガヤ
「なんで話に加わらない?」
浮島は影野に話し掛けた。
「俺は控えだし…必殺技には絡めないから。影も薄いから…」
「俺も最初は控えだった」
「えっ…そうなんですか?」
「サッカーはピッチに11人だけで戦っているんじゃない、いつでも出られるように準備しておくんだ。体も心もな、いつか必ず存在を示す時が来る」
「…!はい!」
───────
「炎の風見鶏はスピードとジャンプ力を考えたら、風丸と豪炎寺かな?」
俺がそう話すと、皆も賛成してくれた。
「決まれば、練習だ!」
そう言って風丸と豪炎寺は練習を開始した。
───────
「うわっ!」
「くっ…!」
やはり見よう見まねでは、なかなか難しいらしく、あの豪炎寺と風丸ですら苦戦している。
「浮島、もう一度見せてやるか!」
「ああ…!しっかりとな!」
「行くぞ円堂!」
「お願いします!」
「「はあぁぁ!」」
二人は完璧なタイミングでツインシュートを放った。
「「炎の風見鶏ィィィッ!!」」
改めてみても凄い威力だ。
「おおおっっっ!!ゴッドハンド改ィッ!ぐっ!…くっ!?」
グワシャァァァン!!
「ぐああああーっ!!」
円堂のゴッドハンドは砕け、シュートはゴールに突き刺さった。
「マジかよ…、ゴッドハンドすら完璧に砕くなんて、皇帝ペンギン2号並みの威力…、いやそれ以上かもしれないな…、炎の風見鶏…途轍もないな」
俺が呟くとベンチに座っていた影野が叫んだ。
「そうか…!この技の鍵は2人の距離だよ!2人がボールの中心に、同じ距離・同じスピードで合わせないとダメなんだ!」
「なるほど!」
「そういうことか!」
「よく気づいたな!」
風丸、豪炎寺、円堂は納得したように頷き、影野に笑顔を向けた。
「ほう、気付いたか…」
浮島さんも少し微笑みを浮かべながら呟く。
「今だ!」
「行くぞ!」
豪炎寺がオーバーヘッド、風丸がジャンプをして同時にシュートを放つ。
「炎のォォ!」
「風見鶏ィィィッ!!」
バァァァーン!!
風丸と豪炎寺の炎の風見鶏はゴールネットを大きく揺らし、炎の風見鶏を完成させた。
「や、やったぁぁ!」
円堂が笑顔で風丸たちに向かうと俺たちも笑顔で駆け寄った。
──────
「あの子達なら…伝説なんかじゃない、本当のイナズマイレブンになってくれるかもしれないな」
浮島が響木に話すと
「ああ…!」
響木を頷き、雷藤達を見つめた。
───────
「さあ!次は全国大会だ!気合い入れて行くぞぉ!!」
「「「おおおっっっ!!」」」
円堂の掛け声と共に、今日の貴重な練習試合は終了し、俺たちは次の全国大会に向けて闘志を燃やすのだった。
後書き
壁山「雷藤さん、怒ると怖いっス…」
雷藤「え?そうか?」
宍戸「そうですよ、口調も荒々しくなるし」
雷藤「そうなのか?すまん、無意識だわ」
壁山「無意識が一番たち悪いっス…」
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