FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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ギルダーツ
ギルドにて・・・
「・・・」
「モグモグモグモグ」
今俺たちはギルドのテーブルに集まっている。ウェンディは何やら本を読んでいて、シャルルはダージリンティを飲み、セシリーはウェンディの読んでいる本を横から眺め、俺は朝食を取っている。
すると丁度今ギルドにやって来たルーシィさんがコートを脱ぎながら俺たちに話しかける。
「シリルとウェンディも大分このギルドに慣れてきたみたいね」
「はい!!」
「おかげさまで!」
「ルーシィさんたちに色々教えてもらってるからね~」
「女子寮があるのは気に入ったわ」
ルーシィさんに俺たちはそれぞれ答える。いつもルーシィさんやナツさんにいろいろ助けてくれるからな。本当に感謝してます。
「そういえばルーシィさんはなんで寮じゃないんですか?」
「それ僕も気になってた~」
ウェンディとセシリーがルーシィさんに聞く。ルーシィさんは家賃7万Jのアパートに住んでるってナツさん言ってたな。ナツさんはよく忍び込んでるからルーシィさんの家には詳しいらしい。
というか人の家に忍び込んじゃダメなような・・・」
「女子寮の存在最近知ったのよ。てか、寮の家賃って10万Jなのよね~・・・もし入ってたら払えなかったわ・・・今頃・・・」
「「「「あはははは・・・・・」
ルーシィさんは涙を流しながら言う。ルーシィさんはナツさんとチームを組んでるらしいけど、ナツさんはよく物を壊すからその支払いで報酬が減ったりなくなったりするらしい・・・ルーシィさん・・・苦労してますね・・・
「「た・・・大変だー!!」」
俺たちがそんな話をしているとウォーレンさんとマックスさんがギルドのドアをすごい勢いで開けながら叫ぶ。どうしたんでしょう?
ゴーンゴゴーン
するとほどなくして大きな鐘の音が聞こえてくる。
「何?」
「「鐘の音?」」
「「なんで~?」」
突然の鐘の音に俺たちは少し驚く。なんの鐘の音なのかな?
「この鳴らし方は・・・」
「あい!」
「おおっ!!」
「まさか!!」
ギルドの皆さんもこの鐘の音を聞いて騒ぎ始める。何か特別なことでも起こるのかな?
「ギルダーツが帰ってきた!!」
「あいさー!!」
「「「「「「「「「「ギルダーツだぁ!!!」」」」」」」」」」
ナツさんの一言で皆さんいつにもまして騒ぎ始める。ギルダーツ?
「ギルダーツ・・・さん?」
「誰ですか?」
「あたしもあったことないんだけど・・・」
俺とウェンディ、そしてルーシィさんはギルダーツさんが誰なのかわからず、ミラさんに問いかける。ミラさんはいつも通りのにこやかな表情で答える。
「妖精の尻尾最強の魔導士よ」
「ええっ!?それってエルザより強いってこと!?」
「ウソ!?」
エルザさんより強いって・・・どんだけ強いんだ!?まるで想像できないんですけど・・・
「私など足元にも及ばんさ」
「ど・・・どんだけヤバい人なのかしら・・・」
エルザさんですら足元にも及ばないと言わしめる魔導士ですか・・・きっとすごいんだろうな~・・・
俺がそんなことを思っていると ギルドの皆さんはまるで宴会でも始まったのかと思うぐらいの盛り上がりを見せる。
「どうでもいいけど、この騒ぎよう何?」
「お祭りみたいだね!シリル!」
「すごいね!!いつもの騒ぎの比じゃないね!!」
「本当騒がしいギルドね」
「すごいすごい~!!」
俺たちはギルドの皆さんの騒ぎようを見てそう言う。ギルダーツさんが帰ってくるって聞いただけでこの騒ぎって・・・何かあるのか?
「みんなが騒ぐのも無理ないわ。三年ぶりだもん。帰ってくるの」
「三年も?何してたんですか?」
ミラさんにルーシィさんが聞く。三年も帰ってこないなんて・・・仕事かな?
「S級クエストの上にSS級クエストってのがあるんだけど、そのさらに上に10年クエストって言われる仕事があるの」
「10年クエスト!?」
「それはどんなクエストなんですか?」
俺は気になってミラさんに質問する。まさか「クエスト完了するのに10年は覚悟してね♪」ってクエストじゃないですよね?
「10年間、誰も達成した者がいない。だから10年クエスト」
エルザさんが変わって説明してくれる。なんだそういうことか・・・ちょっと安心・・・するわけないじゃん!!10年も達成者がいないなんて・・・すごい難しいクエストじゃないですか!!
