戦え!!正義の兄弟戦士ジャスティスカイザー
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第二十話 日高大尉!居合もやるぜ!!その十三
「信貴山だ」
「ああ、縁起絵巻の」
「あそこですか」
「尚作者は行ったことがない」
奈良県民であるがだ。
「縁がなかったのだ」
「何かあれですね」
「奈良県民でも信貴山行ったことないって」
「ちょっと駄目ですよね」
「何やってんだって」
「奈良市や飛鳥、それに長谷寺や桜井市の神社仏閣には通っている」
そうした場所には通っているのだ。
「しかし信貴山はな」
「縁がなくて、ですか」
「それでなんですよね」
「行ったことがない」
決して生き忘れていただの怠けていただのではない。
「室生寺にも行ったことがあるがな、曽爾高原にもな」
「いや、曽爾行くより信貴山の方が行き来楽ですよ」
「奈良県民以外にはわかりにくい話ですけれど」
「そっちの方が楽ですよ」
「どう考えても」
「しかし行ったことがないのだ」
だからどうした場所か詳しくは知らない。
「松永弾正久秀の居城があったことは知っているがな」
「ああ、悪弾正ですね」
「戦国三悪人の一人」
残る二人は斎藤道三、宇喜多直家だ。素晴らしい顔触れだ。
「極悪非道を以て知られる」
「あの人の居城でしたね」
「信長の野望では常に出て来る城だ」
本当にいつも出て来る城だ。
「美しい城だったというがな」
「ううん、そうなんですね」
「作者が行ったことなくても」
「観光地にはなっていて」
「行くといいんですね」
「奈良県の人もそうでない人もな」
是非にとも言う悪田部だった。
「行って欲しいものだ」
「じゃあ俺達も行ってきます」
「それで信貴山で、ですね」
「居合勝負ですね」
「それですね」
こうしたことを話してだった、二人は実際にその信貴山に向かうのだった。今回も戦いの場は奈良県になった。
西郷はこの時東大寺にいた、言うまでもなく大仏がある奈良県の象徴の一つとなっている名札中の名札だ。
その仏像を見つつだ、西郷は共にいる東郷と山本に言った。
「では、でごわす」
「はい、それでは」
「今より」
「出陣を命じるでごわす」
今も大仏を見ている、その途方もなく巨大な大仏を。
「日高大尉に」
「信貴山にですね」
「出陣を命じられますね」
「そうでごわす」
こう言った、そして。
実際にその出陣の書を山本に手渡した、そうしてだった。
大仏に瞑目してだ、二人にこうも言った。
「神仏に頼むものではないでごわすが」
「それでもですね」
「神仏にもですね」
「我等の大義を」
「それをですね」
「照覧になって頂きたいでごわす」
これが西郷の考えだった。
「この大仏は国家守護の仏でごわす」
「聖武帝がそれを願い建立された」
「その大仏ですね」
「当時乱れていた世を収めてもらいたいと願い」
「そうして建立されたものです」
それがこの大仏なのだ、二度焼けて今は三代目である。
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