ドリトル先生と二本尻尾の猫
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第九幕その八
「オリーブにガーリックで」
「チーズも欠かせないですね」
「トマトはそれ以上にね」
「栄養のバランスもいいんですよ」
「トマトが多いから」
「はい、ですから僕もよく作りますよね」
トミーは先生ににこにことしつつお話しました。
「スパゲティとか」
「ああ、ナポリタンだね」
「あれは日本のスパゲティですから」
トミーは先生のこのこともお話しました。
「イタリアのではないですよ」
「そうだったね、日本の洋食だね」
「そのうちの一つです」
「そうだったね」
「しかしこれがなんですよ」
トミーはにこりと笑って先生にお話するのでした。
「最高に美味しいです」
「そうだね、あれも凄く美味しいね」
「そしてパスタに欠かせないものは」
それはといいますと。
「ガーリックです」
「ナポリタンもガーリックを入れるとね」
「味がさらによくなるんですよ」
「段違いにだね」
「さらにチーズもありますと」
パスタに上からかけるのです。
「さらにいいですね」
「そうだね、まあとにかくね」
「行ってらっしゃい」
こうお話してでした、先生は日笠さんと一緒にそのイタリア料理のレストランに行くことになりました。そして。
その次の日でした、お静さんは猫の姿でお昼に先生の研究室に来てでした。そのうえで新たな報告をしてきたのでした。
「先生、やったわ」
「やったっていうと」
「ええ、いい状況になってきたわ」
そうなったというのです。
「お嬢さんがね」
「彼とお話が出来たんだね」
「しかもね」
それに加えてというのです。
「デートの約束もね」
「あっ、そこまでなんだ」
「そう、決まったのよ」
「それはいいね」
「いや、やっとよ」
お静さんは割烹着にシックな丈の長いスカートの洋服といった格好で前足を組んでそのうえで言うのでした。
「苦労したかいがあったわ」
「そうだね、お疲れ様」
「いやいや、まだはじまったばかりよ」
「デートがだね」
「そう、そこからなのよ」
「告白まで成功させて」
「それでやっとほっと出来るのよ」
こう言うのでした、先生に。
「だからお疲れ様っていうのはね」
「告白が成功してからだね」
「言ってね」
「ではその言葉は後にするよ」
「お願いね、告白までいけたら」
そこまで辿り着ければとも言うお静さんでした。
「絶対にいけるから」
「相思相愛だから」
「うん、出来るわ」
こう言うのでした。
「そこまでいけばね」
「相思相愛は強いね」
「告白して駄目だったらこんなに悲しいことはないわ」
「そうみたいだね」
先生はこのことについては今一つ晴れない感じでした。
「どうやら」
「あれっ、先生は」
「そう、告白はね」
「経験なかったわね」
「一度もね、デートも告白も」
先生には本当に縁のないことでした。
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