「ギルダーツはそのさらに上・・・100年クエストに行っていた」
「100年クエスト!?」
「100年間誰も達成できなかったってことですか!?」
「ああ」
エルザさんの説明に驚く俺とルーシィさん。エルザさんは平然と返事をするけど・・・100年も誰も達成できない仕事って・・・どんな仕事なんですか!?
『マグノリアをギルダーツシフトに変えます!!町民の皆さん!!速やかに所定の位置へ!!』
すると今度は外からそんなアナウンスが聞こえてくる。ギルダーツシフト?
「それにしても騒ぎすぎじゃないかしら?」
「なんでだろう?」
「町の方もすごい賑やかだよ~」
「だよな?ギルドの皆さんはいつものこととしても・・・」
俺たちはギルドのみならずマグノリアの町全体が賑やかなことに疑問を持つ。いくらなんでも騒ぎすぎだよな?
「マグノリアのギルダーツシフトって何?」
「外に出てみれば分かる」
エルザさんにそう言われたので俺たちは外に出てみる。すると町は大きな地響きを建てて変形を始める。
「ええ!?」
「う・・・ウソ!?」
「なんなのこれ!?」
「建物が~!?」
「動きすぎ!!」
俺たちは町が変形する姿を見てただただ驚くしかない。その後も町は変形を続け、気がつくと町の入り口からギルドまでの一本の道ができていた。
「町が、割れたー!!?」
「ギルダーツは[クラッシュ]という魔法を使う」
「触れたものを粉々にしちゃうから、ボーッとしてると民家も突き破って歩いて来ちゃうの」
「どんだけバカなの!?そのために町を改造したって事!?」
エルザさんとミラさんの説明にルーシィさんが驚く。しかし・・・普通そこまでやるか?いくらなんでも・・・
「やりすぎだろ・・・」
「すごいねシャルル!!セシリー!!」
「うん!!すごい~!!」
「ええ。すごいバカ・・・」
ウェンディとセシリーは何故か喜んでる・・・俺とシャルルはあまりのやり過ぎ具合にあきれてしまう。
俺たちがそんな話をしているとその道から一人の人影が見えてくる。
「来たぁ!!」
「あい!!」
ナツさんとハッピーがそう言う。俺たちはその人影がこちらにやって来るのをそちらを見ながら待つ。
そしてギルダーツさんはギルドの中にゆっくりと入ってくる。
「ふぅ」
ギルダーツさんは疲れたのか、ため息のように息を吐き出す。
この人がギルダーツさんか・・・年齢は40代ぐらいかな?服装は黒いローブのようなものを羽織っていた・・・しかし、俺は髪の色を見て一瞬驚く。
「赤色・・・」
ラクサスさんの言っていた赤髪の男に気を付けろって、もしかして・・・
「そんなわけないか・・・」
いくらなんでも仲間に気を付けろなんて言うわけないよな?妖精の尻尾の魔導士が仲間に危害を加えるわけないし。
「ギルダーツ!!俺と勝負しろ!!」
「いきなりそれかよ!!」
ナツさんがいきなりそう叫ぶのをエルフマンさんが突っ込む。ナツさんってそんなに誰かと勝負したいんですね。
「おかえりなさい」
「この人がギルダーツ・・・」
ミラさんがギルダーツさんに笑顔で挨拶し、ルーシィさんがギルダーツさんを見て呟く。
ギルダーツさんはミラさんを見て話し出す。
「むっ、お嬢さん。確かこの辺りに妖精の尻尾ってギルドがあったはずなんだが」
「ここよ。それに、私ミラジェーン」
「? ミラ?」
ギルダーツさんはミラさんを見つめて何かを思い出しているようだ。
「おお!?随分変わったなお前!!つかギルド新しくなったのかよー!?」
「外観じゃ気づかないんだ・・・」
ギルダーツさんはギルドを見回しながら言う。そういえば最近ギルドを建て替えたって言ってましたね。だから気づかなかったのか。
「ギルダーツ!!」
「おお、ナツか!久しぶりだな」
「へへ。俺と勝負しろって言ってんだろうー!!」
二階からナツさんが降りてきてギルダーツさんに向かってジャンプして殴りかかる。しかしギルダーツさんはそれを片手で受けとめ
「ごぱぁっ!」
「また今度な」
天井に叩きつける・・・す・・・すげぇ・・・
「や・・・やっぱ・・・超強ぇや」
「変わってねーな!オッサン!」
「漢の中の漢!!」
グレイさんとエルフマンさんがギルダーツさんに言う。
「いやぁ、見ねえ顔をあるし、本当に変わったな・・・」
ギルダーツさんが周りを見ながら言う。見ない顔って俺たちのことだろうな。あとで挨拶しないと。
するとそんなギルダーツさんをマスターが呼ぶ。
「ギルダーツ!」
「おお!?マスター、久しぶり」
「仕事の方は?」
「あ~・・・がっはははははは」
ギルダーツさんは頭をかきながら笑いだすとマスターは小さくため息を漏らす。
「ダメだ。俺じゃ無理だわ」
ギルダーツさんがそう言うと皆さん信じられないという顔をする。
「ウソだろ?」
「あのギルダーツが・・・」
「クエスト失敗・・・!?」
「ありえねぇ・・・」
俺とウェンディはその姿を呆然と見ている。
「オッサンでもダメなのか・・・」
「引き際の見極めも漢!!」
グレイさんは残念そうにそう言い、エルフマンさんはいつも通りの態度でそう言う。
しかし・・・妖精の尻尾最強の魔導士でも無理だとは・・・よっぽど難しいんだな、100年クエストって・・・
「そうか。主でも無理か」
「すまねぇ・・・名を汚しちまったな・・・」
「いや、無事に帰ってきただけでよいわ。ワシが知る限り、このクエストから帰ってきたのは主が初めてじゃ」
マスターは笑顔でそう言う。ギルダーツさんもそれを見て微笑み返す。
帰ってくるのすら困難なクエストか・・・なんか想像しただけで怖いな・・・
「俺は休みてぇから帰るわ。ひ~疲れた疲れた」
ギルダーツさんはそう言いながら歩き出す。そして歩きながらナツさんに話しかける。
「ナツ!」
「ん?」
「あとで俺んち来い。土産だぞ~?がっははははは」
「へへっ」
ギルダーツさんの言葉にナツさんも少し笑う。ギルダーツさんはそのまま歩いていくけど・・・扉そっちじゃないですよ?
「んじゃ、失礼」
ギルダーツさんはそのまま壁に向かって歩いていくと・・・その壁が砕けて大きな穴ができてそこから出ていく。
「・・・」
「あらあら」
「扉から出てけよ!!」
ルーシィさんはあまりのことに言葉を失い、ミラさんはいつも通りの感じで言い、ウォーレンさんは驚いた顔で言う。これは・・・直すの大変そうですね・・・
「へへ。土産って何かな~?楽しみだなって!」
ナツさんはそう言うと壁をパンチで壊して出ていく。
「お前まで真似すんな!!」
「あらあら」
「ハッピー!早く行くぞ!」
マックスさんが怒るけどナツさんはそんなのお構いなしに出ていく。なんか、いつにもましてはちゃめちゃだな・・・
「ねぇ。ギルダーツとナツってそんなに仲がいいの?」
「あい!実力の差は天と地ほどあるけどギルダーツはナツのこと気に入ってるみたいだね」
ルーシィさんの質問にハッピーが答える。
「へぇ。でもギルダーツってたまにしか帰ってこないんでしょ?」
「あい!オイラが生まれてすぐの頃にも丁度帰ってきたよ?」
その後ルーシィさんとハッピーはしばらく雑談した後、ハッピーはナツさんの後を追っかけ飛んでいく。
しかし・・・ギルダーツさんかぁ。妖精の尻尾最強の魔導士だけあって雰囲気も凄かった・・・ぜひ一度、戦ってる姿を見てみたいなぁ・・・
その日の夕方・・・第三者side
「ふぅ・・・」
マカロフは一人、ギルドの上の鐘の前に腰かけていた。
「このギルドに四人の滅竜魔導士・・・ボーリュシカ。主の言った通りじゃ。
運命は、動き出そうとしている」
マカロフはそう言うと、一人腕を組み、夕日を眺めていた・・・
その日の夜、とある場所で・・・
ゴゴゴゴゴゴ
とある場所で、空に突然大きな穴が開き、その穴は下にあるものを吸い込もうとしている。しかし・・・
「はぁっ!!」
一人の男が一本の杖をその穴に向けると、次第に穴は閉じていく。
「ふぅ・・・間に合ってよかった・・・しかし・・・今日は少し異常だな。あまりにもアニマの数が多すぎる・・・」
その男は空を見上げる・・・そして、最悪の場面を考えてしまう・・・
「まさか・・・巨大アニマを使うつもりか!?」
男はそう言うと、次のアニマの出現されると思われる場所へと駆けていった。
後書き
いかがだったでしょうか。作ってみたらあまりにも短くなってしまったので最後の方は次のエドラス編に繋げるような感じにしてみました。
次からはエドラス編に突入します。
次回もよろしくお願いします。
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